目次
女声合唱のための「中田喜直名歌曲集」
- 中田 喜直(作曲)/ 河野 正幸(編曲)
- 1)木兎(みみずく) A Horned Owl…三好達治詩
- 三好達治の名詩に、中田喜直は重厚な音楽をイメージし、ピアノも歌も荘厳な世界を描き出している。独唱曲としてはバリトンによって歌われることが多いが、この曲集では女声合唱で演奏することを狙いとしているので、出来れば軽い声、薄い響きに陥らないよう、重厚な音楽を意識して歌ってほしい。
- 2)たあんきぽーんき Tānki Pōnki(Pond‐Snail)…山村暮鳥詩
- 山村暮鳥の詩で書かれたこの曲は、中田喜直の代表的な歌曲集『六つの子供の歌』の1曲である。リズム感あふれるピアノの前奏を感じて、歌も楽しげに、おどけた表情で歌われるべきであろう。詩の内容については、あまり深く考え過ぎない方が、この曲の楽しさをより表現しやすいのではないかと思う。
- 3)たんぽぽ Dandelions…三好達治詩
- この曲も三好達治の詩だが、単に美しい春の景色を描いているだけでなく、彼の敬愛する親友の死が、創作に大きく陰を落としているという。テキストをよく読み込んで、そういった解釈も加えて演奏すると、もう一つ感動的な世界を構築することが出来るだろう。調性やテンポ感などを上手く利用し、深い表現を心がけよう。
- 4)さくら横ちょう Cherry Alley…加藤周一詩
- 加藤周一の詩によるこの作品は、内容的に男性の詩でありながら、音楽は女声的な曲調でもあり、独唱としてはソプラノによって歌われることが多い。さてその表現だが、編曲にあたってもその女声的な部分を強調するように意識した。描かれている桜の情緒的な風景と、そこで繰り広げられた失恋の虚しさも同居する、大人びた一種絵画的な演奏を心がけてもらえると嬉しい。
- 5)サルビア Salvia…堀内幸枝詩
- サルビアの赤い色を「血の色」と表現する堀内幸枝の詩的感性は、きわめて情熱的で、その独特な恋愛観は自己の感情にも忠実で直情的である。それに加えてこの詩を素直に受け止めた中田氏の情感は、単に熱い感情に流されるだけでなく、冷静かつ思慮深い芸術性に富んでいると言えよう。単にヒステリックな音楽表現と促えず、深い情感に支えられて、大人の恋愛を表現してほしい。
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