紙の本
古典派経済学
2015/10/23 19:44
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投稿者:やまだ - この投稿者のレビュー一覧を見る
古典派経済学を代表するマルサスの人口論の訳でした。私はマルサスのことを「人口は等比級数的に増加するが、食糧は等差級数的にしか増えない。そして、人の性欲はなくならない。」と言う言葉しか知らなかったので勉強になりました。
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学問には、建設的な批判、が不可欠なのはよく分かる。
ただ、書籍の内容がゴドウィンをはじめ、何人かの研究者への徹底的な批判が大半を占める、
というのはどうなんだろうか。
しかも論を締めくくるのが、神の妥当性。
そらぁ、神を引き合いに出せば何でも説明はつくだろう。
そのために誕生させたのが神なのだから。
鋭く鮮やかな考察も多数あっただけに、何となく残念。
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200年前、すでに人口問題について執筆している名著。当時は欧州がまだ貧しかったのがわかります。
これは大学院のクラスで先生が紹介してくれた本。
欠乏は社会内のより恵まれない人々を痛めつけ、そしてついには社会は彼らまで不要できる余力を失う。
貧民の子供の死亡率の高さはすべての都市で見られたのが200年前。
飢饉は自然が用いる最も恐ろしい最後の手段である。
希望はとめどなく人の心に生じる。かなわぬ希望も、必ずかなう。
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いろんな本の中で引用されていたので、どんなすごい本かと思い読んでみた。議論の勢いはすごかった。差別的な点が嫌われているようだが、自分はあまりそう感じなかった。世の中を良くするために現実から目を背けず対処しようとしているように見える。韓非子の現実主義に重なって見える。
的場昭弘という人の巻末解説が良くて、この本の位置づけがよくわかった。自分が最近興味をもっているフランス革命と実は関係のある本だった。やっぱあの時代は熱いな。
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「人口は等比級数的に増加するが、食料は等差級数的しか増えない」のフレーズで有名なマルサスの古典的名著『人口論』。
巻末の言葉が印象的だった。
「この世に悪が存在するのは絶望を生むためではなく、行動を生むためである。」
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日垣さんの古典塾の先月の御題。
よみ遅れてしまったが、読んでみたら、新しく知る事実が多い。
まず、マルサスが、フランス革命を批判的にみていた、イギリスのバークなどと同じグループだということ。あと、後半はゴドウィンという今ではほとんど知られていない理想主義の学者の批判であること。
その他、おもしろい指摘
(1)人口はなんの抑制もなければ等比級数的に増加する。一方、人間の生活物資の増え方は等差級数的である。(p33)
これしか、マルサスの文章は知らなかった。マクロでいえば、科学技術による農産物の増産、新しい農地の開墾などによって、人口は増加してきたが、ミクロでいえば、農家の次男坊以下は、部屋詰めとして、結婚もゆるされず、長子だけが家をついて子供がつくれた江戸時代などは、その農牛お生産力の限界で、「人口抑制」をしていたと考えられる。
(2)今の社会の醜さと新しい社会の美しさを長々といいたてるだけで、その新しい社会への移行を促進する方策、それもすぐに適用できる具体的な方策をまったく示さない人よりも、かっこうは悪くとも達成可能な方策を示してくれる人の方が、人類にはるかに大きな恩恵をもたらす。(p213)
マルサス、いいこというな。まさにそのとおりだと思う。恰好悪くても、すこしでも現状をかえる方策を採り続けたいもの。
(3)知的な快楽のほうが肉体的な快楽よりもすぐれている。しかし、それは持続する時間の名が長さとか、対象範囲の広さとか、その空きにくさの点でそういえるだけである。(p159)
マルサスは、人口が等比級数的に増える前提として、性欲が世代を通じて衰えないことをあげている。性欲は衰えなくても、女性の社会進出などによって、子供をつくることが抑制されることはあるのだろうが、フランス革命当時はそのような発想はわかなかったのだろう。
当時の時代の雰囲気として「性欲」をどうどうと語っていることにちょっとおどろく。
いずれにしても、とてもわかりやすい訳で、よみやすかった。皆様にご推薦。
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「人口は、何の抑制もしなければ等比級数的に増加するが、食料は等差級数的にしか増えない。」で有名な本です。人口と食糧の増加率の不均衡、つまり人口過剰は、貧困と悪徳(疫病や戦争等)によって均衡される、よって貧困は資本主義の欠陥などではなく、自然法則から発生するものであり不可避であるとしています。終章では、人口の原理は人々を苦しめるが、それはキリスト教的神による創造のプロセスにおいて必要な悪の成分の一つであるとしています。悪が存在するのは、絶望するためでなく行動するためで、我々は耐え忍ぶのではなくそれを無くすために努力することが神の意志の実現につながると結んでいます。
キリスト教ではない私には、神の創造プロセスや意志の実現にはピンとこないのですが、不可避である事に直面したとしても、絶望して佇むのではなく、行動する、というのには賛成です。
この本を読んだダーウィンが、生物全般に敷衍して考えて進化論の基本概念を導き出すのに役立ったというのも面白いです。
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人口のこと調べるんなら、この本だよね~、的に某I氏に言われて読みました。
内容としてはひたすら「人口は等比級数的に増加するけれど、食糧は等差級数的にしか増えない」、つまり人口は爆発的に増えるけど、食料はそんなに増えないから、結局養えないんだよね、そこで人口の増加はセーブされるんだよねって話をマルサスさんはしています。
難しいことをいっているようで、データとか細かいことを言わないので、とても読みやすいです。人口論というより哲学チックなところも多い気がします。
この本は1798年(本居宣長が古事記伝書いてた頃)に刊行されているんだけど、もう地球とかエコノミストっていう単語がでてくるあたりに感動しました。
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これは何だろう。議論が荒すぎてビックリ。
加えて、300ページ弱の紙面を費やしてこれか。
改良の余地があることと、無限に改良できることは違う、という命題の説明が9章で議論されていて、その命題自体の真偽はマルサスの言う通りだと思う。
(例えば、人間の平均身長はまだまだ伸びるだろうけど、火星までは届かない、といったレベルの話。非常に単純で、分かりやすい。)
他の章はともかく、この9章の内容はそれだけ分かりやすい内容であるだけに、筆者の議論の運び方、展開の仕方に目が集まる。
だが、たったこれだけのことにどれだけ似たような話を挙げて、先人を批判すればいいのか。自己擁護と他者攻撃が過剰すぎる。正直よく分からない他の章も、同じような論調なのだろう。
中盤、名前が出ないページがないと言っていいほどのゴドウィン氏批判も過剰の一言。救貧法も批判。ハリネズミ?
本書の主張としては、食料が増え方に比べて人口の増え方の方が急であるため、貧困が生じる。これは、特権階級からその他へ食料を分配しても状況の解決には至らない。食料配分の仕方によらず、食料が増えればその分人口も増えるため、常にどこかで貧困が生じる。貧困は神が与えた試練であり、試練を通して人間は精神上の優れた特質を獲得できる。
工業は農業と違って国を豊かにしない。と言っている辺りはさすがに時代が変わったなぁ。
最終盤の、神は試練を与えた、という部分はキリスト圏だなぁ、と思わされる。特に関心のない人から見れば、なんで神が議論に出てきたのか分からない。
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古典派経済学を代表するイギリスの経済学者マルサスが著した本。
一般的に「マルサス主義」といわれる法則は大雑把にいえば『人口は、何の抑制もなければ、等比級数的に増加する。生活物資は等差級数的にしか増加しない』という一文にまとめられる。
豊かさこそ人口増加を引き起こす原因だと仮定し、貧民を適当に飢えさせることが長期的な社会の安定につながるとしたマルサスの論は現代において痛烈な批判の対象になりえる、しかし、それでもこの論が100年以上生き残ってきたのは他人と自分に優劣をつけ自らの優等性を確認し続けたいという人間の本性を捉えているからではないだろうか。
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とにかく繰り返しと比喩表現が多く、内容云々よりそちらの方が興味深かったです。歴史的事実も、人口という切り口で見ると新鮮でした。
神の領域に関してはキリスト教圏ならではって感じですね。それゆえ、中には理解できないところもありました。最後の、悪の正当性についても、若干腑に落ちない部分がありましたが、それだけまだ自分の考えが未熟なんだろうと思います。
新訳ということで、非常に読みやすい印象がありました。こういう古典に対する再認識って大事ですね。
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マルサスの提示した有名な命題が、果たして今も有効であるか?ということについての議論が決着していないことは、その命題が提示した議題が現在進行形のそれである、と言える。
産業革命以降、マルサスの命題はかろうじて破られてきているが、いよいよ食糧問題が危機的になるにつれて、改めてこの命題が輝きを放ち始めることになる。それが果たして幸せなことなのかは、分からない。
この命題に対して明確な反論が出来ていないことに、我々は、もっと畏怖すべきではないのか?そう、これは未解決の問題なのだ。
この新訳は、その読みやすさから、新たな読者が増えることが期待できることを併せると、意義深い出版だと信じる。
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[人>>>食の図]等比級数的に駆け上がっていく人口数に対して、どれだけ尽力しても等差級数的にしか食糧の量は増加しない故、人口は一定数にとどまざるを得ないということを明確に指摘した古典的作品。マルクスを始めとする社会主義者から徹底的に嫌われる一方で、今日に至るまで影響力を有している一冊です。著者は、その名にちなんで「マルサス主義」という言葉も生まれたトマス・ロバート・マルサス。訳者は、フランスの社会主義者であるプルードンの研究で知られる斉藤悦則。
名前とおおまかな内容は他の作品での引用中の言及などで知っていたのですが、改めてしっかりと内容を読んでみるとその説得力の強さに驚かされます。どうしてもその悲観的(もしくは現実的?)な見方に「そうですよね.......」とため息をつきたくなってしまうところ。本書が提示したディストピア的な世界観が読者を引きつけるのみならず、それに立ち向かう必要性がいつの世にもあるからこそ、古典足り得たのかもと感じました。
解説では、マルサスが生まれた時代や思想背景に加え、どのような影響を後世に与えたかが説明されているのですが、これがまた興味深い。フランス革命における理性への傾斜の挫折とそれに対する反動など、マルサスの考え方の後ろ側に理性vs.自然という枠組みが立ち上ってくる点にはなるほどと覚えざるを得ませんでした。
〜人類の歴史をじっくりと探求するなら、以上のことから、人類がかつて存在し、あるいはいま存在しているあらゆる国、あらゆる時代において、つぎの命題が成り立つことを認めないわけにはいくまい。すなわち、人口の増加は食糧によって必然的に制限される。食糧が増加すれば、人口は必ず増加する。そして、人口増加の大きな力を抑制し、じっさいの人口を食糧と同じレベルに保たせるのは、貧困と悪徳である。〜
とても短い訳者解説なんですが、とても面白い解説でした☆5つ
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人口は等比数列的に増加するが、人々の生産性は等差数列的にしか増加しない。この本のポイントだと思います。
また、人間の経済活動は人口に左右される。これからの人口減少に対してどんな動態を示すのか改めて興味をそそられた。
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マルサス『人口論』光文社古典新訳文庫 読了。人口は等比級数的に増えるが、食糧は等差級数的にしか増えない。人間にとって食糧は不可欠で人間の性欲はなくならないとの前提からこの命題を導き、その不均衡が貧困を生むとして食糧生産を重要視する。論証の正確さは相当怪しいが明快でどこか心地よい。
2014/07/05