Trouble With Being Myself【CD】

昨今の女性アーティストとしては抜きん出た才能とファンクネスを感じさせるMacy Grayのサード・アルバム。最近は映画「トレーニング・デイ」や「スパイダーマン」に登場し映画界への進出もするなど精力的にその活動の場を広げている。Bryan Barber（OUTKAST, CAM'RON, LIL' BOW WOW）が手掛けたスライ風のリード・シングル"When I See You,"がオープニングを飾る。まず初っぱなコノ１曲でノックアウト寸前。Macyのひしゃげた声とファンク・ナンバーの相性は抜群だ。次のBeckが参加した"It Ain't The Money"は、Pharoahe Monchのラップが絶妙。この頭２曲だけでもかなり満足いく内容であるが、フィラデルフィアのA Touch Of Jazz一派出身のドレ＆ヴィダルがソングライティングした"Things That Made Me Change"はバックバンドの音の抜き差しに心奪われる。今回も今までのように「ロック的」アレンジが所々に感じられたものの、Macyは前作よりも70sブラック・ミュージック色を強めている。Macyは、女版レニー・クラヴィッツのような一世を風靡するロック・スターではなく、類稀なる才能を持った「ブラック・アーティスト」としての逃げ道（良い意味で）を確保できたようだ。現在の時点で彼女の最高傑作。