紙の本
アガサ・クリスティーによるロマンス小説第二弾
2017/04/29 22:50
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投稿者:コスモス - この投稿者のレビュー一覧を見る
アガサ・クリスティーがメアリー・ウェストマコット名義で発表したロマンス小説の第二弾です。
第一弾の「愛の旋律」と違い、主人公は至って平凡な女性。
何不自由なく育った彼女ですが、結婚に破れ、絶望の淵に立たされてしまいます。そんな彼女が前を向いて歩いて行けることを、クライマックスで示唆しているのが、この物語の救いと言えるところでしょう。
紙の本
分かり合えない
2019/10/28 20:06
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公シーリアはアガサ・クリスティーが投影されているようです。夫ダーモットとは
このような感じだったのかと思うと、まるで別世界にいるかのように分かり合えない様にぞっとしました。
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ロマンス。作者自身の経験と似ているところがあるのかなと思った。面白かったが、推理ものと比べると物足りない感じ。
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クリスティーのウェストマコット名義の愛の小説第2弾。
ということで、今回、謎解きはなしです。
前回の「愛の旋律」は、派手派手な展開でしたが、今回は、主人公が地味な性格なので、展開もちょっと地味な感じです。もうちょっと、派手な展開の方が、わたし的には好みです。
でも、これも主人公の子ども時代から丁寧に書いています。なんで、こういう人に育ったのかが、よくわかる感じ。
母親がなくなって、夫に裏切られて、精神をだんだん病んでいくという展開は、まさに、クリスティーの半生そのものですな。
まあ、クリスティーがこの小説の主人公ほど弱かったとは思えないけれど。でも、人にはいろいろな面があって、そのうちの1つをクローズアップしてみていく感じ。
そのクローズアップの仕方というのは、とても巧いです。だから、シーリアにも共感できる部分はあるし、ダーモットにも共感できる部分がある。
語り手の画家は、その両方を理解できる読者的な位置にいて、これも、なかなか巧みだなぁと感じました。
グラニーが、衰えていくところとか、こわいぐらいにリアルです。そういう細かいリアルさと、ロマンチックな飛躍が、クリスティーの小説、ミステリーなしでも読める魅力です。
というか、もともと、ミステリーをそんなに読めないわたしでも、楽しめるところです。
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メアリ・ウェストマコット名義で発表されたロマンス小説第2弾。
アガサ・クリスティ自身とも重なると思われる恋愛と破局の物語。
個人的には前作の「愛の旋律」のような起伏の激しいストーリーの方が好みなので、ほぼ1人語りの筆致で進められるある意味平凡ともいえる展開は少し疲れた。
ただ、恋愛中だったり結婚している方には共感して読める部分もあるのかも…
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メアリ・ウェストマコット名で書かれた小説は、どれも面白い。
アガサクリスティの本を数十冊読んだ後で、同じ作者だということを知っていて読んでいるからかもしれない。
特に、アガサクリスティの自叙伝を読み、アガサクリスティの一生を知ってから、メアリウェストマコット作の作品を読むと、どれもアガサクリスティが登場しているように読める。
マープルものの「ミスマープル」、ポアロものの「アリアドニ・オリヴァ」、トミー&タペンスの「タペンス」など、アガサクリスティの分身は多い。
アガサクリスティの分身を見つけることが、アガサクリスティの作品の楽しみ方の一つになっているかもしれない。
アメリカ出身の親、イギリスでの生活、
結婚、出産、失踪、離婚、再婚、中東への発掘調査への随行など、
アガサクリスティの作品には、自分の経験が十分に反映されているように思う。
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ミステリーと言うよりは自伝のような内容。
自分勝手な男性に翻弄される女性の姿を描く。
好き嫌いは別れるかな。
主人公の女性が離婚したクリスティ自身だという話もあるそうだが、何となく納得できる。
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『右岸』を思い出した、というよりあちらがもう一つの『未完の肖像』と言うべきか。
クリスティーの愛がテーマの作品はどれもこれもずっしり来ますね。
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うわー。予想(ある意味恐怖)してはいた。
やっぱり。
怖いというのは正しい言葉かわからないけど、、、
国も時代も違うのに、人ってなんで同じなんだろう。
同じように感じるものか、、、
それにしてもモヤモヤとした憤りや寂しさや悔しさやそういったこと。
ダーモットはそうしてもらいたいだろう。
いっそ平手打ちしてやったらいいのにという友達に、そんなことをしても相手の良心が晴れるだけだと言ったのを思い出す。
人って不思議なつながり。
凄い本だけどハッピーではないという点で4つに。。。
でも凄い本です。
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主人公シーリアの幼い時から結婚、離婚に至る経緯が書いてある。シーリアが自殺しそうな所に遭遇した若い肖像画家メアリーがその時シーリアから聞いたシーリアの話を活字にまとめた、という体裁をとっている。おだやかな性格の婚約者を振り、積極的で現実的なダーモットと結婚。夢見がちなシーリアと現実的なダーモット、読み終わるとそのずれが痛々しくこちらの心に沈着する。
離婚に至る夫婦とそうでない夫婦、どこでどう作用するのか、ひとつのケースを見せつけられる。前作「愛の旋律」の5人にもそれぞれクリスティの片鱗を見出したが、あちらは男女の大きなうねりが大河の流れのようにフィクションとして迫ってくる。が、こちらはクリスティの伝えられる事跡と同じなので、一人の女の心の無残な軌跡が露わになる。
この本で見る限り、ダーモットは自分本位な感じだが、その夫の性格を受け継いだ娘ともなかなか相容れない描写も見逃せない。クリスティの娘もそうだったのか。
シーリアの老母は最後まで父に愛された、とシーリアは思っていたが、若くして死んだ父も母に万全では無かった時期がある、と晩年の母に匂わせた描写がある
1934発表
2004.1.15発表
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未完の肖像。ミステリーではなく、ロマンス小説。解説や他の人の感想を見ていると、作者のクリスティと重ねてみることができるとのこと。私はなんとなくそのような見方がしなくて(できなくて)、当時の女性と半生記として。社交とか女性の結婚相手の選び方とか結構よくある話なんだろうなぁ、と。
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アガサ・クリスティーのウェストマコット名義の小説。
主人公の子ども時代からの日々が細やかに描かれていて
ドラマ「ダウントンアビー」の世界観がありましたが
娘との確執など、現代の私たちに共通する
切なさや、やるせなさを感じました。
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これは私の人生。
母の死と夫の裏切りに心を閉ざすシーリアは、失踪事件を起こした著者の姿だと言われる。穏やかな婚約者を捨てて選んだダーモット。すれ違うシーリアとダーモット、産まれた娘はダーモットの性質を引き継いだ。孤独なシーリアが語る腕のない男の意味とは。
ぎくりとする場面も多く、読むのしんどいこともあった。内気、自意識、夢想、色々なところに自分と重なるところを見つけた。シーリアの不安を我が事のように感じた。
痛快な祖母グラニー。よき理解者の母ミリアム。自分ではなくダーモットの性質を受け継いだからこそ助けになる娘ジュディー。四世代に渡る女性の生き方を描いた作品とも読める。
シーリアが指摘された小説家としての視点は、クリスティーも同じことを言われたのだろうか。これがまったくのノンフィクションでない以上、どれだけこの作品に真実の姿を探しても、クリスティーの肖像はまだわからないままだ。
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未完の肖像
アガサ・クリスティ
メアリ・ウェストマコット名義のクリスティ小説②
*☼*―――――*☼*―――――
559pの長編。
解説を書かれた訳者の中村妙子さんによると、シーリアにクリスティが重なるとのこと。
「誰の身にも起こりえる珍しくもないこと」かもしれないけど、敢えてそう言う小説を違う名義で書かれたということが、彼女のことでは?という懸念が出てもおかしくないと思った。
まずは子供の頃のシーリアの世界観が楽しい!1人遊びが好きで想像力のあるシーリアは「愛の旋律」のヴァーノンと重なる。
ダーモットが突然現れ(小説内でも)、シーリアが彼の何処に惹かれたのかと言えばその前に婚約をしたピーターとのギャップ?そういう強引な人を好む人もいるけど、そして自分にないものを持ってる人に対する憧れなのか。
ダーモットのことは好きになれなくて、私はきっとミリアムの気持ちになってた。彼女が亡くなる前にシーリアに告げた「ダーモットは残酷で情けのない人だと思っていた」がその通りで、とにかく自分が中心でいなければならない子供のような人。
その夫と性格が似た娘のジュディすら他人だと思ってしまうシーリアはどれだけ孤独だったろうかと思う。
結婚当初からほとんどのことが否定され「くだらない馬鹿げたこと」だといわれてるのに、愛されていると感じていることが私には不思議でならなかった。けど、世の中にはダメ男ばかり好きになる人もいるし、愛って不思議。
絶対ピーターとの暮らしは長閑に過ごせたと思う。
庭師が首を吊った縄の切れっ端を持ってると運が良くなるってとこかなりイメージ強め。
個人的には、ミステリー並かそれ以上に恋愛シリーズ好きです。ミステリー版にはない一人一人の感情が"自然に"出てると思う。
2022/07/10読了(図書館)
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ノンシリーズ(メアリ・ウェストマコット編)。
想像力が豊かで内気なシーリアは、優しい母親・ミリアムや、周囲の人々に温かく見守られて不自由のない少女時代を過ごします。
やがて、美しく成長したシーリアは、穏やかで堅実なピーターと婚約していたのにも関わらず、突如現れたダーモットから猛アプローチを受けるうちに、彼に惹かれていき・・。
本書はメアリ・ウェストマコット名義で描かれたロマンス小説(ミステリでない方のクリスティー)シリーズの一つで、クリスティーの自伝的な内容といわれているようですね。
冒頭では、とある肖像画家が、今にも自殺してしまいそうな女性(シーリア)と知り合い、その彼女から聞いた半生を“知人の作家・メアリー”に物語にしてほしいと依頼する、というところから入っていて、そこからシーリアの長い物語が幕を開けるという構成です。
シーリアの子ども時代にかなりのページが割かれていて、そこがちょっと冗長に思われがちですが、ここで彼女のバックボーンがしっかりと描かれていることによって、その後の展開におけるシーリアの価値観への理解に繋がるのかな・・と思いました。
そして、問題の(?)ダーモットが登場してからはもう危惧した通りの展開というか、無駄だとわかっていても、シーリアの母・ミリアムと同じような気持ちで“ダーモットはやめておけ!”と思いながら読みました。
ダーモットの“やめておけポイント”は無数にあるのですが、個人的に最も“コイツはアカン!”と思ったドン引きポイントは以下の場面です。
↓↓
ダーモット「・・約束してくれたまえ、いつまでも美しいままでいるって」(←は・・?)
シーリア「でも、もしあたしが美しくなくなっても、愛してくださるでしょう?」(←頑張れ、シーリア!)
ダーモット「そうはいかないよ。同じというわけにはね・・以下略」(←おいおい!お前もオッサンになるだろうが!そこは棚上げかい!)
・・と、このような身勝手なダーモットと夢見がちなシーリアとの結婚生活は、お互いが未熟だったということもあると思いますが、最初から危なっかしくて見てられない感じでした。
さらに、最高の理解者だった母・ミリアムの死で消沈していたところに、ダーモットから離婚を切り出されるというダブルパンチですっかり病んでしまったシーリアが痛々しくて、読んでてしんどかったです。
因みにこの辺りは、クリスティーの“失踪騒動”の原因となった事情とも重なりますよね。
そんな訳で、後半は結構しんどいシーリアの半生でしたが、クリスティーの巧みな人間描写で綴られているのもあって、なかなかの読み応えでございました。
あと、冒頭に登場した謎の肖像画家と、本文中に度々シーリアの妄想(?)に出てきた“切り株のような腕”という暗示が終盤で繋がってきたのもゾクっとさせられましたね。
ミステリとはまた違った味わいの、メアリ・ウェストマコット名義で描かれたロマンス小説(?)シリーズは、この作品の他に五作(全六作品)あるとのことなので、また追々読んでいきたいと思っております~。