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これほどまでにバレエの事をくわしく専門的な視点からつづられた、他に類を見ないバレエの大河ドラマのようだ。春のバレエの情熱がひしひしと感じられ以前にも増してバレエが好きになってしまった。新しいバレエの題材を作るシーンでは情熱を感じた。
そして壮大なバレエ大河ドラマをあなたも読んで感動して下さい。
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楽しみにしていた本作。
正直、あまり好みではなかったな。
チョコレートコスモスや、蜜蜂と遠雷みたいなものを期待していたので、ちょっとがっかり。
バレエの神様に愛された春のお話。
他者が語る春と、春自身が語る四つの話で構成されていて、バレエに無知な私のような人間にもわかりやすく、文字だけでバレエの世界観を伝え、かつ、なんだかわからないけどすごい事なんだ!と思わせる筆力はさすがだ。
なんだけど、うーん。
どこまでの「陽」な本作。もうちょっとダークというか、苦悩したり(してないわけじゃないんだけど)陰の部分をミステリアスな感じで読みたかったなぁ。
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『蜜蜂と遠雷』、『チョコレートコスモス』のようなあるジャンルの天才達を描いた作品。
春というバレエの天才を章ごとに異なる人物が語る形式で進んでいく。徐々に春に近い人間が語り手になっていくせいで、天才独特の掴みどころのなさが薄れていってしまう。特に最終章は春自身の視点になるため、天才というより悩める若者が努力する話という印象になってしまった。
バレエのことは全く知らないが、恩田陸の取材力と知識の量は圧巻。踊りの描写は本当に美しい。
個人的にはジャンジャメ視点からの春を読んでみたかった。
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少年は8歳でバレエに出会い、15歳で海を渡った。
同時代に巡り合う者たち、それぞれの情熱が
ぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび
上がっていく…。一人の天才をめぐる長編小説。
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『チョコレートコスモス』『蜜蜂と遠雷』と同系列の表現者モノ。
浮世離れしたアーティストたちがひたすら理想の表現を追い求める話で、俗世の手触りは敢えて“無し”になってるのが潔い。子どもを国際大会に出場させるために親がカネを掻き集めるとか、バレエ団内の政治的な派閥争いとか、スポンサーの意向に振り回されて演目を変更させられるとか、そういうリアルな世知辛さは一切無し!太い実家に生まれ舞踊と音楽の神々に愛された天才たちに見えている世界を小説に映し出すことだけに振り切ってるので、ある意味ファンタジーだなと思って読みました。
『蜜蜂』では、演奏シーンでの感情や情景の描写が醍醐味だったのに対して、本作はバレエだから、踊りそのものを読者に視覚的にイメージさせつつ、さらに踊りを通してダンサーが表現する物語や情感も描くという二本のラインが絡み合う構造になっててより贅沢なデラックス版って感じだった。
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#読書記録 2024.4
#spring
#恩田陸
超絶のバレエの才能を振付という切り口で見せたのが新しい。
語り手を変えながらの4部構成。現実離れした天才ハルの姿を、周囲の複数の人間の目を通して描いているうちに、段々と彼の輪郭がくっきりしてきて、踊っている姿を目の当たりにしているよう錯覚に陥る。
作者は、#蜜蜂と遠雷 で読み手の頭の中にピアノを奏でてくれたのと同様、今回も頭の中に脳内バレエを上演してくれるよ。
#読書好きな人と繋がりたい
#読了
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蜜蜂と遠雷の時も思ったのだけど、音楽だったりバレエだったり舞台だったり……
目で見て耳で聞いて空気を感じて体験する芸術的な体験をどうしてこうも美しく魅力的かつ奥深く「文章」に出来るのか。文章なんて言ってしまえばただの文字なのに、読み出せばそこには音楽や躍動と美しさが溢れる深淵なバレエの世界が広がっている。
春と言う天才的バレリーナの才能と苦悩、そこにさらに魅力溢れる他のバレエの神様に恋をしているバレリーナ達。
正直バレエは衣装可愛いな〜凄いプロポーションだなぁ〜綺麗だな〜位の興味しか無かったのに、そんなのは全く関係なく一気読みだった。機会があれば実際に見てみたいと思う位惹き込まれた。
やっぱり恩田さんは堪らんな〜。
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天才バレエダンサー・コレオグラファーとなる青年と、彼の創造する作品世界が、3人の語り手と本人の語りで明らかになっていく。
4話目の本人の語りはそれまでの人々目線から思っていた人物像とは異なり、彼の人間臭さや性癖、ドロドロした内面が表されてちょっとした衝撃だった。
「チョコレートコスモス」「蜜蜂と遠雷」の天才たちや「常野物語」シリーズの人々を思い起こさせるところもある。
私はバレエ経験者のため用語がある程度分かるのだが、まったく未体験の読者さんたちにはどう読めるのだろうか、と少し心配がある。
また逆に、プロバレエダンサーの皆さんはどう読むだろう。
そして。パラパラマンガに和む。
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恩田陸の書く芸術の世界が好きだ。情景描写が細かく知識も豊富、舞台の空気、熱気、色を感じることができる。そして実際に触れてみたくなる。物語から熱を分け与えられている気がする。
いつまでもこの小説を素敵だと感じられる自分でいたい。
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『蜜蜂と遠雷』や『チョコレートコスモス』ほどではなかったが、やはり表現者たちの魂のぶつかり合いを描くのが上手な恩田陸なだけあって読み飽きない文章だった。四人の人間による一人の天才についての回想録形式で話が進む。ダンサーの動きや感情描写が繊細で恩田節が炸裂していた。
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初版限定特典が付いてました。
二次元バーコードから読めますが、閲覧期限は2024年の9月30日まで!
そして更にページの左下には素敵な仕掛け。
物語は天才バレエダンサー兼振付師、萬春(よろずはる)の半生。
「蜜蜂と遠雷」でピアニスト達の物語を著した恩田陸は音楽の中に映像を想像させたが、この本の中ではバレエの中に映像を想像させる。
バレエ仲間、叔父、本人の第一人称で語られる春の天才性の中で、春の作るバレエ舞台が語られる。日本の古典や海外の文学、果ては無機質の物からバレエを作り出そうとする春。
彼の頭の中はどうなっているのか?それも余す所なく語られる。
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Amazonの紹介より
自らの名に無数の季節を抱く無二の舞踊家にして振付家の萬春(よろず・はる)。少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――
それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。彼は求める。舞台の神を。憎しみと錯覚するほどに。一人の天才をめぐる傑作長編小説。
史上初の直木賞&本屋大賞をW受賞した『蜜蜂と遠雷』や演劇主題の『チョコレートコスモス』など、
表現者を描いた作品で多くの読者の心を掴みつづける恩田陸の新たな代表作、誕生!
ページをめくるとダンサーが踊りだす「パラパラ漫画」付き
恩田さんの描くバレエの小説は、文章だけなんですが、読んでいくうちに立体的に頭の中で浮かんでいくくらい、丁寧かつしなやかに、躍動感もあって、改めて文章の表現力が素晴らしいなと思いました。
3人の関係者視点で見た「天才」と天才自身の視点で「天才」の人生が語られています。
最初は、バレエ学校時代の「天才」を同級生が語っています。その頃から、ダンサーとしてだけでなく、振付師としても開花しています。
ダンサーとしては、その演技に見惚れる周囲、振付師としては、依頼された人を最大限に活かして周囲を魅了していきます。
読むにつれて浮かび上がる「天才」像は、まさに天才と思うくらい凄さがみなぎっているように感じました。フッと上から何かが降ってきたと思えるくらい、鮮やかに人々を魅了しているさまは、一度現実にいたら、見てみたいなと思いました。
次の関係者は、バレエ学校に至るまでの「天才」の少年時代が語られています。ちなみにその次では、プロになった「天才」の活躍が語られて、最後は「天才」自身が、過去を振り返ります。
最初はバレエを目指していたわけではなく、成り行きからどんどんバレエダンサーとして開花していきます。
踊っている描写は、しなやかで妖艶であり、そんなに凄いの⁉と思うくらい観客を魅了するのですが、一つ一つの動きが滑らかに描かれているので、頭の中で想像しやすかったです。
といっても、そんなにバレエについて知らないことだらけであまり見たことはないのですが、作品を読むにつれて、バレエの可能性は無限に広がるんだなと思いました。
童話だけでなく、日本の古典などにもバレエとして応用が利くということも驚きましたし、踊りだけで作品を最大限に引き出すことにちょっとyoutubeなどで確かめてみようかなとも思わせてくれました、
ただ踊りが上手いだけでなく、振付師の存在もでかいということも感じました。いかにして演者を魅せるのか?
簡単なように描写されていましたが、その裏では、演者の苦悩が滲み出ていて、ぜひ文章だけでなく、動画としても見てみたいなと思いました。
そんな「天才」を「天才」自身が語る描写は、意外と普通なんだなと感じました。空から何かが降りてきたとか何か特別なことをしているといった行動をしているのかと思いきや、今までの人生の経験から、演技を取り込んだりしているので、ちょっと拍子抜け感はありました。
ただ、その中にもゾーンに入ったり、演技中に芽生える妖艶さといった「化ける」といった特技的なものも備わっていて、「天才」も人間なんだなと思ってしまいました。
「天才」が魅了する演技に虜になっていく周囲達。時に女から、時に男からと恋愛における嫉妬なども描かれていましたが、ぜひ「天才」の演技も見てみたいな思いました。
作品の下には、バレエのパラパラ漫画があったり、初版で期間限定ですが、QRコードで読む掌編小説もあって、違った楽しみ方もありました。
今度はぜひ、バレエの大会を読んでみたいなと思いました。
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PR誌「ちくま」の連載(2020年3月号〜2023年6月号)で読み始めたけれど、後半はちょっととびとびになってしまっていたので、本にまとまるのを待っていた♪
カバーは潔くシンプルだけれど、それを外せば本体の表紙はポップ。ページ隅にパラパラシルエットアニメ*は付いてるし、巻末に初版限定特典の掌編が読める二次元バーコードはついているし、特製クリア栞までついてくるという至れり尽くせりなので、図書館に入るのを待つとか文庫化を待つという選択肢はなかった。
4部構成で、「跳ねる(ワークショップでであいともに留学しルームメイトでもあったトップダンサー深津純の語る15歳からの「ヤツ」)」、「芽吹く(母方の叔父、稔の語る幼い頃からの「彼」)」、「湧き出す(バレエから作曲の道に進んで仕事のパートナーとして再会する瀧澤七瀬の語る「春ちゃん」)」ときて、最後の「春になる」は本人(俺)のモノローグ、ああおどろいた。
作家が作中で創り上げた架空のバレエ作品の数々(「ヤヌス」「メルヒェン」「ドリアン・グレイ」「アサシン」「三つのオレンジへの恋」そして「春の祭典」・・・)が見たくてたまらなくなる。これぞ言葉の芸術の醍醐味。
でも、ああ、かなうのであれば、春や純、フランツ、ヴァネッサ、ハッサンたちが躍動する舞台をこの目で見られる本の中に生まれ変わりたい。
幼い頃から十年習い、「ダンス・マガジン」も創刊号から愛読していたので(でもここ20年余はすっかりご無沙汰だった)、習ってたとき舞台を見るとき思っていたあれやこれやの答えをもらえたと思う箇所もあちこちあったし、読む間中、歴代内外のさまざまなダンサーのイメージが浮かんだが、萬春はそのなかにはいないたしかにオリジナルな存在だと思えた。
バレエに恋するバレエの申し子、(さずけられたその名を体現したような)春に"はるかな国からやってきたすてきなひとりぼっち"=谷川俊太郎を思った。西洋を戦慄せしめる「極東のエトランゼ(異邦人)」という意味では小澤征爾のことも思った。
QRコードから読んだ掌編「反省と改善 spring another season」もよかった。後半はあまりJUNがでてこなくて、さみしい気もしてたので。
欲を言えば、瀧澤姉やフランツ、そして踊りや振り付けの師匠たちの語る萬春の姿もいつかみてみたいかも。
*パラパラシルエットアニメは生方隆之介(東京バレエ団)と南江祐生(元東京バレエ団)がモデルという情報あり。
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「飛び出す絵本」ならぬ「飛び出す小説」。そんな新作でした。
この物語がつくり出す音や景色が、立体的に感じられる。読み終わってもずっとドキドキしていて、長い余韻に浸れます。
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主人公の萬春のイメージは、私の中ではN oism主催の金森穣さんだったので、彼をイメージして読み進めました。
バレエを創る過程がワクワクするような感じで、具体的な映像が頭の中に浮かんで楽しく読め終わりました。
ただ最後の春自身からの描写は要らなかったかもしれないと思いました…特に、初版限定のWEB限定のエピソードは不要でした。(それを楽しみに初版を購入しましたが)