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大江戸将棋所 伊藤宗印伝(小学館文庫) みんなのレビュー

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紙の本

中興の名人像

2006/07/29 10:51

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

安土桃山から江戸時代初期にかけて、実は世界史的にもエポックと思えることが一つ起きている。それは囲碁、将棋棋士の専業化、つまりプロ制度の確立だ。こういったゲームプレイヤーだけでなく、音楽、美術、文芸などの技に秀でた者共、いわゆる遊芸師を王侯貴族が囲い保護し、事実上その道のプロとして生きる道は、洋の東西を問わず古くから存在していた。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった天下人達もそれは同様であり、種々の芸人を援助した。幕府新政権の安定とともに家康、秀忠の政策は体制に組み込まれ、碁打ち将棋衆に一時的な形で与えられた俸禄は、家元制度として技能優れた者を輩出する「家」に対するものになる。つまり政府によるプロ棋士制度が生まれたわけだ。
この革新的な制度により、碁打ち、将棋指しの生活は安定し、その道に一心に打込める環境となる。その結果、分野として飛躍的な理論的発展を遂げ、特に囲碁の場合、発祥の地である中国を凌駕するレベルに達した。前置きが長くなったが、本書で描かれる伊藤宗印はこの将棋の家元制度下の五世名人、つまり制度が安定し、技術的にも成熟を果たした元禄期にあって、制度、家元、将棋といったものの維持、発展に尽くした人物と言えるだろう。戦国のような波乱万丈の人生ではないが、平和な時代にも停滞を良しとせず革新に心を砕いた。
勝負の世界であるから、まず実力第一、負ければ地位は落ちる。勝てば上がる。狭い社会の中とは言え浮き沈みは激しい。ライバルは蹴落とさなければならないが、家元の地位にあれば将棋界の発展のために働かなくてはならない。勝負師であるとともに、ある種の政治家としての半生と内面が描かれている。
修業時代の苦悩、それは弟子、あるいは我が子を棋士として育てるにあたって大いに影響を与える。自分の味わった理不尽は、あるところは改革し、またあえて修行の道として後人に与える。こういったことを理詰めで出来るかどうかが、人物評価の物差しなのだろう。将棋棋士だから理詰めは得意かと言うと必ずしもそうではなく、盤外は案外と情熱的だったりする。
この時代の、芸人とはいえ半ば旗本、武家のような立場にあった人物達の、精神んの有り様、芸道と忠義の二面性は興味深い。芸能の伝統というものはこういった連綿の上にあり、蓄積と変容、つまり現代までの成り立ち理解する上で欠かせないものと思う。
物語としても、関連する大名や将軍家、囲碁の本因坊道策や井上道節因碩など同時代の名人達との関わりもあって、社会全体の流れを感じさせるスケールの大きさがあり、宗印が自分の道を総体的にどのように見ていたかの手掛かりにもなるだろう。

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2006/06/07 11:50

投稿元:ブクログ

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