紙の本
おすすめ
2020/11/29 20:53
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投稿者:あやねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供が主人公と同じ年代なので、共感できました。一気に読めました。
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家庭環境の激変&ひっこし転校のあげく学校にいけなくなってしまった小6の主人公がいよいよ追い詰められ、登校するふりをして図書館通いを始める。そこにいても怪しまれない(見て見ぬ振りをしてもらえる)安全な居場所で、勉強したり考え事をしたり本を読んだり…そして少しずつ職員さんや思いがけない仲間と知り合っていく。
図書館や本が大好きな子なら、館内の描写や登場するタイトルににまにましてしまいそう。そうではない子にも、図書館や本のすてきなところに気がついてもらえるかな? そう、できることならいつまでも漬かっていたい温泉、終わってほしくない物語のようなものなのだけれど…主人公のつらい現実は主人公にそれを発見させつつ、そこに安住させてはくれない。図書館でつちかわれた人との絆や読書から知識とエネルギーを得て、後半はたたみかけるように話が大きく動き出し、ぐっと引き込まれて一気に読み終えてしまった。
小学校高学年あたりから読める児童書だけれど、大人が読むにも耐える中身が詰まっている。まず、作者が現役の図書館司書ということもあり、図書館をめぐる現実(図書館の自由、民間委託など)がていねいに盛り込まれているのがいい。その他にも学校をめぐる問題や多様性・個性の尊重と偏見といったいまや大人も子どもも避けて通れない身近な問題がもりこまれていて、読みながら知識を得ていろいろ考えられる。なるべくたくさんのひとに出会って(そして救われて)ほしいと願わずにはいられない作品。
そしてなにより、物語に登場するなつかしい絵本や児童書のタイトルの数々…カバー挿絵や巻末などにもうれしい大サービス。本のタイトルは巻末にリストとしてまとまっているので、興味が出たら探して読むこともできる。とりあえず少年筆耕の登場する『クオレ』をひさびさに読みたくなって夜中に市立図書館に予約を入れた。赤木かん子さんの「Little Selectionsあなたのための小さな物語」シリーズも、たしか一冊ぐらい借りて読んだことがあったと思うけれど、いろいろ読んでみたくなった(しかし市立図書館には全シリーズ揃ってはいないみたいだ…)。
追記)
12月4日、中3次女一気読み。読みやすく、「かがみの孤城」に似ておもしろかった、こんな図書館が近くにあったらなぁという感想。
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学校に行くのをやめて図書館に通い出したほのか。
たくさんの出会いがあって、楽しいことを選べるってことがだんだん分かってくる。
知れば知るほど、心と世界は豊かになった。
人の中に何かが芽生える瞬間がたくさん、たくさん。
愛おしい初めてがたくさん、たくさん。
図書館や本が主役じゃなくてそれらに触れて成長していく女の子がしっかり主役で、児童文学、青春小説、ヤングアダルト、呼び名は色々あるだろうけどほんと素晴らしかった。特に中盤は無敵。ラストシーンも美しかったなあ。
いつか終わる、いつか離れる、だけど残るのは懐かしさだけじゃない。ずっと初めての気持ちで。
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うん……読み終わりたくない気持ちわかるなあ……。
ドリトル先生シリーズを小学生のころ毎週一冊ずつ読み進めて、ずっと順調に読んでたのに、とうとう最後の『楽しい家』になってしまったとき、なんかやたらと寂しくなってあまり楽しく読み進められなかった記憶がある。楽しい家……あーだけど私はそこにはいないんですね……もう一緒にいられないんですね……みたいな。
いじめられてる主人公の、わりと平静にしっかりしてるけどやっぱりしんどい感じや図書館の描きかたが良かった。
いじめっこの方に関してはフォローがなかったのがちょっと惜しい気もする。
最後のスイミーには胸が温かくならざるを得ない。
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ネットの紹介記事で、いじめられっ子の避難所としての
図書館が描かれた本と知り読んでみた。
のっけから、猫にペンで落書き、更に殴るなど
普通に動物虐待が行われ
いじめっ子の酷さを描写する為なのだろうが
その点での制裁がいじめっ子に加えられないことには
あまりすっきりしない点であった。
可哀想で済まさないで欲しい。
この親にしてこの子ありで、かおりの父親も最悪なのが
わかりやすい悪役である。
自分だったらそんな人間と友達になるより、
一人の方が気が楽だ。
主人公の姉は言葉遣いがかなり乱暴だが、とても偉い。
きちんと家事をこなしているのが頭が下がる。
主人公ほのかは、正直あまり共感できるところがない。
何故そんな行動を取るのかと思うところも多く、
所謂『いじめられる側にも原因がある』を感じてしまう。
ただし、原因があったとしていじめて良い理由にはならない。
今日学校は休みなの? と訊いてくる大人たち。
本人は良かれと思って心配していたり、
サボっているのではという正義感だったりから
訊いてくるのだろうけれど、
言われる方からしたら恐怖でしかない。
言われるのではないか、と思うだけで身が震えるだろう。
それだけに、図書館にいる人たちがほのか達に何も言わず
特にイヌガミさんが意識的に彼女たちを追い詰めて
避難場所を奪わない為に守ってくれているところは
とても良かった。
結局、父も姉も優しく
担任の先生も悪い人ではなくて
そこまで酷い事態にならず物語は収束していく。
国会図書館のカウンターに刻まれた
「真理がわれらを自由にする」という言葉は
本を読む人たちにとっては深く感じ入る言葉ではなかろうか。
イヌガミが言っていた
映画を先に見てから本を読むと自分で想像する世界を作り出せない。映画を思い浮かべるだけになる
という言葉は確かに、と思う。
他の人が書いたお話を読むだけじゃなくて、自分で自分のお話を頑張って動かさないと駄目なんじゃないか
という件も良かったと思う。
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ほのかちゃんが素敵な図書館に出会えてよかった。ほろ苦い恋心。ラストの再会。展開の先が裏切らない。本の後ろ遊び紙もイイ!
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お父さんの都合で転校生になり、お母さんも入院中。クラスのお姫様タイプに些細な事で嫌われ、図書館に通うようなり…。担任やかおり姫、その親など、展開に児童書らしさはあるが「小学生の時の気持ちってこうだよなぁ」と思う。逃げ場所があるって救いだし、見た目で判断する人は多い。強くなるのは本当に勇気がいる。素敵な小説だった。スタビンズ君との再会!すっかり素直な好青年になっちゃってーー。
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所謂YA向けの本かな?小学校高学年くらいから楽しめる本だと思います。
数年前の夏休みの終わり頃、どこかの図書館が「学校に行きたく無い子は図書館に来てください」とメッセージを出したことがニュースになったのを思い出しました。
学校に行けず、それを家族にも言えない子供たちのこんな風な避難場所が、どの町にもあると良いよねえ。
物語はYA世代向けの良質なブックガイドにもなっています。
私もこれを読みながら、また読みたい本が増えました。
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ネットギャリーにて読了。
ずっと読みたかった本だったが、手に取る機会がなかった。
表紙の絵から、図書館から異空間に行くファンタジーなのかと思っていたが、全く違った。
主人公のほのかは小学6年生。母は、重い病気で長期間入院している上に、父親の仕事の都合で転校することになってしまった。
転校先のクラスカーストのてっぺんにいると思しきかおり姫に放った一言で、いじめのターゲットになってしまう。
最初は耐えていたほのかだが、学校に行こうと思っても足が一歩も踏み出せなくなってしまう…そんな時にほのかを受け止めてくれたのが、かおりと行った記憶のある、ボロいグレーの建物…図書館だった。
読むのが辛くなるほどの、イジメ。
担任の先生はちょっと無責任過ぎやしませんか?お父さんやお姉ちゃんはなんで気付かない?と問い詰めたくなるほどだ。
図書館が開くまでの時間や、休館日の時間をどうにかやり過ごすほのかの様子に、本当に胸が痛くなる。
図書館のヘビ男こと、無愛想なイヌガミさんの存在に読み手もどれだけ救われたことか。
終盤になるにつれ、光が見えてきてホッとする。
スタビンズ君との再会は出来過ぎな気もするが、それくらいのプレゼントがないとね、と思わせる着地点だと思う。
学校のクラスに居場所がないと感じている生徒は結構いる。
クラス替えが恐怖だという生徒も。
学校は色々な点で配慮をしているし、私の知る限り先生方も、様々な状況の生徒に寄り添っている、自分が中学生だった頃とは、大違いだ。
イヌガミさんの、図書館は個人の尊厳を守り、利用者の側に立つというその事を私も胸に刻みたいと思った。2022.6.10
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氷室冴子青春文学賞大賞ということで、気になって読みました。図書館で十数人待ちととても人気でした。
小学校の図書室でありとあらゆる本を読んでいた、あの頃を思い出す、読後の気持ちの良い作品です。
作中に登場する絵本などで知らないものがたくさんあったので、久し振りに絵本コーナーへ行きたいと思います。
ちょうど小6の息子にもぜひ読んでもらおうと思います。
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評判を聞いて手に取る。児童文学とのことで、最初の数ページはひらがな交じりの文章にひっかかりを覚えるが、すぐにそんなことは忘れてしまうくらいに引き込まれる。
子供だけの物語ではなくて、自分の物語だと感じる。主人公のほのかの痛みや苦しみが実感できる。そうして、大人であるがゆえに敵となる人々の背景も考えてしまう。
子供のころ、いじめられていたことがあって、その時に私はずっと本を読んでいた。そのころに私のそばにもこんな図書館があったら、今の自分はもっとずっと楽だったような気がする。読み終えて著者の経歴を見ると、なるほど、となる。
つらさとわくわくと冒険と、確かにとても面白い児童文学だった。
次の作品も楽しみ。
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他の方の投稿でタイトルや装丁をみてから、ものすごく惹かれて読みたかった本をやっと読めた。
不思議なお話かな?と思ったけれども、もっともっと深い心をすくいあげてくれるような、あたたかいおはなしだった。
うまく言葉に表せないけど、ほのかに感情移入をして胸が苦しくなったり、ほっこりしたり。ほのかの心情が小学生らしいことばで素直に表現されていて好きだった。
最後のページをめくったら、もうぐっときちゃいました。
「あたしさ、終わらせるのがいやだったんだ。だから、最後のページはめくらなかったの」
「本はまだまだあるぞ。終わったなら、新しいシリーズにうつればいい」
この言葉、すきだな。この子たちの心にもずっと残っていくんだろうな。
この子たちの、そして図書館のみなさんの先をもっともっとみたいと思いました。
幸せな時間をありがとう!
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エブリスタの中で1番好きな作家さん。大幅な加筆修正があり、満足。書籍を買ってよかったなあと。少女の成長物語なので、いじめっ子への制裁とかスカッとみたいな話ではない。
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難しい漢字がルビではなく、ひらがな表記ですので、主に小中学生向きではないかと思います。
いじめや不登校、差別的な話が登場するのですが、暗い雰囲気にはならず、明るく前向きな雰囲気にさせてくれました。特にいじめの描写は主人公ならではの解釈でネガティブ思考にさせない工夫は良かったです。
登場人物のキャラクター性が良くも悪くも際立っていて、児童文学よりの雰囲気がありました。
主に図書館が舞台なので、本の題名が登場します。また、各章に出てくる本の題名が物語のキーワードとなって、話を盛り上げてくれます。その中で一番印象深いのは、帯に書いている辻村さんの書評と同様、中盤あたりの話でした。ある人の発言が、ジーンと感動し、キターッとも思いました。
図書ならではの事と相まって、素晴らしいと思いました。
いじめや差別ともなると、どうしても視野が狭くなり、孤独ばかりが続きます。この本を読んでいると、勇気づけられることはもちろん、考え方もちょっと変わるかと思います。
小中学生向きですが、大人でも心が揺れ動き、良い作品でした。
大きな盛り上がりはありませんが、読み終わった後、心を温かくさせてくれました。
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いじめ問題を中心に少女の成長を描いている。テーマ性としては普遍であるし、問題提起から解決までの流れも非常に丁寧なので、児童向けとしては良作ではないかとおもう。取り上げられる作中取り上げられた児童文学なども巻末にあり、行き届いた本。
ただ個人的な思い込みのせいではあるのだけれど、表紙デザインとタイトルから「雨ふる本屋」シリーズのようなファンタジー方向の作品だと勘違いしていた。求めていたジャンルと全く違うため私個人の残す評価としては☆1として記録する。