ビリィ･ザ･キッドの新しい夜明け【DVD】

80年代の邦画界に新たなジャンルを築き、数々の映画賞を受賞した作品の初DVD化企画です。監督は当時、若い世代に向け鋭い感性による映像をぶつけ話題となった “ニュー・ジェネレーション・シネマの旗手”、山川直人。この80’S香り漂うアートポップ感覚の映画が山川監督の鮮烈デビュー作でした。
　『ビリィ・ザ・キッドの新しい夜明け』（'86年製作）と意表をつくタイトルをもったこの映画は、鬼才、高橋源一郎の短編3作を創造と建設をテーマに映画用に再構成したポップ・ムービー。表題であるビリィ・ザ・キッドをはじめ、シャーロット・ランプリングや中島みゆき、宮本武蔵、サンダース軍曹、果てはハリイ・キャラハンやブルース・スプリングスティーンまで、様々なキャラクターを引用、あるいは登場させ、すべてを酒場"スローターハウス"に集結させる摩訶不思議な設定となっています。その斬新さ、奇想天外な物語展開は、さすが、高橋源一郎＆山川直人の組み合わせならではのものといえます。
　出演はこの作品が本格初主演となった三上博史。そして山川監督のインディーズ時代からの親友である室井滋や内藤剛志らも出演。さらには、音楽界から 鮎川誠、ゼルダ、メトロファルスらが、またアート界からも日比野克彦、浅葉克己らが出演と、さながら異種格闘技の様相を呈しているのも見どころです。
　ちなみに、この作品は、当時、時代の発信基地であるPARCOが製作するPARCOムービー第1弾として作られ、渋谷でのロードショーはファッショナブルなイベントとして若い世代から圧倒的な支持を受けました。