紙の本
宇宙のはじまりからおわりまで
2022/01/25 09:33
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
おおまかに、前半が物理法則のことやこれまでわかってきた宇宙のとことなどを概観し、中盤は生命・人間の文明のこと、後半は、まだわかってないことを含めて、この宇宙の今後・最後までを見せてくれる内容です。
本書の内容とは直接関係ないのですが、この本読んで、劉慈欣の「三体」(特に第3部)を読むと、ちょっと話の展開がより楽しめるような気がします・・・
電子書籍
何気ない疑問の広がりに応える本
2021/12/31 12:41
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:*iroha* - この投稿者のレビュー一覧を見る
マインドマップのように広がりを持つ疑問を解いていく。
専門用語や方程式などがなく、知的好奇心を満たしてくれる読み物として楽しい本です。
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『宇宙を織りなすもの』を読み終わったところにちょうど新刊。あまりのすばらしいタイミングに引き続き読書中。
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宇宙の始まりからその終わりまで、生命の存在も含め全ての事象は物理的法則に従っている・・・。その時間軸の壮大さといったら!その視点からすれば私たちの命などほんの一瞬にも満たない物理的現象に過ぎないのかもしれない。一方、ここに命があることは奇跡的な物理現象でもあるのだろう。目の覚める一冊。読んでよかったと思える本。
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久々のブライアングリーンの著作です。
過去のものは宇宙の構造や量子力学の構造について解説しましたが今回は若干哲学的スピリチュアル的な要素を含みます。
これは宇宙の果て空間の果てはどうなっているのか、宇宙の始まりはどうなっているのか、生命とは何なのかと言うのを突き詰めていくとどうしても哲学的なところに行き着いてしまいます。
ただ個人的にはこういうのはあまり好きでは無いのですがこの著作はそれらの問題にもできるだけ科学的に述べられています。
今までとはちょっと毛色が違うことだけは確かです。
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レビューはブログにて
https://ameblo.jp/w92-3/entry-12735355002.html
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こういうので厭世的にならずに宗教的にならずに希望をもって終わるのはすごいと思う。私の知っている範囲からしておそらくサイエンスのメジャーどころの言い分にかなり忠実そうだし。終末に向けて章立てしてるのはよくできてると思うけど。響くかというとうーん。
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本質的に死に直面した人間だけがもつ恐れ──「すべての宗教、すべての化学研究、すべての哲学は、その恐れに由来する」。若き日にオズワルド・シュペングラーの著作でこの言葉に接した著者の述懐から本書は始まる。著者は、科学、芸術、思想などのさまざまな人間の文化に「隠されたパターン」すなわち「終末への眼差し」が存在することを自然主義の見地から解き明かそうというのが本書の企みだ。これまでの著作を特徴づけていた超弦理論や11次元といった宇宙論は若干後景に後退し、進化論や意識論はともかく文芸論、芸術論といった人文的内容までもが語られるため、訳者あとがきにあるように既存の読者は若干面食らうかもしれない。僕もそうだったが、しかし通読すればいつもの通り、知者の深い洞察に触れた時のあの感動に襲われること請け合いである。
本書の構成は良くも悪くも直線的である。宇宙と生命の成り立ちを記述するユニバーサルな法則である「熱力学第二法則(エントロピー増大の法則)」と「自然選択(ダーウィニズム)」を二本の柱とし、宇宙の始まりから人文活動のあらましまでが線的に説明される。ビッグバンから続く宇宙が斥力的重力に延々と引き伸ばされ、エントロピック・ツーステップにより秩序ある構造がもたらされ、自然進化の過程を経て現在の思考する人間が生じた。しかし宇宙がこのまま膨張を加速し続ければ「宇宙の地平線」で熱が生じるため、秩序ある構造が発生する熱を吸収することができなくなり、宇宙は構造なき最期を迎える──大まかにいうと本書はこのような流れに沿っており、そこに複線的な複雑さはない。しかも端的に言って、本書で行われていることは詰まるところ思考実験だ。宇宙でこれまで起こったことに考察を加え、これから何が起こり得るかを演繹しようというわけだ。
こう述べてしまうと一見本書の内容はよくある未来予想に思える。しかし、この実験を裏で支えるのが冒頭から繰り返し言及される「熱力学第二法則」である、という点が本書の大きな特色になっている。熱力学の名が付されているためと、秩序と関連づけて語られることが多いため僕のような門外漢はすぐに誤解してしまうのだが、本書で強調されるようにこの法則は確率論的思考、すなわち「マクロ的状態を記述するミクロ的粒子状態がどれだけ〈ありふれた〉ものであるか」に裏打ちされている。コインを投げ続けるうち表が出る確率はどんどん〈ありふれた〉1/2に漸近し、一万回投げて全て表が出るということはまず起こりそうもない。しかし宇宙の終末は人間の経験を遥かに超越した超長期の時間経過後であるため、殆ど無限にコインを投げ続けることも可能で、そこでは通常の感覚では起こり得ないことも起こり得る。例えば本書では、高エントロピー空間を漂う粒子がたまたま衝突しエネルギー変換により質量を得て、たまたまうまい具合に原子・分子・生物構造を獲得し、たまたま脳を形成し思考を獲得する、という「ボルツマン脳」が紹介されているが、このような超偶然も10^10^68年という途方もない超長期を想定すれば実現可能だというのだ。
ここだけ聞くと「何でもあり」の結論が導かれるだけの空論に思える��、本書が一筋縄では行かないのは著者の主張が「まさにそこにある」という点にある。我々の思考が今存在するのは、宇宙が純粋な確率論的振る舞いであるエントロピック・ツーステップを踏み続けただけでもたらされた、まさに上述のような途方もない偶然の帰結だという点に著者は読者の注意を引きつける。「何でもあり」の結論が生じて然るべき〈ありふれた〉熱力学のルールから、秩序ある構造はおろか、機械論を超越するかのような「思考する主体」が生み出されたという、今目の前で観察される事態がいかに〈ありふれたことではない〉か、を著者は問題にするのである。
複雑怪奇な宇宙論をとことん突き詰めた著者が、熱力学第二法則のような比較的単純でユニバーサルなルールに立ち返り、本書のような洞察を得るに至ったその思索の経緯に思いを巡らすと、その途轍もなさに脳髄を揺さぶられるかのようなめまいを覚える。著者のような知性を望むべくもない僕が読書に求めるのは、まさにそのような強烈な経験なのだ。
最後に、本書を読んでいて何度も感じたのは、哲学者ダニエル・デネットとの類似点。例えば著者は還元論者を自称するが、例えば自由意志を論ずる章ではハードな決定論を取るのではなく、デネット同様、自由の概念に一定の改訂を加えた上で自由意志と物理的世界の両立を図ろうとする。また、本書では「入れ子になった物語構造」という概念が何度も登場するが、これは「物事を記述する方法として幾重にも重なった入れ子状の『物語』があり、適切に物語の階層を選択した上で物事を記述し、さまざまな分野の物語を丹念に結び合わせて像を結ぶことでしか知的な理解は得られない」というものであり、これもデネットの方法論と酷似している。本書ではデネットは引用されないが、僕には全く異なる分野の二つの大きな知性が、不思議にもクロスオーバーしているように思えた。
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〈アクションプラン〉
・何でもいいから、何かを残す・伝える
〈マインド〉
・死ぬのは悲しいけど、種としての人間が死ぬのは恐らくまだ先だから、生きる価値はある
〈感想〉
社長におすすめの本を聞いたところ本書を紹介され、ド文系の自分が1ヵ月かけて必死に読みました。
熱力学の第二法則、エントロピーという言葉を全く知らない身でしたが、何とか2割くらいは理解できたかなという印象です。
専門的な用語でつまずき、諦めたくなる衝動に駆られますが、読み進めていくとかなり深くて面白いことに気付きます。様々な科学的知見、仮説が紹介され、知的好奇心がくすぐられました。特に本書は「宇宙の始まりから終わりまで」といったテーマのため、本を読みながら旅をしているような気分にしてくれる一冊だなと感じました。
研究者の書いた本はなかなか取っつきづらいですが、じっくり読んでいくことで自分なりの深い洞察が得られるという実感を得ました。
個人的に面白かった表現は下記の1文です。
「「私」とは、特定の粒子配置を表す略語のようなものだ」
この文章はかなり刺さりました。非常にスマートで上品なボケという感じです(ボケではないと思いますが)。
適切に理解できているか怪しいですが、大まかに言うと、あらゆる思考や行動は脳内の「粒子の配置の変化」によるものであり、今この瞬間の私とは、「粒子配置」によって規定され説明されるものであるということ。
多くの人は自分の意志で自由に考え行動していると思っているが(自由意志)、実際は全て粒子が先んじて動いた結果の現象であるということ。したがってそれは物理法則に支配されている。
自由に思える人間の認知・行動は、あくまで物理法則の支配下にあるものであり、故に自由ではない。
以上をまとめて、「自由意志は感覚に過ぎず、現実には存在しない」ということらしい。
こんな風に物事を考えていて、それが当然であると受け入れている人が世の中にいることに驚きました。
浅はかな理解ですが、理系の人はすごいなと。還元主義というらしいですが、ここまで徹底して人間を分解し、物理法則の俎上に載せて現実を捉えている人がいるということに感動を覚えました。
これまで自分が全く考えもしなかった人間観を突き付けられたことは、本書を読んで良かった点の一つと言えます。
学びとしては、最終部で出てきた以下の問いが挙げられます。
「余命1年と宣告されるのと、1年後に地球が消滅すると宣告されるのは、どちらがショックか?」
この問いは非常に興味深いものでした。結論を言うと、後者の方がより無価値感を感じるだろうということ。
自分自身が死ぬのはもちろん悲しいことですが、一方で残った人たちにバトンを託すことはできます。そもそも我々は過去からずっとつなげられてきたバトンを受け取ってここにいるのであり、それをまた後世の人に託していくことで一生を全うしたという気分に浸ることができると考えられます。
他方、地球の消滅は、これまで人類が受け継いできたあらゆる英知の消滅を意味します。つまり、もう��れ以上何を積み上げ、残そうとしても、全ては無意味になってしまう。
これは想像してみると恐ろしいことだと思います。そう考えてみると、「自分(個人)が死ぬのは悲しいけど、人類(種全体)が死ぬよりがはマシ」と思える気がしました。
本書を読んで、「死への恐れ」に対して自分なりに以下の結論が出ました。
・死ぬのは悲しいけど、それは免れ得ない(=永遠は無い)。
・そして個人は死んでも、後世にバトンを繋いでいくことはできるし、幸いなことにその余地が残された世界に生きている(=地球が消滅するのは何十億年後)。
・だから、「次の世代に対して、何でもいいから何かを残す・伝える」ことで、いざ死を目の前にした時に幾分不安や恐怖を和らげることができる(だろう)。
最後に余談ですが、最終部で「宇宙からしたら人間の積み重ねた歴史なんてちっぽけなもので、全く気にも留められないかもしれない」といったようなことが書いてありましたが、片思いのようでかわいいなと思ってしまいました。いつまでたっても振り向いてくれない宇宙への壮大な片思いと考えると、研究者の情熱は片思いと性質が似ているが故に、ずっと楽しみ続けられるのかなと推測しました。
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あちゃー、難しかったわ、これ。
学校行事の持久走大会に気負いなく参加したら、
激むずのアップダウンしかも長距離コース
だったみたいで、とにかくゴールするだけに、目標を定めて走ったみたいな読書体験になりました。
エントロピーの法則って、こんなにすみずみまで
宇宙を支配しているのね。
昔から、未来まで。この本には
物理学者の皆さんが数式で考え、
後に実験で部分的に確かめてきた
宇宙のでき方と未来を俯瞰する。
終盤には
宇宙の終わりの予想が書かれていて、
想像力が届かず「はーーー、」って
ただただ息が漏れるだけだった。
でも。きっと再読する。また苦しくなりたくて
読みにくる。そんな予感がします。
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超ひも理論の研究者ブライアン・グリーンが、ビックバンから時空の終焉までを描き出したポピュラー・サイエンス本で、原著は、2020年の出版。
そのスケールの大きさに応じて、本も結構な厚さで、索引までいれると640ページくらい。
グリーンは、超ひも理論やM理論を解説した「エレガントな宇宙」ではまって、「隠れていた宇宙」もスリリングであった。「隠れていた宇宙」は2011年の出版で、多分出版された年に読んだはずなので、すでに10年くらい前なんだな〜。
超ひも理論の最近の研究状況などを踏まえた宇宙論、時間論なのかなと思って読み始めたが、驚いたことに超ひも理論は言葉としてはでてくるものの、ほとんど説明はなく、「エレガントな宇宙」を読んでくれ、みたいな感じ。
では、なにが書かれているのかといえば、エントロピーの話が中心。いわゆる熱力学第2法則を中心にして、相対性理論や量子力学を組み合わせながら、宇宙のこれまでとこれからを大胆に描いていくもの。(量子力学より相対性理論の記述のほうが多めなのもちょっと意外だった)
エントロピーはほっとけば増大しつづけるはずなのだが、今、わたしたちがいる世界は、美しい秩序があって、さまざまな多様性があふれている。これはどうしてなのか?というのはわたしが長年持っている疑問。
その疑問に対して、なんらかのヒントを与えてくれるのは、いわゆる複雑系科学で、プリゴジンの散逸構造などの議論なのだが、この辺の議論は、量子力学などをやっている要素還元主義(?)的な物理学者はあまり積極的にはしないように思える。
が、グリーンは、この本では、そのあたりの複雑系の議論、進化論、情報理論などを組み合わせながら、エントロピーが増大するなかで、なぜ秩序が生み出され、さらに進化していくのかというのを大きなピクチャーとして描き出している。
それは、エントロピック・ツーステップという考え。
外部からエネルギーの供給をうけ、内部的な秩序を生み出し、その結果、生じるエントロピーを外に排出する仕組みが、宇宙の構造、つまり恒星とか、銀河系の構造とか、そういうものだけでなく、生命の構造などを生み出しているという。
そして、それは秩序を生み出しているのだが、全体としては、やはりエントロピーを増大させており、長い長い時間のなかでは、宇宙はのっぺらとしたなにもない無秩序に終着するという。
なるほどではある。この本での説明はわかりやすくて、説得力があるのだが、それだけなら、こうした議論はこれまで読んだことがある。
この本が面白いのは、生命が誕生し、そこから人間が進化し、意識、知性が生じたということ、さらに言語が生じて、人間が複雑な思考を可能にして、まさにこうした宇宙についての高度な知識を獲得していくことをその宇宙の大きな歴史のなかに位置付けていること。
さらに、その議論を単にダーウィン的な生き残りとか、性選択の議論に終わらせるのではなく、物語ること、意味を探求することについて、かなりの分量をさいて議論しているところが面白い。
つま��、グリーンは、物理学者なんだけど、通常、人文科学、社会科学で議論しているような領域までカバーしているということで、このチャレンジはなかなかのもの。
と言っても、議論の大きなフレームは、エントロピック・ツーステップにあって、大胆な議論ではあるけど、トンデモな話にはならないところが素晴らしい。
最後まで頑張って読み進むと、「時間の終わり」の話はちょっとダークで元気のでない結論になる。(まあ、エントロピーの話をすると、それはまあ仕方がないことだが、、、)
グリーンも物理学者らしく(?)、基本、唯物論的な世界観でなんらかの超越的なものを認める議論にはいかないのだが、でもわたしたちが今生きているということ、そして、こうしていろいろなことを考えたり、洗練された文化を生み出しているということの奇跡をしみじみと味わうという話しで大著は終わる。
宇宙論とか、生命の進化とか、そういう本を読むと、ほんと世界ってすごいな〜と思うわけで、自分の身の回りのお悩みがどうでもいい気持ちになって気持ちが落ち着くのだが、この本を読むと、そういうことがどうでも良くなりすぎて、ちょっと気持ちが下がる感じはあるな。
前提知識はあまり必要なく読めると思うし、知的なエンターティンメントとして優れていると思う。が、コロナでなんとなく気分が下がっている状態で読むのはどうかな?元気のあるときに読むのを推奨します。
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宇宙のはじまりから、終わりまで、の本。
この本を開いている間は、意識が日常を離れ、異世界を旅しているような気分でした。
やはり一番興味深かったのは、生命が生まれ、人間の意識や言葉が生まれ、文化が育まれていくところ。
自然科学の視点から語られる人間って、面白い!
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「エレガントな宇宙」「宇宙を織りなすもの」他の著者により、宇宙、時間の終わりまでを解説されている。
著者の本には毎度驚かさる。
宇宙論や量子物理学の理論を、これまでよりも深く理解できる。簡単な本では省略される部分を、素人でも理解できるように解説する力は随一だ。
宗教や、意識といった部分にまで踏み込んでいて、どうなることかと思ったが、量子論から意識とは何かについてアプローチする事が、最近の科学の流れらしい。
必ず訪れる人類の滅亡とそれを前提とした生き方、哲学になってきた。
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以前読んだ青木薫訳の「フェルマーの最終定理」が面白かったので、本書を読みました。とても興味深く面白かったのですが、難解に感じられました。
宇宙空間の壮大さ深遠さや時間のスケールに比べれば、人はちっぽけで瞬きする間でもない存在だと感じずにいられないと改めて感じました。
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物理学の知見をベースに、進化や意識、果ては芸術、宗教までも横断的に語る、その博覧強記には恐れ入るしか無い。それらは別々に語られるのではなく、「なぜそれらは生まれたのか」という本質を問い、「そしてそれはどこへ行くのか」という物質の有限性への問に収束していく。
昔、手塚治虫の『火の鳥』を読んで永遠の命を得た主人公が肉体が滅びても意識として生き続ける姿が強烈に印象に刻まれたが、本書の「時間の終わり」の姿も、同じ空間強い印象を残す。