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紙の本
Xの悲劇 (創元推理文庫)
著者 エラリー・クイーン (著),中村有希 (訳)
ニューヨークの路面電車で発生した異様な毒殺事件。前代未聞の凶器を用いた大胆な犯行、容疑者は多数…。真犯人Xの断定に挑むのは、聴力を失い引退した名優ドルリー・レーン! 巨匠...
Xの悲劇 (創元推理文庫)
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商品説明
ニューヨークの路面電車で発生した異様な毒殺事件。前代未聞の凶器を用いた大胆な犯行、容疑者は多数…。真犯人Xの断定に挑むのは、聴力を失い引退した名優ドルリー・レーン! 巨匠クイーンの名作本格ミステリ。【「TRC MARC」の商品解説】
鋭敏な推理力を持つ引退した俳優ドルリー・レーンは、ニューヨークの路面電車で起きた殺人事件への捜査協力を依頼される。ニコチン毒を塗ったコルク球という異様な凶器が使われた、あまりにも容疑者が多い難事件から、ただひとりの犯人Xを指し示すべく、名探偵は推理と俳優技術のかぎりを尽くす。巨匠クイーンがバーナビー・ロス名義で発表した、本格ミステリ史に燦然と輝く〈レーン四部作〉の開幕を華々しく飾る、傑作中の傑作。【商品解説】
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名探偵ドルリー・レーン登場
2020/08/14 10:35
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:KTYM - この投稿者のレビュー一覧を見る
エラリィ・クイーンが1932年にバーナビー・ロス名義で発表した「悲劇4部作」の第1作。
本作の見所は、まずは探偵役ドルリー・レーンの造形でしょう。「ハムレット荘」と呼ばれるハドソン河沿いに建つ古城に執事フォルスタッフ(!)と(キャリバンと呼ばれる)元舞台の扮装係の老人クエイシーと共に住む引退した世界的シェイクスピア俳優。聴覚の障害が原因で既に舞台を退き、会話も読唇術を使って行います。ドルリー・レーンは、大時代なインバネスのケープを身に纏った総白髪の一見上品な老紳士なのですが、時に俳優としての天賦の才(とクエイシーの職人技)を活かし変装もして捜査を行います。そして、時にはハムレット荘の屋上で全裸(に腰布一枚の姿)で日光浴(笑)をします(褐色で筋肉質のいい身体をしています)。別名義での作品を発表するにあたって、作者も相当な工夫をこらしているようです。
本作のもう一つの見所は、これはクイーン名義での作品と同様、論理の力で真相が導き出すされるプロセスで、特に路面電車での第一の殺人においてドルリー・レーンが犯人を絞り込んだシンプルな論理には、「成程っ!」と唸らせられました。そして、第三の殺人の被害者によって残されたダイイングメッセージ(クロスされた左手の人差し指と中指)の意味が解き明かされるラストにはドキドキしました。なぜ左手なのか、なぜX(クロス)なのか。
変装術のリアリティ等、現代の眼からは突っこみたく点もあるのですが、とても読み易く、謎解きも見事で、まさに推理小説史に残る名作です。