Kindred (Pps)【CD】

ピアノはオーストラリア・ジャズの巨人。何十年にもわたり同国の即興音楽シーンのトップを走り続けてきた男。ドラムはレコーディング・アーティストとしてトップ・クラスのエレクロニック・ミュージック・レーベル、Aphex Twin、Flying Lotus 、Autechre、Grizzly Bear などで録音。

世代の異なる二人のアーティストが、マイク・ノック＆ローレンズ・パイクという音楽世界で合流した。それはインプロビゼーションを通じたストーリー・テリングという行為に打ち込む者同士の、何年にも渡る会話であり、スピリチュアルでエモーショナル、対話性のある芸術形式としての音楽の伝統を体現したものである。その成果が『キンドレッド』― 親族意識。個性の違う二人のアーティストによる長年に渡る友情と対話の頂点。シドニーで行われた2 回のレコーディングはどちらも純粋なインプロビゼーションによる、ピアノとドラムにが織り成す短編作品のシリーズである。その一瞬への追求は安易な技巧プレイを否定するもの。その感情、雰囲気、物語性が最高潮に達しうるスペースヘの探求は既成の演奏形式を超越したもの。二人の創作意欲の前には音楽のジャンル分けは何の意味も持たなかった。

微妙な空気、独創性、ユーモア、かもしだされるムード。それは、オーストラリア音楽界の個性ある二人が、旅のさまざまな行き先から送ってくる声の絵葉書だ。『キンドレッド』は、パイクの繊細で非凡なドラミンクのアプローチにサポートされつつ、ノックの今日までで最もバイタリティあり、独創性ある演奏を記録したものでもある。

MIKE NOCK　-　piano
LAURENZ PIKE - drum kit