紙の本
どんなときでも面白がって生きる、国芳親分とその愉快な門下たち。
2012/02/08 01:03
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:拾得 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書を一読して、正直、「ああ、生きててよかった」と思った。ちょっとおおげさかもしれないが。この年になって、このような漫画が読めるなんて、とても幸せだ。
現在、森ビルで大規模な展覧会が行われている歌川国芳展に合わせたかのような、その国芳一門を登場させた漫画である。浮世絵師を扱った漫画と言えば、杉浦日向子の傑作「百日紅」がある。北斎父娘を描いたもので、もちろんおもしろい。一方、こちらは副題のとおり「一門」を描いたもので、国芳を親分とする仲間たちが愉快である。鯨がきたといえば、仕事を放り出してみんなで喜んで見に行き、火事といえば火消しの手伝いに飛んでいく。この世を全身で楽しみ尽くそうとするかのような勢いである。
ところがこの漫画の筋の中心には、重たい過去を背負った侍上がりの若者が、国芳のもとに転がり込むことからはじまるという、シリアスなものが据えられている。陰と陽といえようか、この深刻さをかかえた若者と国芳門下の愉快な仲間たちの対比が、読者をうまく引き込んでくれる。
「浮世」には、この世の中は浮き浮きした楽しいものであると、世の中は厳しく浮草のように漂うように生きなければならないという、2つの解釈があるという。愉快そうにみえる江戸時代も、板子一枚下は地獄でもあったのだろう。国芳自身も不遇の時代があっただろう。その門下生も面白がってばかりはいられなかったろうし、こんなイケメンばかりでもなかったろう。そんな世の中だからこそ、本気で面白がって、楽しく生きようとしたわけである。
実際、国芳展の白眉は、出世作となった一連の武者絵より、さまざまな制約の中で刷られた一連の作品ではないか。どんなことがあっても、楽しんでみせるという気魄をみた。しかし、そんな国芳の作品を人ごみにもまれて森ビルで見るとは・・・、なんだか彼らに笑われそうである。
紙の本
浮世絵に興味がなくても・・・
2012/01/26 01:22
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:色鳥鳥 - この投稿者のレビュー一覧を見る
猫好きの方なら歌川国芳の名前はご存知ではないでしょうか。本書はフィクションながら、「そうだったかもしれない」国芳の姿、弟子たちの姿が、とても粋に描かれています。作者はBL作家の方のようですが、本書にはそうした要素はありません。魅力的なキャラクターを一冊に詰め込んでしまった感じ、とてももったいないです。続巻があればいいのになあ・・・。
紙の本
国芳の人となりがよくわかります
2015/11/04 21:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しのべえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2015年は大阪で浮世絵展があったのを皮切りに、今まで興味を持っていなかった浮世絵のことをいろいろ調べ始めました。その中で絵にとても力のある歌川国芳が気になりました。雰囲気がよく伝わってきてますます国芳がすきになりました。
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「ひらひら 国芳一門浮世譚」は、新鋭・岡田屋鉄蔵さんによる江戸時代を舞台にした漫画です。
歌川国芳という稀代の絵師のもとで、主人公である伝八が過去の呪縛を乗り越え、絵師として成長していく姿を描いています。
師匠の国芳は情に厚く、非常に面倒見の良い親分肌。
国芳の弟子たちはやくざ者ばかりでしたが、男前かつ仲間思いの面々。
そんな一門の人間に囲まれて、伝八の心はほぐれていきます。
本作には国芳の有名な「宮本武蔵」など、実際の浮世絵も登場します。
国芳がどんな思いでその絵を描いたのか想像していただくのも楽しいかと思います。
是非お手にとって読んでみてください。
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店頭買い。
伝八郎って武士が浮世絵師国芳に拾われて、絵師になるお話。
国芳さんが生粋の江戸っ子って感じで良いんですよー。
江戸なまりもすごいしね。
また門下の兄弟子さんたちも素敵!
なんかやけに色気がある人たちばっかりでびっくりする。
伝八郎をみんなで吉原に連れて行くお話がよかった。
みんなですごく真剣に話してて。
伝八郎がちょっとずつときほぐれていくのがいいですね。
ほんとにちょっとずつなんだけど。
みんな家族みたいにあったかくてここん家の子になりたい!!って思ったりする。
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江戸時代、とある事情で自害しようとした元武士が絵師に拾われて。。。
「絵を描く」という事「生きる」という事とは何かを考えちゃいますねっ
出てくる絵師様達がみんな男前の江戸っ子でぇい☆
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ストーリーと絵がきちんとあってて兎に角素晴らしい作品だと思います。1巻完結ですが、もう少し国芳一門の暖かな雰囲気を見ていたかった…。個人的に孝太郎兄さん格好良すぎます。笑顔が素敵です。非BLなので男性の方にも見ていただきたい作品です。
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面白かった!上手い!ストーリーもテンポ良く絵も凄く色気がある~。
武家の伝八郎は入水しようとしたところを浮世絵師・歌川国芳に拾われ弟子となる。伝八郎には言えない過去があった____。
見たことも触れたこともないモノは描けませんから____と言う伝八を~~~歌川一門かわいすぎるやろ~!!!!
一巻完結なのか。続いて欲しいなぁ~むつかしいかなぁ~もっと読みたい!
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すごく面白い!国芳がますます大好きになった。
ちょっぴりミステリー仕立てになっていて、核心の部分は「ひでえ胸焼けがする」話ではあるのだけど、国芳とその一門の気風のよさで、読後感はとても爽やか。
1巻で終わりかなぁ。続いてほしいなぁ。
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実に骨太な江戸絵巻って感じです。漫画ですけど小説に近い感じ。それぞれの美学に拘って生きてる感じが清々しい。とてもいい作品でした。
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収穫。歌川国芳一門の絵師たちを描くマンガなのだが、筆致がステキ。キャラの描き方も、江戸の風景も、ステキ。幕末ちょっと前の江戸にタイムスリップした気分。
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稀代の絵師:歌川国芳を描いた時代小説のような作品。
岡田屋さんなんで、一瞬BLなのかと思いましたが(笑)違いました。
この人は、こういうの描かせると本当に上手いです。
江戸っ子たちが実に生き生きしててかっこいいです。
作者買いで買いましたが、読んだら国芳に興味がわきました。
丁度今、六本木ヒルズで、国芳展やっているので観に行きたいです。
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この作者さんの他の著書を知らなかったので元々BL作家さんだと知ってびっくりしました。おじさんの顔のシワとかキャラの書きわけとかすごくリアル。
でありながら、歌川一門のキャラがそれぞれたっていてノリが男子高校生みたいでみんな可愛かったです。玩具オタクの藤太郎が好きですw
その歌川一門をまとめる歌川国芳の男前っぷりにも惚れます。
最後の完でえ?!これで終わり?!と思いました。お玉ちゃんの恋の行方とか玉葉と伝八の関係とか色々期待してた分残念です。主人公の伝八がフィクションだから仕方がないのかもしれないですが続き期待してます。
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現在公開中の歌川国芳展の、国芳組のお話です。
江戸後期、大人気だった絵師とその弟子達の様々なお話しがコンパクトにまとめられています。
火事に喧嘩と江戸の華が美しい絵で、満喫できます。
元々、国芳大好きなんですが、これを読んでもっと好きになりました!国芳は、猫がかわいーんですよ!
ところで、芳伝て実在する絵師なんですかねぇ。
モデルになった人誰なのか気になりまする。
また、国芳のパトロンが凄く格好良く描かれてます。
本作でいちばん好きな人物です。
絵師は、生前はあまり作品が認められず不遇な人も多いのですが、国芳は、生前からかなりの大人気で、門下が凄くたくさんいる事でも有名ですが、その理由が本書を読むと少し分かった気になります。
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よっ、岡田屋!
なんて粋な漫画なんだろう。もう、最高。出てくる男達のまぁ格好良い事!惚れずには居れないわ~。
こんな作品を描いているのが女性作家さんだなんて。やっぱもう惚れるしかないわ、作品にも岡田屋さんにも。
伝八だけでなく、他の登場人物たちの人生も描いてもらいたいなぁ。