愛を乞う異形 （ソーニャ文庫）

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投稿者：マロ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

「ヒロインにとって、ヒーロー含めた人間全員が異形に見える」という変わった設定です。
こういった変化球設定は、文章力が伴わないと、あまり感情移入できず作者の独りよがり的になりがちだと思いますが、そこはさすがの丁寧な描写力で読ませます。

外見がどうであっても、その人の魂に恋をする部分が「美女と野獣」的、継母異母兄弟に虐められていた復讐劇の部分が「落窪物語」的です。
「外見」というテーマが、ヒロインが描く絵やヒーローの出生の秘密に上手く絡められている点や、ヒロインの目を通して見える異形の姿が、実はその人の本性（の一部）を表しているあたり、けっこう深いです。

個人的に良かった点は、ヒーローの不器用な愛情表現です。
ぶっきらぼう俺様系、ソーニャらしい執着や独占欲はありますが、基本的に主人公の事でいっぱいなのがただ漏れです。
ヒロインの秘密を知らない＋自身の出生の秘密という影を持つ、やや口下手なヒーローが、なんとかヒロインとの距離を縮めようとする姿は、少女漫画的な可愛さがあると思います。
また、ヒロインも、「この過酷な環境下でよく精神再生したな…」と思う芯の強さがあり、応援したくなるタイプでしたし、後半展開の鍵を握るヒーロー弟も、テンプレ設定ではない良い味をだしてました。

気になったのはエピローグ、ヒロインの秘密を知った後のヒーローの執着モノローグは、「本当に主人公の事を思うなら…」と思わずにいられず、多少違和感がありました。
ソーニャ的な仄暗さや闇の部分は嫌いではないですし、「美女と野獣」のようにハッピーエンド大団円だけでは終わらない現実もあるというEDでもいいんですが、なんとなく、エピローグのヒーロー独白に「とりあえずソーニャらしさをブチ込んでみました」的な、とってつけ感を感じてしまいました。
それ以外にも途中までが丁寧だっただけに、終盤の最後にバタバタしてしまった印象があり、不完全燃焼な感じも少し残ります。

ただ、設定の新鮮さ、秘密を抱えた同士の不器用なすれ違い、純愛と執着愛は十分に堪能できます。
何より、ヒーローがなんだか可愛いかったです。



以下、中盤までのあらすじ。（ネタばれあり）
天真爛漫な少女だったヒロインは、事故が原因で人の姿が異形に見えてしまうようになり、継母や異母姉妹に虐められる中で、自分の「呪われた目」について打ち明けることが出来ず、引き籠もりになってしまいます。
自身の出生に悩んでいたヒーローは、子供の頃ヒロインに出会ったことで救われ、以後、彼女が忘れられず、成長後に不遇な状況のヒロインに求婚します。
子供の頃の思い出を忘れており、かつヒーローが獅子頭＋悪魔の角を持つ異形としか見えないヒロインは、恐怖を抱きながら結婚し新婚生活に入ります。
ヒーローは、そんなヒロインの秘密を知らないため、彼女の態度に傷つき、また溺愛からくる執着をみせながらも、精一杯の気遣いと愛情を注ぎ、やがてヒロインは前向きになっていきます。
やがてヒーローがどんな姿でも好きだと認識したヒロインですが、自分の「呪われた目」の秘密をヒーローに打ち明ける事ができず悩みます。
一方、ヒーローの方も、自分の出生に秘密を抱えており、ヒロインに打ち明ける事が出来ずにいました。
そんな中、ヒーローの弟に「呪われた目」の秘密がばれたヒロインは、呪いではなく病気の一種の可能性があるので治療を勧められ…。

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投稿者：まかゆら　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

化け物にみえるヒーローをヒロインが好きになっていく内容に純愛さを感じた。外見じゃなく中身から好きになっていくなんて素敵だと思う。

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投稿者：もも　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ラストまで読んでの感想「そうなんですね…そっか。」 という感じで。小説も映画も娯楽としてみるので、完全なるハッピーエンドの王道が好みです。何ならドロドロは一切いらないくらいの嗜好で。なので、ラストは…うーんそっか、そうなんですね、作者さん、という感じで。もちろん面白いんですけど、好みでいうと、うーん、という印象。好きな小説は心ほっこりする感じで何度も読んじゃうんですけど、これはちょっと、もう一回読むことはないかなぁ。記憶に残り、面白いですけど、ほんわかして幸せな気分に浸れるか、っていうと、個人的には違うかな、と。治ってラブラブ終わり、が期待でした。