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- カテゴリ:一般
- 発売日:2023/05/24
- 出版社: 光文社
- サイズ:20cm/373p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-334-91530-8
読割 50
紙の本
時を追う者
著者 佐々木 譲 (著)
1949年、東京。陸軍中野学校出身でかつて破壊工作員だった藤堂は、歴史学者の守屋と物理学者の和久田から過去に時間を遡る手段を発見したと聞かされる。目指すは満州事変の阻止−...
時を追う者
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商品説明
1949年、東京。陸軍中野学校出身でかつて破壊工作員だった藤堂は、歴史学者の守屋と物理学者の和久田から過去に時間を遡る手段を発見したと聞かされる。目指すは満州事変の阻止−。『小説宝石』連載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
佐々木 譲
- 略歴
- 〈佐々木譲〉北海道生まれ。「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞、「武揚伝」で新田次郎文学賞、「廃墟に乞う」で直木賞を受賞。
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紙の本
時を越えて関東軍の暴走を阻止せよ!佐々木譲さんの最新作
2023/07/22 22:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こばとん - この投稿者のレビュー一覧を見る
2年ほど前の短編集『図書館の子』がタイムトラベルが中心テーマとなっていたように、本作でも過去に旅行し、満州事変を阻止することによって悲惨な戦争の歴史を変えようとすることがテーマとなっている。
戦地から復員してきた藤堂直樹は、過去に陸軍中野学校で諜報員としての特別の訓練を受けていた。復員後、王子にある石鹸工場に就職したが、労働争議に巻き込まれて警察に逮捕されてしまう。ところが中野学校時代に近代史の講義を受けた、東京帝大史学科の教授でもある守屋がGHQに手をまわして釈放される。守屋は物理学の教授である和久田とともに“百年戻し”の伝承のある洞窟を通って満州事変が勃発する以前の世界に至り、事変を起こした当事者の排除をもくろみ、藤堂をその実行者として起用しようとしたのだ。最初は拒否した藤堂だったが、直後に巻き込まれてしまった事件から逃れるために、同じように事件に巻き込まれた仲間とともに過去への旅に同意せざるを得なくなる。
過去へと渡った直樹たちは、船で満州に渡り、大連そして奉天で憲兵や関東軍の警戒をかいくぐりながら機会を窺うのだったが、そこには中国の抗日組織も絡んできて…。
これ以上語るとネタバレになってしまうのでこの辺で止めることとするが、ミステリーと冒険小説の手練れである佐々木譲さんらしく、スピーディな展開に息つく暇もない。当時の満州における様々な様子の描写も細部まで精緻である。満州事変というと、とかく「関東軍の暴走」として語られることが多いが、本作の中では当時の満州で事業を展開したり住んでいたりする日本人の間では、関東軍の軍事行動を望むような期待というか「空気」があったような描写もあり、確かにそうだったのかもしれないとも思う。
そして、このストーリィは一体どのように結末するのだろうか?と考えながら読み進めていくと、案の定、ラスト近くで意表を突く展開があり、「え~、もうすぐラストなのに、どうなっちゃうの~?」というような急回転となる。「過去を変えると、どうなるのか?」これを突き詰めていくと訳が分からなくなってしまうが、最後の最後でその点に若干の不満が残ったが、とにかく佐々木譲さんらしく存分に楽しめる作品でした。