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紙の本
抜書きの楽しみ
2004/04/25 19:40
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投稿者:GG - この投稿者のレビュー一覧を見る
寸鉄人を刺す名文句や、思わず唸ってしまう巧みな言いまわしに出会うことは、読書の楽しみの一つである。抜書きノオトというと、いかにも一昔前の響きだが、本で出会った素晴らしい言葉を手元に書き貯める習慣を持った人は今でも多いはずだ。
本書は、読書論・書誌およびその周辺分野で名高い著者が、二十代の頃から書きつけてきたノートをもとに、名言・箴言の類をいくつかの分野に分けて紹介したものである。
定番の古典から異色の書物まで幅広く言葉が採られているが、やはり著者の世代を反映して教養主義的なラインナップとなっている。冒頭三本が、アラン・宮本常一・ソローであり、末尾の三本がメルヴィル・魯迅・荘子である。もっとも大衆文化寄りの部分として選ばれているのが、江戸川乱歩・沢村貞子・高田保と言ったら、若い読者は敬遠してしまうだろうか。
名言・箴言のたぐいは、それだけを取り出して他人に紹介すると思ったような効果を得られないことがままある。喩えて言えば、ジャズの演奏で素晴らしいソロをその部分だけ20秒間取り出しても、感激がないのと同じことだ(ついでにいうと、ジャズのベスト盤というのはつまらないのが普通だ)。選んだ本人にとっては十分文脈があり、その一言から広がる世界が同時に捉えられているわけだが、読者が同じような感覚を共有できるとは限らない。読者が、名言編集者の他の著作を沢山読んでいて、なるほどこの人はこんな読書をしてきたんだと納得できる場合にはじめて面白みが出てくる気がする。
その意味でいうなら、抜書き集はつくるものであって、読むものではないのかもしれない。あれ、書評としては不適切なもの言いになってしまった。
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