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商品説明
東方に重心を置きつつ古代キリスト教史・聖書を見ると、どう見えてくるか。「新約聖書で最初にできたのは「マタイ福音書」である」「Q資料仮説は不要である」など、挑戦的に問題提起する。翻訳「トマスによる福音書」も収録。【「TRC MARC」の商品解説】
新約聖書で最初にできたのは『マルコ福音書』ではなく『マタイ福音書』である;仮説の「Q資料」など存在しない;1945年発見の外典『トマス福音書』の原語は?などなど―通説への挑戦の書がここに誕生! 『トマス福音書』新訳を収録。【商品解説】
目次
- 第1部 聖書(旧約・新約)とその周辺
- 第1章 共観福音書問題のための覚書
- 1 はじめに
- 2 ルカは自分の福音書を書く際に何を手にしていたか?
- 3 使徒パウロは何に拠ってイエスの言行を知ったか?
- 4 共観福音書問題の検討
- 5 結 論
- 第2章 『トマスによる福音書』における弟子イメージ
収録作品一覧
共観福音書問題のための覚書 | 3−31 | |
---|---|---|
『トマスによる福音書』における弟子イメージ | 33−46 | |
聖書解釈をめぐる若干の考察 | 47−62 |
著者紹介
戸田 聡
- 略歴
- 〈戸田聡〉北九州市生まれ。文学博士(オランダ・ライデン大学)。北海道大学大学院文学研究科准教授。専門は古代キリスト教史、東方キリスト教文学。著書に「キリスト教修道制の成立」など。
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紙の本
「トマスによる福音書」新訳を含む
2021/07/16 09:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「マルコ伝と『Q資料』がマタイ伝とルカ伝の下敷きではなく、マタイ伝は最古の福音書であり、『Q資料』は存在しない」とは随分と「大胆」な主張なように見えるが、実のところは以前からの通説に戻ったまでだ。「Q資料」はテキストの断片でも見つかれば話は変わるが、今のところは見つかっていないから実際に存在していない可能性はありそうだ。著者はマルキオンがルカ伝を独自の本文批判によって短くした事がマルコ伝の短さの証しと見做しているようだ。マルコ伝が最古の福音書である事は譲れないとは思うが。「パピアスの断片」にうかがえるように、福音書が成立するまでは口伝でイエスの言行録が伝わっていたらしいが、これは重視してもいいかもしれない。ヴェーダ文献やパーリ語聖典などは今でも口伝されると言うし、クルアーンは声に出してアラビア語で「詠む」テキストだ。
「トマスによる福音書」の新訳が付されている。「ナグ・ハマディ文書」で荒井献が「王国」の訳語を使っているからか、「御国」とか「神の国」とか訳されそうな言葉は「王国」になっている。「ナグ・ハマディ文書」の「トマスによる福音書」で「王国」の訳語を使っているのには驚いた記憶がある。エホバの証人は以前は「王国」ではなく「御国」を使っていて、新世界訳聖書で"Kingdom"と訳した英訳から「語義訳」して「王国」と訳しているが、どうも「王国」はエホバの証人色の強い訳語だ。グノーシス主義化されたイエスの語録集という位置づけだが、「論語」や「老子」、「歎異抄」といった語録化された聖典類がある。紙に文字として書かれたり印刷されたりして固定されたテキストとして聖書を解釈されるが、その観念から解放されたら、また違って見えるかもしれない。訳文は読みやすい文体だ。「トマスによる福音書」に見られる四福音書に見られないイエスの言葉は元から口伝で流布された言葉に由来しているのか、それともグノーシス主義化された言葉なのか、になると思う。
別々に発表した論文が元になっているからか、聖書の書名が口語訳を元にしているものと新共同訳が元になっているものとが入り混じっているし、また「クルアーン」と「コーラン」と表記が統一されていない。