3.2 & 1 (+cd)(Ltd)(Hyb)【SACD】 2枚組

小沼ようすけの5thアルバムは、「パーソナル感」という漠然としたテーマを持って制作されたアコースティックな魅力に満ちた作品となっている。

小沼の魅力は、コンテンポラリーな演奏にも、時々現れるジャズギターの伝統の味だ。この作品でのアコースティク・ギターの演奏は、ソロに近い感覚のものが多いということも手伝って、多くの他ジャンルとへの他流試合とは異なる「ギタリスト･小沼ようすけ」をクローズアップした内容となっている。

鈴木正人(b)仙道さおり(perc.)大槻Kaklta英宣(ds)のレギュラー陣のほかに、小曽根真(p)が２曲[ “Silver And Orange”(Y.Onuma)、“I Love You”(C.Porter) ]に参加し、デュオを収録。ほのぼのとした心根が通う美しい演奏を展開して、小沼の円熟の度合いを証明してくれる。

また、チック・コリア作のキラー・チューン“Spain”では、アコースティック(中央)、並びに、エレクトリック・ギター（オーヴァーダブ・左右２本）の３本で幽玄な雰囲気で奏でられている。

自身のオリジナルやスタンダード、そしてクラシック・ソウルやポップスのカヴァーなど、様々なタイプのナンバーを取り上げつつも、ガッド・ギターやソロ・ギターを通した極めてシンプルなサウンドで、あたらなる「小沼流ギター・スタイル」を築いた意欲作。