Heroi (Digi)【CD】

(メーカー資料より)
セルジオ・サントス、アンドレ・メーマリ、シコ・サライーヴァ・・・。
様々な新進気鋭コンポーザーが凌ぎを削るブラジル音楽シーンにおいても、一目置かれる存在エドゥ・ネイプ。ブラジルが誇る名ギタリストにして作曲家、ギンガのパートナーとして頭角を現し、レイラ・ピニュイロ、クララ・サンドローニ、クアルテート・マオガニ、ゼー・パウロ・ベッカーら錚々たるゲストが参加した1st「DA BOCA PRA DENTRO」より約4年ぶりにリリースする待望の新作を発表。前作リリース時点では日本における知名度は高いとはいえなかったが、その内容の良さに魅せられるリスナーが続出。その後もシモーニ・ギマラエスの芸術的な名作 "Flor de Pão"で作曲家としてフイーチャアされるなど、ブラジル音楽界にこの人あり！といった存在になりつつあったエドゥ。そんな今一番旬の作曲家が、その叡智、感性を最良の形で表現した1枚に仕上がっている。
冒頭の一曲"Tratamento de Choque"から彼の才気が炸裂。若手鬼才音楽家チアゴ・アムードとピアニスト・ガブリエル・ガスッティを迎えて演奏されるスピード感溢れるジャジーMPB。矢継ぎ早に交わされる言葉は、海外アニメ「シンプソンズ」をモチーフにしているとあって、どこかコミカルですらあるが、緊張感と開放感が交互に訪れる快感が上回る。エルメート・パスコアールのようなエキセントリックさと自由な精神を内包させながらも、バンド全体が一点に向うような不思議な楽曲は、聴く者を否が応でも引き込んでいく。その後もオリジナリティ溢れる楽曲が続く。先述のシモーニ・ギマラエスとの共作で、アコーディオンとともにブラジルの原風景を覗かせてくれる“Palmas pro Leão”、ブラジル北東部の民俗音楽「バイオン」をサイケデリックに解釈したトラック“Cavalo de São Jorge"、同じく若手の注目作曲家と目されるマウロ・アギアールと描いたサンバ・トラック“De pé trocado"・・・。ややアコースティック路線であった前作よりも、より自由な造作で音空間を演出した本作は、一音たりとも聴き逃せないアイディアの豊かさと、ブラジルらしい迸る生命力に満ち溢れている。特筆すべきは、今回エドゥとともに、彼のサウンドを作り上げる若手の鬼才達の存在であろう。共同プロデューサーともいえる先述の二人チアゴ、ガブリエルはもちろん、バックの専属バンドとして名義にもなっている「Manto Sagrado」のメンバーであるマチアス・コレア (コントラバス)アジュリナン・スヴァルギ (ドラム)のシャープな演奏も聴き所である。
アンドレ・メーマリやセルジオ・サントスといった、ジャンルを超えた普遍性を獲得し続けるブラジルの鬼才達に並ぶと同時に、その独自性で新たな世界を描いてみせるエドゥ・ネイプ。ブラジルが産んだ新たなる才能から目が離せない。