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商品説明
女性の霊的な力や心的な影響力の意義を論じた柳田国男の「妹の力」論を根底から再検討し、現代社会を批判的に照射しうる新しい人間論として再構築することをめざす。連続シンポジウムにおける報告と議論の成果をまとめた書。【「TRC MARC」の商品解説】
女性の霊的な力や心的な影響力の意義を論じた柳田国男の「妹の力」論。この思想は戦前戦後の民俗学の主要なテーマの一つとして展開されてきたが、近年、女性史・女性学研究の立場からさまざまな批判が繰り返されている。家庭内での女性の大きな役割や、その前提となる女性の男性に対する霊的優位性を否定し、「妹の力」の歴史的存在そのものをも認めまいとする主張もある。しかし、必ずしも柳田の主張が正しく理解されてきたとはいいがたい。
柳田は「妹の力」にどのような意図や主張を込めたのだろうか。
改めて時代状況のなかに置き直して考察するとともに、沖縄の「オナリ神」信仰や女性祭司と巫女、遊女、長崎のかくれキリシタン、中国古代の敦煌など、時代地域を異にする女性たちが担った独自の信仰の事例を多数提示し、女性の霊的な優位性を再検証する。
「妹の力」を男女の関係や現代社会のあり方を捉えなおす視座として提示するとともに、個人的な生にとって意義のある歴史の構築を目指した柳田国男の民俗学を問い直す画期的成果。【商品解説】
目次
- 序言 いま、なぜ「妹の力」なのか 永池健二
- 総論「妹の力」の現代的意義を問う 永池健二
- 第Ⅰ部 「妹の力」とその時代―大正末年から昭和初年へ
- 「妹の力」の政治学―柳田国男の女性参政論をめぐって 影山正美
- 柳田国男の女性史研究と「生活改善(運動)」への批判をめぐって 吉村風
- 第Ⅱ部 霊的力を担う女たち―オナリ神・巫女・遊女
- 馬淵東一のオナリ神研究―オナリ神と二つの出会い 澤井真代
- 折口信夫の琉球巫女論 伊藤好英
収録作品一覧
いま、なぜ「妹の力」なのか | 永池健二 著 | 4−7 |
---|---|---|
「妹の力」の現代的意義を問う | 永池健二 著 | 8−42 |
「妹の力」の政治学 | 影山正美 著 | 43−54 |
著者紹介
永池 健二
- 略歴
- 永池健二(ながいけ・けんじ)
柳田国男研究会会員。専門は日本文学、歌謡史・歌謡文芸の研究、柳田国男論。
主な著書に『柳田国男 物語作者の肖像』(梟社、2010年)、『逸脱の唱声 歌謡の精神史』(梟社、2011年)、『梁塵秘抄詳解 神分編』(編著、八木書店、2017年)、論文に「柳田国男はなぜ『遠野物語』を書いたのか」(『現代思想』50-8、2022年7月)、「志多良歌考―志多羅神の東遷とその「童謡六首」についての歌謡史的考察」(『歌謡 研究と資料』14号、2022年10月)などがある。
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