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- カテゴリ:一般
- 発売日:2023/07/31
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/150p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-06-532679-4
読割 50
紙の本
ジューンドロップ
著者 夢野 寧子 (著)
【群像新人文学賞(第66回)】母の不妊治療の失敗、凶暴な白い光と共に襲ってくる片頭痛。しずくとタマキは、持て余した心を抱えて縛られ地蔵に会いに行く−。傷つき、傷つけ、思い...
ジューンドロップ
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商品説明
【群像新人文学賞(第66回)】母の不妊治療の失敗、凶暴な白い光と共に襲ってくる片頭痛。しずくとタマキは、持て余した心を抱えて縛られ地蔵に会いに行く−。傷つき、傷つけ、思いあう。痛切な家族の愛のかたちを描く。『群像』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
わたしたちには家族をめぐる秘密がある
母の不妊治療の失敗、凶暴な白い光と共に襲ってくる片頭痛。
しずくとタマキは、持て余した心を抱えて
縛られ地蔵に会いに行く――。
傷つき、傷つけ、思いあう。痛切な家族の愛のかたち。
「ふと脳裏に、幼い未発達の実が木から落下する光景が過りました。
どうして自分は彼らと同じ道をたどらなかったんだろう」
第66回群像新人文学賞受賞作!
【商品解説】
著者紹介
夢野 寧子
- 略歴
- 〈夢野寧子〉東京都生まれ。東京女子大学文理学部社会学科卒業。「ジューンドロップ」で第66回群像新人文学賞を受賞。
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書店員レビュー
目に見えない恐れ
ジュンク堂書店福岡店スタッフさん
生と死をめぐる女の子たちの話です。不妊治療を繰り返す母のもとで暮らす主人公のしずく。自分のせいで妹を亡くしてしまったと感じる近所の女の子、たまき。ふたりは縛られ地蔵のもとで出会い、言葉を交わすようになります。
母親が精神的に不安定な環境の中で育つしずくは、常に偏頭痛に悩まされています。偏頭痛や排卵痛、他人からすると一見は見えないような自分の中の痛み。小説の中でしずくが恐れるのは、それだけではありません。これから出会うだろう、自分の「いもうと」。自分が生まれるときに自殺した「おとうさん」。
しずくが恐れるのは、いつだって「目に見えないもの」なのです。
自分の見えるものさわれるもの、そう、母や、血の繋がらない父が「自分のみえないもの」によって病んでいく様子を彼女は憎み、そうして、「いなくなればいい」とまで願う自分の感情に気付きます。
ジューンドロップ、木が果物を「いらない」と判断し、自ら実を落として間引くしくみ。はじめは、流産した母親の子供についての会話なのかと思っていました。しかし話を読み進めるうち、それはしずくやたまき、「残された」子供自身のことなのではないかと、だんだん思えてくるのです。自分が「間引かれた側」だと思うことは、どんなにつらいだろうか。
最後に生をこの世に新しく受けたきょうだいの存在を知ったしずく。彼女が恐れていたものの存在を彼女は赦しました。それは、自分自身を、死んだ父を赦したことと、イコールなのかもしれません。
死者は生者が思い出し、葛藤することでもういちど、この世に浮かぶのではないでしょうか。お地蔵様やお祈りをする場所で我々が思い描くように。
祈りも呪いも、その源はいつだって同じところにあります。そのことの恐ろしさと尊さを、描いた小説だと思います。