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葉山嘉樹短篇集 (岩波文庫)
長篇「海に生くる人々」で知られる葉山嘉樹。下級船員、工場底辺労働者ら最下層の人たちに共感の眼を向け、自らも貧しい農夫として戦争の混乱のなかに倒れた特異なプロレタリア文学者...
葉山嘉樹短篇集 (岩波文庫)
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商品説明
長篇「海に生くる人々」で知られる葉山嘉樹。下級船員、工場底辺労働者ら最下層の人たちに共感の眼を向け、自らも貧しい農夫として戦争の混乱のなかに倒れた特異なプロレタリア文学者の短篇を精選して収録する。【「TRC MARC」の商品解説】
葉山嘉樹(1894—1945)は、長篇『海に生くる人々』で知られているが、短篇小説でその本領を発揮した。葉山は虐げられた弱者、庶民、労働者を丹念に描き続けた。そこには、当時の日本文学が掬い切れなかった人間の破滅への衝動、思索的な内面性、文体・表現の斬新さ…、まったく独自の世界がある。 全短篇から、新編集により精選。葉山文学の真面目が初めて立ち上がる。【商品解説】
目次
- セメント樽の中の手紙
- 淫売婦
- 労働者の居ない船
- 天の怒声
- 電燈の油
- 人間肥料
- 暗い出生
- 猫の踊り
- 人間の値段
- 窮 鼠
収録作品一覧
セメント樽の中の手紙 | 7−12 | |
---|---|---|
淫売婦 | 13−40 | |
労働者の居ない船 | 41−63 |
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プロレタリア文学の葉山嘉樹の代表作「セメント樽の中の手紙」が読める短編集。「暗い出生」が一読の価値あり!
2021/07/02 02:05
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:コピーマスター - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本のプロレタリア文学と呼ばれるものには個性的で面白いものが多いと知りあれこれ読み漁った時期があった(若い時分です)。だからこういうのが新刊で出るとやっぱり気になってしまうし、付録の解説も読みたくなる。葉山嘉樹は「海に生くる人々」が岩波文庫で出ていたので所有しており、大分以前に読んだ筈が内容の方はすっかり忘れてしまっている。「セメント樽の中の手紙」も以前読んだことがありこちらは再読であった。まあキツい話である。葉山嘉樹はプロレタリア文学とはいえ、小林多喜二の諸作とは明確にカラーが違う。あとがきを見るとどうやら『戦旗』派(小林)と『文芸戦線』派(葉山)の違いらしいことが書かれてあった。この葉山の短編集。主体であるところの肉体がもはや健全な形から程遠いまでに毀損されてしまっている設定が何と多いことか。もはやここから勇ましい精神が立ち上がってくることは期待できそうにもないほどコテンパンなのである。おい大丈夫か君、しっかりしろプロレタリアート!短編集の構成として年代順にならんでいるので作風の変遷をたどることもできる仕掛けだ。後に行くにしたがってより複雑、掴みどころがあるような無いような話(それゆえ味わい深いとも言える)になっていく。全編で最も印象深かったのは「暗い出生」。シンプルなストーリーにして「日本人」的なものを凝縮したようなリアルさがあって、なにやら落ち着くところに落ち着いてしまう絶妙なバランス感覚といい、令和に生きているはずの自分が思わずハッとさせられた作品である。