紙の本
分析が秀逸
2022/12/11 21:36
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本の虫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なぜ「何もしないほうが得」な社会になってしまったのか。
それを探る着眼点がユニーク。日本論、日本社会論として秀逸。
データも豊富で説得力がある。
電子書籍
そうそうそう、と
2023/01/26 12:49
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キッシ― - この投稿者のレビュー一覧を見る
頷ける現状の記述が書かれている
が、著者ならでは、の部分は
169ページ目以降な気がした。
前フリがあってこそ、の中身
だったんで、かなりタップリめ
な前フリにも納得した。
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自分で言うのもなんだが、子供の頃から損な役回りをついつい受けがちで、タイトル見て、そうだそうだ!とジャケ買いしてしまった。
まあ、書いてあることにタイトル以上の驚きはない。要するに、公務員も会社もPTAも町内会も、日本の至るところでムラ感(一定期間は基本そこから動かない)、空気読め感が強すぎて、頑張って何かしても叩かれるのだ。
著者なりの処方箋に踏み込んでくれているのは有難く、ジョブ型雇用も一つとして、ムラの解体、個への分化と理解した。やることやってんだから、あとは自由にしてていいでしょ?という状態。それは一理ある気がした。
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「何もしない方が得な日本」の現状分析が第1章から第4章、「するほうが得な仕組み」づくりを提言するのが第5章という構成。
多くの人にとって、何もしない方が得なため動こうとしない人が多いのは感覚的にわかっていると思うので、この本の読者の需要は、「する方が得な仕組み」づくりという、いわば処方箋にあると思う。だから、「するほうが得な仕組み」を提言する第5章の内容について内外の成功事例を多く紹介するか、現状分析を半分、処方箋を半分にするなど構成にしてほしかった。
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読んで元気の出る本ではありませんが、この本の推薦をしている橘氏の本はよく読んでいましたので本屋さんで目に留まりました。社会人になった頃の平成初期は、日本は自信と余裕があったと思います、開発も一歩進んでいたと思います。
それから数十年、開発をやり尽くしてしまって延長線上での開発は限界が来てしまったのかもしれません。その間に追いつかれたり、競争していた欧米にはルールを変更されたりして日本の相対的地位が下がってきているのが現状だと思います。
その間、努力する人がいる一方で、この本のタイトルにあるように「何もしない消極的利己主義」に浸ってきた人達がいるのも否めない事実だと思います。60歳の節目まで1年余りとなりましたが、色々と考えさせられた本でした。
以下は気になったポイントです。
・本書の前半では「何もしない病」が日本社会全体に広がっている現実を示すとともに、それが人々の単なる消極性などではなく、打算に基づく功利的な振る舞いであることを説明する、後半では「何もしない病」の根底にある組織や社会の構造的な欠陥を浮き彫りにし、そこから日本人の行動を変容させる方法について論ずる(p9)
・官僚制の逆機能が目につくようになった背景には、本来の官僚制とは対照的な共同体的性質を帯びてしまったことにある、その条件として、1)組織が閉鎖的、役所間・民間との間での転職がない、2)成員が同質的、価値観や考え方が同質的になる、3)個人が未分化、欧米のように個々人の役割や分担が不明確で、個人が組織・集団に溶け込んでいる(p43)
・退職理由の本音の理由は、上司や同僚などとの人間関係や労働条件に対する不満であるにもかかわらず、表面的にはキャリアアップや仕事内容など前向きな理由を挙げる傾向にある。会社にはポジティブな理由しか伝わっていないことを意味する(p55)
・日本では成果よりも態度や意欲を評価する傾向が強いので、日本人の方が中国人よりも「やる気」があるように見える(p59)
・問題は独創性や革新性などが決定的に重要な仕事にまで定型的な業務と同じような評価制度が適用されることにある(p61)
・自分が就きたい仕事以外には適性がないふりをした方が得である、と考えている人が少なくない(p68)この背景には、終身雇用という大きな制度の骨格がある(p72)
・会社への貢献度の報酬に対する超過分を貯金に例えるとすると、45歳くらいでやめるのが一番損である(p83)
・会社にとってはチャレンジングな人材が必要だが、同僚としてはあまり歓迎しない、いわゆる総論賛成・各論反対である。この本音こそ日本の組織を語る上で重要な意味を持っている(p99)
・内部通報制度が設けられていたにもかかわらず、不正は早期に発見できなかった、この制度の利用がいかにハードルが高いか、すなわち会社という共同体を敵に回すことがどれだけ困難かを物語っている(p106)
・大学の偏差値を重視した社員採用を含め、企業の人事制度の骨格が変わらない以上、生徒���ちの価値観・行動様式も変わりそうにない(p135)
・何もしない方が得だと信じさせる構造になったのは、日本の組織や集団が一種の共同体だったから、正確にいうと共同体に近い性質を備えていたから。メンバーの入れ替わりが少なく、組織の内と外の間に熱い壁が築かれている(p140)
・共同体の中では、公式な評価よりもむしろ「評判」の方がしばしば実質的な機能を果たしている。多くの会社では、周囲から高い評判を得た人が経営者に上り詰める(p167)
・大学は人々に学ぶ場を提供する一種のインフラとしての位置付けることが可能ではないか、各大学はいかに良質な授業を提供し、学生を惹きつけるかで競い合えば良い(p197)
・一人一人のメンバーが開かれた世界で生活し、多様な利害関係を持っていることを前提に、組織を設計し直すことが必要になる、再設計の指針として民主化の三原則を提示する、1)自由参加、2)最小負担、3)選択の原則:参加できる年度、時間帯を自己申告するなど、個人の選択を最大限尊重する(p201)
2022年12月28日読了
2023年2月5日作成
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タイトルに共感し、それを乗り越えるために何をすべきかを考えるために読んだ。対策が 4 つ、時系列に挙げられており、そこは納得。ただ私はまだ組織で働くことのメリットを信じているので、対策の先にそれがあるのか、あるいは私の思いが幻想なのか、まだ判断がつかない。本書をまだ十分消化したとは言えないので、もう少し考えようと思う。
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社会に出て、そう思うことが多々あり、思わず手に取った。逆に何もしないほうが得な楽な社会にできた日本凄いかもな。成長は間違いなく全体的に低くはなるし、個人的には多様で挑戦的な環境のほうが面白いと思うが。
なんとなく日頃から感じる部分や対策が、データとか具体例で書かれていた。
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イノベータ理論のアーリーマジョリティ以降の84%は、「何もしないほうが得」と考えるタイプなのでは? 本書のテーマとイノベータ理論は関連性はないのか興味がわく
#何もしないほうが得な日本
#太田肇
22/11/16出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3H8Uffc
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キャッチーなタイトルに惹かれて読んでみました。「何もしない方が得」という課題はなるほどそのとおりで納得感な一方、「するほうが得」にするために提示された対策案はあまり目新らしいものではありませんでした。
日本社会はもはや詰んでいるのでは、と思わせます。
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沈みゆく日本の必然が、そのロジックが、実に分かりやすく説明されている。「経営リーダーのための社会システム論」とともに必読だ。
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「全体主義のパラドックス」や「素朴な全体主義」により「公の名を借りた私の暴走」が生じ、「共同体の空洞化」が進行しているということを様々なデータを用いて論証しており、ここまでヒドイのかと驚く部分もある。
原因は人間の問題ではなく制度の問題であるとし、対策としては部分最適ではなく全体最適、短期的ではなく長期的な損得といった事項が列挙されているが、そういった制度面だけで本当に解決できるのか?という疑問もある。かといって所謂「日本人論」的な問題を探究をしたところで解決につながるとも思えない。当面は制度改革した事例を集めて、その結果を検証していくしかないのかもしれない。
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表題のインパクトに比較すると内容は知っていた内容が多かったような印象
出る杭にそもそもなりたくないという無気力層が多いとなると日本も危うですね
その一方で徐々に起業する人も増えている。この2つを分けるのは何か?素養?強烈な体験?
出る杭を奨励するインセンティブを電気の節約要請とピーク料金で説明しているが、モチベーションは金銭的損得では動かないことは心理学的に実証済みでは?より精神的な損得としての制度設計が必要と感じた。
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「消極的利己主義」の構造を平易に文書化していることや、「するほうが得」な仕組み・処方箋(目新しさは皆無だが)を提示しているところは一応認めるが、大事なのはその先で、その実践の施策が全く語られていない。処方箋まででは絵に描いた餅で、それを人々が美味しいと食べさせる施策(実行力)と継続運用・PDCAが不可欠なはず。そこを語らなければ意味がなく、日本の社会政策を研究している学者先生の底の浅さが見える。
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身につまされる、身もふたもない話。
提案される打開策が、どれも起動しそうな気がしないのは、私自身がこの悪い構造にはまり込んでいるからなんだろう。
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いわゆる「フリーライド」の問題を組織面から考察したもので、目の付け所は面白い。が、決定的な視点が一つ欠けている。それは日本社会は「相互監視による暗黙の強制力」がベースになっていることである。個人が組織に溶け込んでいるから嫌なことでも進んでやるのではなく、仲間の目が気になるから嫌々やっているだけである。逆に他人の目が気にならない場面では日本人はモラルも何もなくやりたい放題である。これはここ30年の話ではなく、おそらく江戸の昔から日本人に根付いてきた文化だ。最近その非合理な面が可視化されてきたのは、組織が流動的になって仲間の目が利きにくくなっているからに過ぎない。この視点で見ると、最終章の対策で効果がありそうなのはダイバーシティ確保くらいで、あとは的外れだ。組織設計でできることは限られている。
フリーライド問題解決のポイントはインセンティブの設計だと思う。会社の例では何かにチャレンジして失敗するよりも、何もしないで成功も失敗もしない方が得な制度になっていることが根本原因であり、減点主義の評価制度を何とかしないと解決しない。要は成果の大きさではなく挑戦自体を評価し、挑戦しなければ評価が下がる仕組みにすれば良いだけ。PTAや町内会も同じだ。義務だけあって権利のない役職なんて誰がやりたいものか。金銭報酬でないものを含め適切なインセンティブを設計する以外に解決はない、と思う。