だから御社は採用ができない！

投稿元：

レビューを見る

人手不足と言われる時代の人材確保、定着に必要なことを学べる本です。
運送業をはじめ、様々な業界で人手不足が進み、これまで当たり前に利用できていたものができなくなる事例も発生しています。
法改正も進み、労働者の条件は良くなっているはずですが、実質違法状態の運用をしている企業も少なからずいるようです。
これからは、法をしっかり守り、従業員に働きがいを与えることができる企業が生き残り、そうでないと消える可能性があります。
守るべき法制度から、募集時に大事なこと、採用後の定着に大事なことなどを、人材マッチング会社を運営する著者が教えています。
人を募集しても応募がない、採用してもすぐ辞めてしまうことに悩む経営者、採用担当者の方が、新たな気づきを得られそうな１冊です。

【特に覚えておきたいと感じた内容の覚え書き】

「求人票作成時にまずやるべきことは『自分の会社はどんな会社か』から入ること。条件だけを羅列したメモ書きになりがち。何のために存在し、どんな社会的意義があって、誰にどんな価値を提供し、どう利益を上げているか、などから考えると、他者と差別化できる。」
「働きがいのある人間的な仕事を実現できる会社や人は、危機感を持っている。より良くするために、働く人に協力してもらわないといけないと思っているので、働く人が頑張れる仕組みや居着く職場を作ろうと考えている。まずは採用担当が危機感を持つ必要がある。」
「離職率を下げるための本当の課題は『経営者と従業員の想いのギャップを埋めること』。この努力を放棄して、表面的な仕組みのリニューアルに躍起になっても、根本的な解決にならない。経営者が従業員に想いを伝える努力が必要。」
→会社のミッション・ビジョン・バリューに共感できる人材が求める人材でもあり、離職しにくい人材でもあります。条件面だけでなく、会社のコアは何かを考え、募集時、採用後も伝え続ける必要があります。危機感を持つことで、その動きは促進されるようです。

【もう少し詳しい内容の覚え書き】

・「いま変われない企業は一生変われない」。採用のこれまでの当たり前はすでに時代遅れ。そこに気づき、変われた会社から発展していける。目先の利益だけを追い求めず、激化する人材獲得競争を勝ち抜くため、まずは強い危機感と問題意識を持ち、行動を開始したい。

○現在の労働市場は危機
・人手不足の問題は、もはや他人事ではない。これまで当たり前に利用できたものができなくなる事態が発生しつつあり、不便さは想像に難くない。どこにいっても「人手不足だ」と言われ、右往左往する人が溢れるようになることも現実に起こりうる。
・労働環境の悪さを招いているのは、国や政治家のせいにしがちだが、保育園利用率の改善、法改正など、一定の対策は打っている。労働基準法を守らない経営者の責任が大きい。目先の利益を追求し、労働者を守ってこなかったせいで、日本の子育て環境が悪化した。
・転職者の数は、全労働者人口のたった４％。正規雇用の数だけで言えばさらに減る。自社に興味を持つ人材を採用することは簡単ではない。視座が��い“良い人材”を採用するには、「このままでは倒産」という危機感を強く持ち、すぐ行動に落とし込む必要がある。

○最初に法律・労働法を理解する
・労基法を守っていない企業はまだまだ多い。今は行政指導の段階でも企業名が公表され、従業員の提訴も含め、ニュースでも報じられることがある。過去の事例では、従業員を過酷な労働環境に追いやっているのは、業績が悪い企業ばかりではない。
・会社や経営者だけでなく、上司が共犯のように報道されることにも注目したい。労働環境の悪化は、内部の「黙認」の積み重ねで起きている。部下が重大な事件を起こしたあとで、上司は「知らなかった」では済まされない。内部から声を上げる“変化”も必要。

○「いい人」がわかっていないから採用できない
・応募者は共通して、金銭・時間・身体（健康）・精神（心理的安全性）の「４つの余裕」を求める。これを提供できれば、採用の可能性は飛躍的に上がる。会社ができることは有限なので、できることを明確に、誠実に伝えることが、良い人材の採用に直結する。
・本当にいい人材を手に入れられる採用の秘訣は、「人を騙さない」「嘘をつかない」こと。「この仕事楽です」「簡単な作業で高収入」など聞こえのいいだけの言葉を使って人を集めようとするのは逆効果。求める人材を勘違いされ、適した人が集まらない。

○自分の会社は存在すべき会社か
・求人票作成時にまずやるべきことは「自分の会社はどんな会社か」から入ること。条件だけを羅列したメモ書きになりがち。何のために存在し、どんな社会的意義があって、誰にどんな価値を提供し、どう利益を上げているか、などから考えると、他者と差別化できる。
・働きがいのある人間的な仕事を実現できる会社や人は、危機感を持っている。より良くするために、働く人に協力してもらわないといけないと思っているので、働く人が頑張れる仕組みや居着く職場を作ろうと考えている。まずは採用担当が危機感を持つ必要がある。

○採用は終わりではなく始まり
・勤め先を辞める理由でほぼ共通しているのは「働く人が会社を信用できなくなったから」。どんな理由があれ、約束を守れないことに対して「しょうがない」は通用しない。約束を守ろうとするのが経営者の責任。どんな人を採用するか決めるのも、経営者の責任。
・離職率を下げるための本当の課題は「経営者と従業員の想いのギャップを埋めること」。この努力を放棄して、表面的な仕組みのリニューアルに躍起になっても、根本的な解決にならない。経営者が従業員に想いを伝える努力が必要。
・新しい仕組みや制度の導入時は、その中で人を動かそうとせず、人がそれを使いこなして良くなっていく“ミクロの視点”が重要。会社が大きくなると経営者は数値化された結果だけを見るようになるが、それはマクロの視点で、実はミクロの視点の積み重ね。
・これからは人を殺す会社、「経営者のために仕事をしろ」という会社には誰も入りたがらない。法を守り、働く人の「ワーク・ライフ・バランス」を尊重し、心身ともに“幸せに働ける環境づくり”を提案している会社だけが生き残っていく。