Dens【CD】

アナーキーで不協和音のスラヴィック・グルーヴ...これぞ最新音楽〈ベオグラード・エスノ＝ノイズ〉だ！

現在のワールド・ミュージック・シーンを名実共にリードするドイツのレーベル〈Glitterbeat〉。常に先進的な目線で新しい切り口の音楽を探し求める同レーベルから、何とも刺激的なアーティストが紹介されました。それがセルビアの首都ベオグラードを拠点に活動するレンハルト・テープス（Lenhart Tapes）です。

レンハルト・テープスは音楽家ウラジミル・レンハルトが主宰するプロジェクトのこと。彼の祖父ヤーンは1950年代にスロバキアのフォークソングを歌った人物として知られていたそうです。そして孫のレンハルトはKlopka Za Pioniraというノイズ＝ロック・バンドのメンバーとして2003年から活動する傍ら、ひとりでカセット・ウォークマンを操ってパフォーマンスするプロジェクト“レンハルト・テープス”を2010年にスタートさせます。元々オーディオ・カセットの熱心なコレクターであった彼は、通常の音楽作品のほかフィールド・レコーディング、知られざるフォーク・ミュージック、スポークン・ワード、サウンド・プロパガンダの素材etc...といった音源もカセットで所有していたそうです。そんな彼は同国で活躍する歌手/クラシック音楽のヴァイオリニスト／民俗音楽学者／ラジオ・ベオグラードの音楽編集者といった様々な肩書きを持つティヤナ・スタンコヴィッチ（Tijana Stankovic）をはじめ、ミルヤナ・ライチ（Mirjana Raic）、スヴェトラーナ・スパイッチ （Svetlana Spajic）, ゾーヤ・ボロヴチャニン（Zoja Borovcanin）といった伝統的な歌をうたう女性歌手たちをプロジェクトに加えるようになりました。そこでレンハルトは忘れ去られた古いシングルやカセットテープから取り込んだノイズを含む音素材を織り交ぜ、インダストリアル的アプローチと共に唯一無二のオリジナル・サウンドを作り出し、2021年には“Duets”というアルバムを発表し大きな成果を上げました。

そしてGlitterbeatからのリリースとなったのがこのセカンド作『デンズ』。ここで取り上げているのはセルビアやスロバキアの伝統曲のほか、さらにコソボ〜アルバニア〜北マケドニアに跨がるゴラ地方に居住するスラヴ系イスラーム民族「ゴラニ人」たちの伝統音楽も取り上げている点に注目で、アルバム全体に漂うアラビックな香りを醸し出すことに役立っています。そして彼の持つ豊富なカセット・コレクションから選りすぐった素材をリズム・ループに乗せ、ティヤナ・スタンコヴィッチ、スヴェトラーナ・スパイッチ、ゾーヤ・ボロヴチャニンといった、セルビアの女性歌手たちが伝統に則った歌声を披露。さらにティヤナのヴァイオリン、ギター／ベース／サックスといった生楽器も一部で加わり、作品に深い彩りを添えています。

アナクロなカセットとスラヴィックな伝統音楽、最新のテクノロジーが融合したベオグラード・エスノ＝ノイズ！是非本作でご確認ください。

(メーカー・インフォメーションより)