紙の本
二重スパイ
2022/06/28 00:50
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
結局は、二重スパイといっても、いくらかは情報を最初の雇い主である国へ流さないと消される可能性があるわけですよねーそう思うと、二重スパイなんて所詮、成立しないような気が……。
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スパイ小説の古典や映画007ももちろん好きだけど、これは面白かった。
何よりもリアル。本当の話だから当たり前なのだけど。同著者の『キム・フィルビー』よりも最近の話ー冷戦末期、サッチャー政権下における脱出劇ーなので、自分の記憶にある時代の出来事と言うことだけでドキドキ感が増します。
MI6やKGBの組織もリアルに描かれている。
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2021年3月17日読了。
スパイものを数冊読んだが、これは秀逸。
今回は物が違う
「最高機密エージェント: CIAモスクワ諜報戦」
https://booklog.jp/item/1/4562053364
も面白かったが、今回はバリバリのKGBのスパイ「おレーク・ゴルジエフスキー」がMI6に寝返り、二重スパイとして活躍し、その正体が発覚、MI6協力のもとフィンランド経由でイギリスまで脱出する。
モスクワでゴルジエフスキーとMI6のやり取りや、脱出する際の連絡手順、実際の脱出手順などはまるでドラマのようだが、これは実話。
巻頭に写真が掲載されているので、結末はわかっているのだが、手に汗握るといっては大げさだが、スリルあふれる展開。
CIAのオールドリッチ・エイムズが逆にCIAエージェントをKGBにばらし、金を受け取り多くのCIAエージェントが1985年にKGBに逮捕、処刑される。
前述の「最高機密エージェント: CIAモスクワ諜報戦」でスパイをはたらくトルカチェフも1985年にKGBに逮捕、処刑される。時系列は符合するのでこの2冊はリンクしているところも興味深い。
今なお、ロシアでは「オレーク・ゴルジエフスキー」の暗殺指令は生きている。
ゴルジエフスキーはイギリスに亡命したのち、サッチャー首相、レーガン大統領とも接見しKGBの内情をレクチャー、今は偽名でイギリス内某所で暮らしている。
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本当に実話なのかと言うほどな内容
小説としても楽しめる
翻訳が一部わかりにくいところがあるが、理解するには問題ない
面白いです
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この一冊KGBの男 ベン・マッキンタイアー著 二重スパイが紡ぐ冷戦秘史
2020/8/1付日本経済新聞 朝刊
「元KGB(国家保安委員会)の人間など存在しない」。KGBの後継組織で演説したプーチン・ロシア大統領の発言である。この秘密組織に入り込んだ者は、生涯その一員であり続けるべきだという意味だ。本書の主人公は、共産主義イデオロギーに反発して、英国の秘密情報部MI6の二重スパイに転身し、冷戦下、西側に大量のソ連情報を送り続けた「元KGB」である。
これにより、ソ連のスパイ網が暴かれ、核戦争の回避が促進され、西側に有利な形で冷戦終結が導かれた。その功績から、架空のスパイ、ジェームズ・ボンドと同じ勲章をエリザベス女王から受け取った。対立するソ連と英国の2つの秘密情報組織の活動を通じて、知られざる冷戦の舞台裏が明かされる。「鉄の女」とKGBが蔑むサッチャー首相と、新指導者とKGBが担ぎ上げるゴルバチョフ書記長との初会談を成功させたのも、両秘密組織に通じる二重スパイが両国にもたらす情報であった。
「泣く子も黙るKGB」の内部やスパイ養成学校、国外での工作活動の実態が生々しく描かれるが、映画や小説で非道な完璧集団とされるKGBも、内実は硬直したソ連の官僚組織に過ぎない点が面白い。膨大な資料と本人や関係者のインタビューに基づくノンフィクションであるが、007に負けず劣らず、手に汗握るスパイ映画のようなシーンが連続する。モスクワ中心部の街頭で主人公が英国のスーパーのレジ袋を持って現れることが、MI6が極秘の国外脱出計画を決行する合図であった。英国大使館員の車のトランクルームに身を隠し、KGBの追跡を逃れてフィンランド国境に向けて命がけの逃亡を図る。
ソ連で死刑判決を受ける「元KGB」は、厳重な保護下で今も偽名で英国内に潜伏する。同じくMI6に寝返ったロシア軍の元スパイ・スクリパリ大佐は、英国内で神経剤を用いた暗殺未遂に遭遇する。英露ともに現在も世界中で対外諜報(ちょうほう)活動を行っているが、冷戦時代のような二重スパイが暗躍する華々しさはもはやない。これほど世界に影響を与えたスパイは、もはや登場しないであろう。
「KGBの一員」であり続けるプーチンは、憲法を改正して2036年まで大統領を続投する道を切り開いた。やはり、プーチン率いるロシアの本質は、KGB抜きには語れそうもない。
《評》防衛研究所政策研究部長 兵頭 慎治
原題=THE SPY AND THE TRAITOR(小林朋則訳、中央公論新社・2900円)
▼著者は英タイムズ紙のコラムニスト・副主筆。著書に『ナチが愛した二重スパイ』など。
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【彼は、私が今まで会ってきた中で最も勇敢な人物のひとりであり、かつ、最も孤独な人間のひとりである】(文中より引用)
ロシアの諜報組織KGBで出世の階段を上りながら、英国に寝返り、重要情報を私続けてきたオレーク・ゴルジエフスキー。いかにして彼は組織を、そして自国をを裏切るという決断に至ったのか・・・。著者は、『キム・フィルビー かくも親密な裏切り』などで知られるベン・マッキンタイアー。訳者は、『イスラームの歴史』などの翻訳を手掛けた小林朋則。原題は、『The Spy and the Traitor: The Greatest Espionage Story of the Cold War』。
ここ最近で一番面白かったノンフィクション作品。手に汗握るという言葉がピッタリくる「騙し騙され」劇に寝る間を惜しんで読み進めてしまいました。「信頼」と「裏切り」について深く考える上でもオススメです。
ベン・マッキンタイアーにハズれなし☆5つ
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冷戦も遠くなりにけり、だが
当時の緊張感を生々しく語る。
とにかく、映画でしか知らないスパイの世界、
尾行をまくドライクリーニング、や放射性のスプレーなど
ディテールが面白い。
主人公だげけでなく、周囲を取り巻く人物も
キャラクターが揃っていて上質な小説のよう。
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東西冷戦時代に実在した旧ソ連のスパイのドキュメンタリー。KGBのスパイだったオレーク・ゴルジエフスキー。彼の信念で共産体制に疑問を持ち英国のスパイにもなる。二重スパイとなり、ゴルジエフスキーはKGB内で出世をし、より重要な秘密情報を英国に流せるようになる。彼を裏切った者により、ソ連から英国に亡命しなければならなくなる(家族を置いて)。その脱出劇が映画そのものである。筆者の取材力もあるのだろうが、自白剤を盛られたゴルジエフスキーの状況や尾行をまく手順、車のトランクに隠れてソ連から出国する描写は、本当にドキュメンタリーなの?と疑いたくなるくらいスリリングなものだ。フィクションのように楽しめた。
「最高機密エージェント」も面白かったけど、こちらは真に迫る描写が面白い。
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ソ連の情報部高官にしてMI6の協力者。核戦争を止めたゴルジエフスキーの危険な諜報活動を、絶体絶命のソ連脱出劇まで克明に追う!
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ソ連の諜報員KGB、しかしイギリスのスパイでもあった実在の人物・ゴルジエフスキー。彼のインタビューから誕生したの本書。後半、モスクワからフィンランドを経てイギリスに逃れ亡命を果たす件は、圧巻。しかし、英国に逃れることは出来たが、夫婦・家族関係など大きな代償も招く生き方は、悲しくも考えさられるところも多い。その後の米ソ、英ソの関係、冷戦体制の崩壊、元KGB出身の大統領、そして今なお続く、ロシアによる不可解な暗殺を暗示させる事件の数々などの元凶も彷彿とさせられる。
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今年一番面白かった本!約500ページのボリュームにも関わらず一気読み。
ジョン・ル・カレやジャック・ヒギンズ等の小説を貪り読んでた頃を思い出したが、この本はノンフィクション。よく出来たスパイ小説以上にスリリングで面白かった。
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父親も兄も妻もKGBのスパイというスパイ一家に育ちながら、敵対するイギリスのMIT6の二重スパイになった男がいた。金や女で「転ぶ」スパイが多い中で、彼は確信犯。西欧的教養を身につけ、ハンガリーやチェコの弾圧を見て憤り、自らの道を選択した。二重スパイのリスクは極めて高い。判明すると、拷問のうえの死はまぬがれない。様々な情報合戦、スパイ追放のやりとりの中で、消去法から疑いをかけられ、魔の手がせまる。彼に待ちうけていた未来とは? その報告は、サッチャーが日常的に眼にし、冷戦下のソ連と西側の衝突回避に貢献、あのジェームス・ボンドももらったという勲章を、英女王から授与されたという二重スパイ。信念にもとづき行動したことには悔いはなかったにせよ、友を裏切り、家族とも別れ、孤独な日々を過ごさざるをえなくなった彼の人生は、果たして幸福と言えるものであったのか。彼の心に去来したものは…。事実は小説より奇なり。諜報活動や脱出劇は、スパイ小説より面白い。
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途中からページをめくる手が止まらなくなる。読み終えた時、安堵感と疲れめいたものを感じたくらい、この本の世界に引き込まれた。
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文句なしの5つ星。
スパイ小説は結構好きで、ジョン・ル・カレも何冊か読んだが、本当にあの世界は現実だったと思わせる本。ストーリーは淡々と進むのだが、手に汗握る展開だった。冷戦時のソ連、英国、米国の水面下の動きは本当に想像を絶する。主人公がソ連を裏切った理由は少し「本当にそれだけ?」という気がしないでもないが、これは本人にしかわからない。しかしどの機関もモラルが低いのはなぜなのか・・・。特にCIAは金がないからとそう簡単に寝返るものか・・。最初のリクルート、勤務状況の把握があまりにもずさんなので70-80年代だから?
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ソ連KGBに所属しイギリス大使館に勤務するスパイが、イデオロギー的な葛藤からイギリスMI6に情報を提供するようになった二重スパイのノンフィクション。
スパイの日常的な活動が興味深いし、冷戦時代に核戦争にも繋がりかねない状況において、陰で戦争回避のため彼からの情報が役立ったいたと言うのが驚きです。
怪しまれてソ連に呼び戻され、そこからソ連を脱出する過程は下手な小説や映画より手に汗握り息が詰まるほどの緊張感があります。
量が多くて読み切るのに時間がかかるがおすすめです。