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祖母咲子
2022/06/10 01:14
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代が次々かわるので、ちょっとそこはよみにくかったです。今は、どちらか……を気を付けて読まないと……。人物設定にはいろいろ、言いたいこと多いですけど。例えば、夫の母ねえ……こんなイジワルな姑は、いないんでは?
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読み終わった瞬間、この話、大好きだと思った。
これから何度でも読み返すと思った。
夫婦間に問題を抱えている美佐と祖母の咲子。
着物と咲子が残した手記が繋ぐ過去と未来。
愛と慈しみ、憎しみ。
なんて愛しい物語なのだろう。
なんて切ない物語なのだろう。
そこにはかつての私達がいるのだ。
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母離れができない優柔不断な夫に見切りを付け、
家を出た美佐は、東京の下町・谷中で着物の
ネットショップを切り盛りしている。ある日、
実家の蔵で、箪笥に仕舞われた銘仙、謎の写真、
3冊のノートを見つけ…。
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着物の知識は全くなかったけど
想像でも充分にノスタルジックな気分を味わえた。
戦時中のあらゆる事柄が統制されていた中でも、
せめて心の中だけは豊かでいたかった女の子たち。
恋愛とはまた少し違う人と人との繋がりが、
過去と未来で違う形で対比されていて面白かった。
崇拝に似た妄信と依存、信頼と共存。
少しの疑心と想いのすれ違いが、
溝をどんどん広げていき、
気付いた時には最早修復不能となっていく。
でもどんな形であれ、
強く想う気持ちだけは、決して色褪せない。
それも着物の艶やかさと
メタファーされてるのかな。
戦時中の事で初めて知った事も多く
色々と勉強になった本。
心に残った一言
「本当は正義など、それぞれの歪な心に
歪な形で宿っているものなのです。」
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夫と別居しネット上でアンティーク着物ショップを経営している美佐は、実家の土蔵にあった時代箪笥の中に亡き祖母の手記を発見する。現代の美佐と太平洋戦争中の祖母の手記が交互に綴られていく。現代編は着物の知識がなくて戸惑い、過去編は百合族のような話に面食らった。うーん、ぼくにはちょっと、よくわからなかった。
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アンティーク着物のネットショップを営む美佐は不妊治療や義母の介入に疲れて別居中。
実家の蔵にあった祖母の箪笥から見つけた古い銘仙。祖母にはサイズの合わないその着物と一緒にあった見知らぬ美少女の写真と三冊のノート。ノートにつづられる祖母の思い。そして明らかになる秘密。
うーん、これは好きだ。
美しくはかないものを愛するかつての少女たちのささやかな暮らしが、戦争によって蹂躙されていく。
切ない。あまりにも、切なくて悲しい。人生に「もしも」はないけれど、それでも思う、もしもあの時…
稚くてはかなく楽しい時間があまりにも美しすぎて、そのあとの長い長い時間の重さが苦しい。
それだけど、あるいはそれゆえの、このラストに大きく微笑んでしまう。
女の意地と強さは美しい。
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あっという間に読み終わり。面白かったけど、どの人にも共感できず。今時あんなお姑さんいるかな?戦中、あんなビッチがいたのかな?と思った。ま、小説だもんね。
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夫と別居中の美佐と美佐の祖母・咲子の章からなる物語。美佐の方はまあいいんだけど、咲子の章の文体に馴染めず進まない。いつになったら面白くなるんだろうと思いながら、苦行のように読み進めいつのまにか終盤。
少女趣味で懐古調のストーリー、薄っぺらい戦争の描写、現在と過去エピソードの融合しなさなど気に入らない所は上げればキリがない。
久々の「読むんじゃなかった本」でした。
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磯貝美佐、30歳 人工授精を何度もしているのに、子宝が、授からない。
そのことに、義母から、嫌みを言われ、そして、母親離れ出来ない夫と生活していた3LDKのマンションを出て、6畳1間の共同トイレしかない部屋で、アンティーク着物のネットショップをしている。
最初のプロローグから、高等女学科という言葉で、時代が、明治か?大正か?と。
主人公 美佐の実家の庭の蔵を壊すという事で、骨董品の処分について、美佐の友人 関君と共に片づけ始める。
そこで、祖母の箪笥の引き出しから、銘仙が、・・・
昔、母から、普段着だけど、色の良さで、お召にもしたものだと聞かされた銘仙という言葉に、懐かしさを感じながら、読み進む。
秩父。足利・伊勢崎・八王子が、銘仙で、有名だったらしい。
戦後30年以降は、ウール地が出て、廃れて行ったのだろう。
蔵の箪笥の銘仙は、祖母の着丈には小さい着物であった事に、美佐は、何故か気になるのだった。
そして、3冊のノートと二重底から見つけた古びた写真
。
美佐の現代の生活と祖母咲子の大正から昭和への戦争を挟んだ時代が、交互描かれている。
戦争時代の事は、両親からも、余り聞いた事がない。
疎開の話。焼夷弾。東京大空襲。
母の伯父であった、宇垣纏氏(司令官)は、山本五十六氏(司令長官)と共に、大和の戦艦の指揮を取ったと話を聞いているが、長男には厳しかったみたいだが、母には、とても優しかったと聞いていた。
咲子の夫の英雄が、人間魚雷で、特攻が、中止になり、帰還したのは、良かったと、思ったのだが、小説では、複雑な思いがした。
咲子は、愛のない夫婦生活、義理の母からの叱咤、そして血のつながらない息子の養育。
そして、幾つしみ、自ら犠牲にしてまで、守った龍子からの冷たい仕打ちに、打ち沈んだ事だろうと、思う。
最後の方になって、龍子の着物整理へと出かけた美佐。
祖母咲子と同じ紋の入った箪笥、その中から出てきた銘仙の着物。
龍子の願いは、死んだ時に棺桶には、この着物を着せて欲しいと・・・
それは、咲子の着物であった。
咲子は、龍子の着物を後生大事に持ち、2人共、思い出の着物を大切にしていたのだ。
そして、龍子が、咲子の息子へと、「細雪」の私家版の本から、咲子の写真が、・・・・・
龍子のそっけない息子への思いだけが、気に入らなかったのだが、やはり、ずっと気になっていた事に、何故か、2人の思いが、ずっしりと、理解出来た。
しかし、やはり、死後、孫が、わかるより、生きている間に、和解ではないが、心を通じ合って欲しかったと、思った小説だった。
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祖母咲子の日記からなる咲子視点の戦争前後の時代と美佐視点の現代。残された写真と着物の謎、一家の秘密に関わる謎解きが祖母たちの本当の心のあり場所を告げる。深く愛しながら一度も会わずに一生を送る、なんと言う人生だったのだろう。切なくなった。
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坂井希久子「花は散っても」、2021.1発行。大作です。読み応えがあります。読後、深い余韻が後を引きます。昭和2年生まれの義理の姉妹、川端龍子と川端咲子の友情を、川端咲子の孫、美佐が川端咲子の遺した3冊のノートを読みながら紐解いていきます。特攻志願の川端英雄にはなむけとして身体を与えた龍子が身籠ることで物語は大きく展開します。この作品、前半はあまり面白くなく、イマイチかと思いつつも、後半一気に盛り上がり、第4コーナーを過ぎてからが本番という感じです。「花は散っても」、いい作品です。
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優柔不断な夫に見切りを付け、家を出て着物のネットショップを営む美佐。実家の土蔵で彼女が見つけた写真に写る美少女の正体は!?
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美佐の現在と、美佐が読んでいる祖母の遺したノートに書かれている戦中の話が交互に出てくる。
どちらかの話がどっぷりと重くなりそうになったら、もう一方の話となり、連作短編集のようだった。
美佐を苦しめる義母や夫も、戦前の上流階級の甘ったるさも、作品とのほどよい距離が保たれているためか、嫌気が差すことはなかった。
ここが面白いんだ、という点がうまく説明できないが、一気読みだった。
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どこかで読んだことのあるよう設定なんだけど、面白かった。
美しい愛おしい日々が戦争により壊されていく過程や、それにより心も壊れていく姉さまの描き方がとても綺麗で、食い入るように読んでしまった。
なぜその後、咲ちゃんと姉さまが疎遠になったのかが気になり止まらなかった。
なるほど。
本当に男が勝手に始めた戦争に翻弄され、男の身勝手に打ちのめされたのだなと。
でも姉さまは、あまりにもお嬢さん過ぎて引いてしまった。
ラストがお祭りだったのも良かった。
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時は止まってくれないから、
ついつい忘れてしまう。
今目の前にあることに必死で、
手を伸ばせば届くところにある過去ですら
遠きものにしてしまう。
それほど遠くない過去、
私たちの国は戦争をしていた。
多くの人々が失われ、
たくさんの想いが引き裂かれた。
離婚すべきか否か悩む
現代2019年に生きる川端美佐さん。
その祖母・川端咲子さんが遺したノート
に描かれる1940年代の少女時代。
目下の悩み、
夫との関係・自活の難しさに翻弄されながら、
美佐は咲子のノートの内容に惹かれていく。
自分のルーツがどこにあるのか。
祖母が伝えたかった想いとは何か。
そして自分はどうするのか。
祖母の人生を考えるということは、
父母の人生を考えることでもあり、
義父母について考えることにもつながる。
厳しさを増していく戦争時代の
生活を知ることは
今の日々を知ることにもつながる。
いずれもどれが絶対的に正しく、
どれだけが完全な悪だとは言えない。
それぞれの日々があり、想いがある。
異なる時代に生きた人の日々を知ることは、
自分の今のかけがえのなさを教えてくれる。