電子書籍
未来への警鐘
2019/10/01 20:19
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投稿者:ルカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
暑くなり過ぎた地球、失われたものを補うロボット、戦争、・・・。 この物語は、架空と言えるのだろうか。人間には知恵と言葉がある。その力で乗り越えられると信じたい。
是非読んで欲しい一冊。
トロイメライの最終ページのげみさんの絵には、涙が出そうになった。
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村山早紀せんせいの文章にげみさんの絵。
これ以上ないという組み合わせ♪
表紙の青年って、あの人だよね。
読み終えて見返してなんだか切ない。
でも、切ないだけでない美しさがたまらない。
表題作、未来の、やりきれない世界だけど、あのラストに
大きな希望を感じる。
でも、個人的にはお雛様のお話が1番かな。
もう、もう、窓から見てる姿もうふふとなる。
ずっと手元において、読み返して、本をなでてしまう。
そんな1冊。
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表題作「トロイメライ」は初出2007年とのこと。
ひまわりが春に咲く近未来の日本で、少女が「戦争」を身近に知ってしまうお話。
こんなに短いお話なのに、SFと戦争と子ども時代のきらめきと、家族の愛と・・・警鐘と大切なものの両方がぎゅっと詰まっている。
「ロボットが戦場にいくということは、日本のいろんな家にいるロボットたちが戦場に出ていくということだった。」
「学校帰りのわたしの手を引いてくれるシロウさんの優しい手が武器を持つ。」
二十数ページ読んだところですでに、この世界のロボットが戦争に行くなんて悲しいことだと心から思うのに、これが現実だったら、人間だったら、と考えるだけでもう・・・。
シロウさんがベッドのそばで、見えない弦をつまびいて音楽を奏でる絵がとてもきれい。
そこに至る経緯もふくんで、もの悲しさもあるけれど、それも丸ごと包み込む優しさに満ちている。
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ロボットに猫に人形に。人間以外にも心理はあって物語がある。そんな優しい視点が大好きです。未来のこどもたちが笑える世界をつくれるのは今の大人たちの一つ一つの想いの積み重ねなんだと強く感じました。
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イラスト付きの3短編。同じ作者の組み合わせで『春の旅人』という本も出ていた。
亡くなった人の代わりに家庭に来ていたロボットが、戦争で戦場に送られる。過去を変えようと「家族」を失った子供たちが過去を変えようとタイムマシンに乗る。
15才になった猫が、一緒に育った同い年の少女の未来に思いをはせる。
付喪神になったひな人形たちが、老女の看病をする。
どれも結末がない。でも読み手にはちゃんと分かる。
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+++
大人気作家・村山早紀の書き下ろし作品を含む3つの短編に、数多くの装幀で知られるイラストレーター・げみの世界観に寄り添うやさしいイラストが彩る、華麗な1冊。『春の旅人』に続くコラボレーション第2弾。
オールカラー・全イラスト描き下ろし。
あなたの心に寄り添う、3つの物語——。
「トロイメライ」:近未来、ロボットがぐっと身近になった世界。愛美ちゃんはお父さんと、ロボットのお兄ちゃんと暮らしていたのだけれど……。
「桜の木の下で」:大晦日、久しぶりにゆりちゃんが帰ってきた。同じ年にうまれた猫と女の子の物語。
「秋の祭り」:山奥に捨てられてしまった古いお雛様とお内裏様、三人官女。そんなお人形たちに、ある夜魂が宿ります。
+++
全編に漂う世界観はとてもやさしく穏やかなのだが、その内容には、胸をふさがれるものもある。だが必ず、遠くても希望の光が見えていて、目を逸らさずにいようと思わせてもくれる。諍いのない穏やかなあしたへの道を閉ざしてはいけないと思わされる一冊である。
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#日本SF読者クラブ あえてSFに分類する。三つの物語からなる短編集。表題作が3分の2を占める。地球温暖化で、人口が激減した近未来。労働力、家族やペットはロボットによって補われている。そんな中、「砂漠の国」で戦争が起こり、ロボットが兵士として徴用される。そして、子供たちは未来を変えるために… 大人が読むべき本。
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村山さんの本を読みたいと思って探した。桜風堂書店を読んでげみさんの絵を知った。優しい絵。表紙だけかと思ったら、中の挿絵も描かれてた!
話は若者向けかな。短編集。ドラえもんよりも近い将来のこと、真剣に考えないといけないな。
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すべてがそうではないけれど…
一番はじめの話『トロイメライ』が、優しくて悲しくて切なくて…とても印象に残りました。
20X0年。春が夏のようになり、ロボットが戦争に行く時代。そうしてしまったのは現代人である私たちのせいなのか…。
考えさせれます。
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大人向けの絵本かな。
村山さんの3つの短編とげみさんの絵で構成されています。
大きすぎず、小さすぎずちょうど良い大きさの本だと思いました。
SF色の強い表題作とファンタジー2作と思いました。
表題作は哀しいトーンでしたが、ラストで救われました。
ファンタジー作品は心温まる作品でした。
立東舎さんでは他にもげみさんのイラストで本が出ているので、心惹かれます。
機会があれば読みたいと思いました。
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美しいげみさんのイラスト
とっておきたいような宝物のような本かと思えば
繰り返し読むには寂しすぎるお話で残念
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『シロウさんもソラタも、わたしは作り物には思えない。数十年前の、ロボットがこんなに進化していなかった時代の日本人が、ふたりを見たら、きっと魔法みたい、お話の中の存在だっていうだろう』
世界初の二足歩行ロボットは1969年に発表され、それ以降地道な研究開発が多くの研究者の間で続けられてきました。1996年にホンダのASIMOがケーブルなしの自律制御可能なロボットとして登場したことは、当時の人々に大きな衝撃を与えたとされています。その一方で、日本ではロボットアニメの大隆盛を受け、未来世界にはヒト型ロボットというものが当たり前に存在する、未来世界とはヒト型ロボットが活躍する世界である、そんなイメージを違和感なく語れる土壌が出来上がったようにも思います。科学技術の進歩は私たちの想像を上回るスピードで進み出しているように感じることがあります。そのような環境の中では、いつ大きな研究の飛躍がなされ、まさか自分が生きている間にこんな未来世界を見ることができるとは…という状況になっても決しておかしくはありません。
『むかしむかし、神さまは、牙も爪も翼ももたない人間に、その代わりと知恵と言葉をくださった。この力で幸せになりなさい、幸せな世界を作りなさいっておっしゃったって、そんな伝説がどこかの国にある』
そう、私たち人間には『知恵と言葉』という大いなる力があります。私たちは生まれたままの姿そのままで、この地球上で生きていくことはできません。しかし、『知恵と言葉』を使うことで私たちは生まれたままの姿を何百倍、何万倍にも強化する力を持っています。そんな私たち人間が生み出したロボット。それは人間の形をしていても人間ではない、感情を持っているようでそれはプログラムによる計算結果でしかないというロボット。そんな限りなくヒトに見える存在と身近に接する未来世界が現実のものとなった時、果たして私たちは、それらロボットを、ただのモノに過ぎないからと割り切って接することなどできるのでしょうか?
『空が銀色がかって見えるほど晴れてる。呼吸する空気は熱くて、燃えるようだ』という主人公・愛美。『腕に巻いたケータイを見たら、今日の気温は三十六度』という画面の中で揺れる『ひまわり』。『春ですね。駅前公園のひまわりが満開です』という文字が画面に流れます。『数十年前までは、夏に咲く花でしたが、気候がかわった今では、春のはじまりを教える花になっ』たという『ひまわり』。『暑さにとても弱い』という愛美。それは『赤ちゃんのときに、死んじゃった母さんと同じ』という共通点。『日本や世界のたくさんの人たちが』死んでいくという『夏は死の季節』。『世界の人口は西暦二千年ごろの半分くらいに減っ』たというその時代。愛美は『四年前、一年生のころの春の日のことを、ふと思い出し』ます。『今日みたいに暑かった』というあの日。『新しいランドセルが大きくて重すぎて、空が暑すぎて』という中でよろけてしまった愛美は『道路に倒れこみそうにな』ります。その瞬間のことでした。『わたしを心配して迎えに来てくれていた、高校生の詩郎お兄ちゃん』が飛び込んできたというその場面。『わたしはお兄ちゃんの手で道路から��し出され、代わりに詩郎お兄ちゃんは、車にひかれて…』というまさかの展開。そんな過去のことを思い出して『吐きそうになってうつむいた』愛美。その時『優しい手が肩にふれ、「お帰りなさい。迎えに来ました」』という声がしました。『愛美ちゃん、だいじょうぶですか?』と言うのは『シロウさんだった』というその声の主。それは『死んだお兄ちゃんと同じ顔と名前を持つロボット』というまさかの展開。『見た目はまるで人間と同じで、心もあるけれど、死なないし、年も取らない』というロボット。『人口が減った代わりに、世界にはロボットの数が増えていた』というその時代。『欠けた家族の代わり』という役割を演じるロボット、それがシロウさん。『わたしの手を取って、お兄ちゃんがそうしてくれていたみたいに、そっとひいて歩いてくれた』というシロウさん。そんな『シロウさんの手の優しさは詩郎お兄ちゃんと同じだ』と感じる愛美。『少し心配そうな笑顔も、お兄ちゃんそのものだった』と感じる愛美。『四年前の春までのお兄ちゃんと同じ』というシロウさんの手を『きゅっと握った』愛美。ソラタというペットロボット、そしてそんなロボットを作る会社に勤めるお父さんが待つ家に帰る愛美。そんな愛美の普通の日常の中に突如影が差します。『遠い砂漠の国で、戦争がはじまった』というその暗い影。人とは何か、ロボットとは何かを問いかける物語が描かれていきます。
三つの短編からなるこの作品。その最大の特徴はなんといってもイラストレーターのげみさんが描かれた美しいイラストの数々です。単なる挿絵などではなく、ページ全体に描かれたカラーのイラストは強いインパクトをもって読者に迫ってきます。せっかくですので、三つの短編それぞれの文章とイラストの割合がどうなっているかを数えてみました。
〈トロイメライ〉: 文42ページ、絵17ページ
〈桜の木の下で〉: 文7ページ、絵4ページ
〈秋の祭り〉: 文9ページ、絵6ページ
というように圧倒的な割合をイラストが占めていることがお分かりいただけると思います。これはもう、”絵本”と言っても良いくらいの分量です。そう、この作品は”大人の絵本”である、そのような言い方が相応しいのかもしれません。私たちが小説を読む時、知らず知らずのうちに、自身の頭の中にその小説で描かれているシーンを思い浮かべます。そんな小説が映像作品になった時、その映像が自身が思い描いていたイメージと異なる時に”原作のイメージが台無しだ”というような言い方でその映像作品を非難する場合があるのは、そんな脳内イメージとの不一致を認めたくないという感情の現れなのだと思います。一方で、この作品のように、文章だけでなく、イメージが合わせて提示される場合は、作品世界をイメージしやすくなる一方で、その小説が持つ無限の可能性を狭めることにつながる危険があるようには思います。しかし、逆にイラストで描かれる世界観が、私たち読者がイメージできるもののさらに上を行くようなものであれば、そこには小説だけでは思い描けなかった、一段上の想像力の高みへと飛翔できる可能性が読者には生まれます。この作品はまさにこの状態。ネタバレになってしまうので具体的に書くことはできませんが、特に〈トロイメライ〉の中で『大きな機���』が登場する場面に描かれるそのイラストは、私にはとても思い浮かべることができないものでした。〈トロイメライ〉というタイトルの世界観を崩さずに見事に描きだしたその機械のイラスト。村山早紀さんとげみさんという二人の出会いが生んだ相乗効果の奇跡ここにあり!、そう感じました。
そんな”大人の絵本”でもある三編の短編は、それぞれに全く異なる魅力に包まれています。上記でその冒頭をご紹介させていただいた〈トロイメライ〉では未来の日本を舞台にした物語が描かれていきます。『通りを歩いてる人たちの中には、ロボットが混じっているはずなんだ』というロボットと共存する未来。一見夢のありそうなそんな未来は、ひまわりが『春のはじまりを教える花』なってしまったという地球温暖化が極端に進んだ未来世界でした。そんな未来世界に迫りくる暗い影が作品世界を暗く塗り替えていく展開に読者の心は一気に暗く沈みます。そして、一筋の光が差す結末には、今を生きる私たちへの村山さんからの強いメッセージを感じました。そして、2作目の〈桜の木の下で〉では、『ひさしぶりに、ゆりちゃんが帰ってきた』という一見特に違和感を感じない冒頭。『玄関に迎えにいったあたしの頭とのどを、優しくなでてくれる』と少しあれ?と感じる展開。そして『十年前、はじめてこの家であったときは、あたしは五歳。ゆりちゃんも五歳。同い年でもあたしは猫で、ゆりちゃんは人間だった』という通り、この短編は猫視点で展開する物語です。じわっと温かい感情に包まれるこの短編。いい話感をとても感じさせてくれた短編でした。そして最後の〈秋の祭り〉では、『山奥の道路沿いの、その藪の中』に捨てられた『お雛様』の物語。『実は古来から、悲しい思いをした人形は満月の光を千度も浴びると魂が宿ることがある』というそんな言い伝えが現実のものとなります。『捨てられたお雛様たちにも、ある日、ひとりひとりに魂が宿りました』というその先の物語。これは予想の上をいく世界観の中で村山さんらしい優しさに溢れた物語でした。そんな三つの短編を彩るイラスト群。ページ数的にはとても短い作品ですが、深い余韻漂う読後感は、小説とイラストの相乗効果をとても感じました。
いかにもSFといった趣の短編一つと、いかにもファンタジーといった趣の短編二つから構成されるこの作品。げみさんのイラストによって、その作品の世界観は読者の中に共通したイメージを作り上げてくれました。一枚のイラストが与える印象は数ページの文章にも勝る強いインパクトを読者に与えることがあります。この作品に描かれたその世界は、村山さんの描く作品世界のイメージを崩すようなものではなく、その作品世界をより強く描き出してくれるものでした。
思った以上に深いその内容に、村山さんがこの作品に込めた思いの深さをとても感じる物語。そして、村山さんの”大人の絵本”への挑戦を見る物語。ああ、これいいなあ、素直にそう感じた作品でした。
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『トロイメライ』、『桜の木の下で』、『秋の祭り』の三作品を収録した文章とイラストが綺麗な短編集です。
『トロイメライ』は夏は死ぬほど暑くなりロボットが普及し、そして戦争が続く未来を描いています。
兄を亡くした愛美を主人公に、兄の代替ロボットのシロウや隣に住む弘志などの個性的な登場人物が物語を彩ります。
環境や戦争に対する人間の姿勢を問題提起しているように思えます。
『桜の木の下で』は飼い猫目線で家族との思い出が描かれています。
実家に帰ってきた15歳のゆりを15歳の猫さくらが迎えます。
同じ15歳でもさくらは高齢です。
人間だけでなく猫にも思い出と未来があり、命の儚さと尊さを感じました。
『秋の祭り』は不法投棄された雛人形が魂を持つお話です。
心優しい人形なので、復讐などの展開にはなりません。
彼らは捨てられたのだからと元いた場所には戻らず、しかし人間が好きなため落ち着ける場所を探します。
過疎地の村で一人のおばあさんを見つけますが、どうやら病気で寝込んでいて…。
さっと読み終わってしまいますが、心が温まる一冊でした。
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あまりこの手の本は読まないのですが読んでよかったと思います。
心が温かくなったり切なくなったり感情は少し忙しかったですが、綺麗なイラストもあり読みやすかったです(^-^)
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短編小説集で読みやすかったです。
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「トロイメライ」がお気に入りです。
ロボットと戦争についての話を最後どうなったのかかかないのがいいなと思いました。
素敵な作品をありがとうございました