言語学者、外の世界へ羽ばたく ラッパー・声優・歌手とのコラボからプリキュア・ポケモン名の分析まで （リベラルアーツコトバ双書）

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コロナ禍においての言語学の在り方や学生との関わりについてエッセイのような形で書かれている。

日本語ラップ(韻)については面白かった。
韻の飛距離や子音で踏む韻の話が「言われてみたら確かに」という感じ。
何も考えずに聞いていた楽曲も「ここの韻の飛距離はすごいなぁ」と思って聞けると思う。

プリキュアとポケモンに関しては統計学が中心すぎて……。
ドのつく文系の私、プリキュアはなんとか乗り越えたがポケモンの統計はちんぷんかんぷん。

ラップに親しむ人は読んでみると面白いと思う。

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けっこう自叙伝的だと感じた。案外社会と密接な関係を築いた言語学（者）の話。ただし、後半は統計学の話や研究における再現性の危機の話など、言語学そのものではなく付随する問題について。興味を持ってほしいのは事実だが、誰でも言語”学者”になれるわけではないんだぞと、警告しているようにも感じた。悪いことではない。

創作のキャラクター名をどう考えるかで、いろいろ調べていたときに見つけた書籍だと思う（うろ覚え）。とくに知らなかったが、ポケモンの名付けと言語学を絡めたり、コロナ禍で英語話者の方が飛沫感染しやすいことに対する専門者目線の反論をしていたりと、けっこう有名な著者らしい。
結局そこまで創作に活かせそうではなかったが、確かに性別はポケモンの強さとあまり関係がなくて「それぞれの世界において生存や種の保存にとって大事な要素が音象徴で表現される」という仮説が出てくるのは面白い。『本好きの下剋上』がそういう感じ。平民的には短い名前の方が覚えやすい一方で、貴族的には権威の象徴や平民との差別化で名前が長くなる。

第10章では「プリキュアで学ぶブートストラップ入門」と題して、素人にもわかりやすく説明してくれた。（当方は昔統計検定2級に合格したものの、機械学習は一切知らない。）が、今の学生からすればもしかすると簡単すぎるのかもしれない。プログラミングは必修で、統計、機械学習、ディープラーニングまで平然と教科書で勉強する時代なので、この章はむしろコロナ禍で浮き彫りになった無知な社会人向け……？

ポケモン言語学をメインに読んだが、思いがけずプリキュアで機械学習に触れたり「再現性の危機」について勉強できたりして面白かった。研究しようとは思わないが、言語とは一生の付き合いになるはずなので、もう少し他の書籍も見てみよう。