紙の本
独自の静寂の世界
2010/06/17 22:33
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る
恋愛短編集。
*サッポロの光
*球運、北へ
*別れの後の静かな午後
*空っぽのバケツ
*ディスカスの記憶
*悲しまない時計
大崎善生は、村上春樹的静寂をもってると思うんだよね。
だから、主人公が俗な世界でもまれていても、どこか淡々としているというか、体液とかそういうものを感じない。が、それが脆弱な部分か。
ってことで、なんか中途半端感が強かった。
うむ。どうなんだろう。
新しい所へジャンプしようとしているところなんだろうか。それとも…。
「空っぽのバケツ」がよかったです。
はいはい、おとーさんものに弱いんだよ。あと、最後に光があるのがいいの。
他の作品も、めいるような結末じゃないんだけど、なんかやりきれない感じが残るんだよね。
にしても、ホント熱帯魚好きっすね、大崎さんww
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表題作。別れの後の…とあるが、はっきりとした別れ以上に重い、どこまでも続いていく静かな関係を描いている。あと今までのと作風の違う「ディスカスの記憶」が印象深い。
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短編小説。「別れ」を描いた作品。でも、別れの後に新たな始まりを予感させる物語。一つ一つの物語を堪能してください。
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つきあい始めて5年。25〜26歳にとっては結婚という文字が脳裏によぎる年齢。
突然の海外転勤での決断。お互いの切なさが身にしみてわかる。
そして、5年後の再会。
小さな声でささやいたその言葉は、お互いの空白を埋めるにふさわしい言葉だ。
「記憶の奥底」、「たばこ」、「酒」など、著者である大崎さんらしいフレーズがでてくるものの、あまりのめり込める作品ではなかった。
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お得意の手法で書かれた短編集。今作はミステリータッチな物もあり、楽しい仕掛けがあちこちに散りばめられている。
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北海道出身の人が必ず出てくるなぁ、と思ったら、作者が札幌出身なのですね。やっぱり特別なものがあるのでしょうか??
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2/23 文章が好きだった。ぜんぜん違うけど鷺沢さんの小説にも通じるせつない感覚があった。普通の短編小説の余韻の残し方の一歩先まで書いているのがおもしろいな、と思った。
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恋愛がどーーでもよくなった 時に買った本。
帯に「君を想えば、別れすら愛しくなる」 そのフレーズが好きだった。
確か、付き合い始めた時に買ったのかも。
始まりと終わりのバランスをとりたかったのかな。
男はなぜ釣りをするのか、
わかる気がした。
人ってすごいや。
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昔は欲しいものは必ず手に入れれると思ってたし、自分が手に入れたものを手放すなんて、考えてもみなかった。
自分の力でどうしようもできないことなんて世の中には無いと思ってた。
だけど、少しずつ大人になっていくにつれて、世の中には自分の力ではどうしようもできないコトがあることを知った。
手にしたものが自分の手からこぼれ落ちることを知った。
そして、それを駄々をこねることもなく、少しづつ受け入れれるようになった。
「私はおそらく大切なものを失ってしまうことに物凄く寛容な人間なんだと思います。」
”悲しまない時計”の中で綾子が言った言葉。
大切なものを失うことに寛容な綾子だったが、恋人という大切なモノを手に入れてから、
「気がつけば、いつの間にか自分は大切なものを失うことにまったく寛容でなくなってしまった。」 と思う。
幼い頃のように、駄々をこねてまで、自分の手に入れたいものを手に入れることは今の私にはない。
失うことも知ったし、何かを失って得られるものがある事も知った。人は多くのものを抱えて生きていくことはできないということも。
この物語には、たくさんの喪失がつまってる。
私は喪失に悲しみだけを感じることはなくなった。
少しだけだけど、喪失にせつなさも感じるようになった。
喪失に対して、大切な人の顔を思い描けるようになった。
そして、大切な人がいる幸せも感じられるようになった。
だけど、やっぱり大切な人は失いたくない。
書いてること、矛盾だらけ。
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別れをテーマに、回想と現実をうまくミックスする。ブルーな感性を文章にして表現していて、透明感のある感じが彼らしい。短編だけど、長い文章を読んだ後のような気がする。心が揺れる瞬間を大切にするべきだった。もう元には戻らないけれど。でも、前を向いて行こう。そんなメッセージが伝わる。
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『球運、北へ』『別れの後の静かな午後』『空っぽのバケツ』『悲しまない時計』
がすごくよかった。甲乙つけがたいし、他の作品の中でもかなり好きな方。
この人の小説は、立体と色彩で成り立っているような気がする。
「伝えなくてはならないことと、伝えてはいけないこと。
その狭間に立ったとき、いつも軽い眩暈のような感覚に僕は襲われる。
もちろん余計なことは何も言わなければいいのだし、
それに越したことはないのだろうけれど、
しかしもしこの世のすべての人間たちがそんな風に寡黙に生きているのだとしたら、
世界はどんなに味気のないものになってしまうだろうか。
寡黙な歌などありえない。
寡黙な詩もありはしない。
意味があるにしろそうでないにしろ、
世界は伝えなくてはならないことを胸一杯に抱えた人間たちで溢れているのだ。」
(『悲しまない時計』)
「大切なものを失うことに寛容な人間」
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『ディスカスの記憶』が衝撃的だった。
この人の書く文章はいつ読んでも、
静かで透き通っていて、どこか悲しげだけど優しい。
読んでる間は肩の力が抜ける気がする。
「それは何を見ても何をしていても楽しかった少年時代のある夏の日を思うときの切なさに似ていた。戻ることのできない日々を思い出し、必死にかき集めても、結局は虚ろな寂しさが残されるだけなのである。思い出はどんなに、綿密に懸命に組み合わせていっても、一枚のパズルには仕上がらない。」(表題作より)
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6つの短編集です。
「サッポロの光」
一人で酒を飲むのが好きになったのはいつ頃だろう。
毎日同じ席に座りビールを飲むようになって、その店で知り合った常連客の新澤。
新澤は、誰にでも声を掛けられてその人との共通の知り合いを探すのが得意だった。
その彼と話して共通の知り合いが見つかった。
その知り合いは、子供の頃に友達だった沢井だった・・。
「球運、北へ」
大きな川が流れている。
その土手に座り・・・・・。
どこからか「ストラィーク」の声が聞こえてきた。
その声を聞いて思い出したのは、20代の頃の自分と彼女との出来事だった・・・。
て感じで進む短編の小説です。
この後に「別れの後の静かな午後」「空っぽのバケツ」「ディスカスの記憶」「悲しまない時計」と続きます。
俺としては、後の紹介してない4つの短編が気に入っています。
別れと始まり、生きる事の希望のこの小説は、心にそっと何かを残して行くでしょう。
短編で読みやすいのでぜひ読んでみてください
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出版社名 中央公論新社
出版年月 2007年9月
戻ることのできない日々を思い出し、必死に手にかき集めても、
結局は虚ろな寂しさが残されるだけなのである。
思い出はどんなに、綿密に懸命に組み合わせていっても、
一枚のパズルには仕上がらない。
「別れの後の静かな午後」より
タイトルと表紙のこの言葉に惹かれて読んだ作品。
始まったばかりの恋なのに
何故か終わった時のことを考えてしまう。
”もしも、もしもね・・・” という言葉をつけて。
う~ん。乙女心は複雑です。
大崎善生氏の珠玉の恋愛短編集です。
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個人的に好きなのは「空っぽのバケツ」「ディスカスの記憶」「悲しまない時計」。
大崎さんの文章自体が好きなので、この短編集も好きなのですが、
今まで読んだ作品のことを思い出すと、評価は★★★に…。
好きなんですけど…!!