紙の本
ノスタルジーの詰め合わせ
2010/04/24 18:26
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヨーロッパを舞台にした、少年たちと少女たちの短編集。
もっとも揺れ動くような、感じやすい時期の心が
表現されていると思う。
たぶん、あの頃ははっきりと見えたけれど、
いまはだいぶ見えにくくなってしまったようなこと。
そんな淡さと壊れやすさで構成された世界。
誰もが通り過ぎてきた子ども時代。
やわらかい心は、なんでも吸収するし、傷つきやすい。
そんなときに肉親や友人の死を経験してしまったら
どう感じるのだろう。
最後の「セーラヒルの聖夜」は、
森の中の風景と少女がよく溶け合っていて
情景が目に浮かんでくるようだ。
すこしだけこわいような残酷なような、
それでいて美しい話。
美しいといえば、登場人物が窓辺にいたり、木の緑を見上げる様子は
映画のワンシーンになりそうだ。
汽車を追いかけていったり、雨に閉じ込められているところも。
萩尾望都という人は
マンガという小説を書く人だろうか。
それとも、マンガという詩を書く人なのだろうか。
どちらにしろ、これからもずっと
彼女の作品は、読み継がれていくのだろう。
紙の本
ギムナジウム
2021/10/16 10:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ねこにゃんこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
トーマの心臓の原型ということで、登場人物の名前が同じなのですが、キャラが全然違います。トーマの心臓の余韻がまだ残っているときに読んだので、ちょっと混乱してしまいました。でもこれはこれで面白かったです。
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トーマの心臓のもととなる11月のギムナジウム。
かなりあっさり目。
一緒に収録されているセーラ・ヒルの聖夜も好き。
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萩尾都望先生の短編集。
トーマと類似した作品が(元ネタ?)印象的です。初期の萩尾望都作品(と自分は読んでいる)が、一気に好きになった作品です。
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ギムナジウムって言葉につまってる魔力ってすさまじい。なんてきゅんとするんだろう。収録作「かわいそうなママ」が衝撃でした。
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短編集
表題作は「トーマの心臓」の原型。
どれも人間愛をテーマにしている感じです。
妖精が出てきたり、メルヘンチック。
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草地での・・あの一瞬だけが・・
二人だけの世界だった――トーマ・・・
トーマの心臓の原点である作品。
エーリクとトーマが此処では顔を合わせる。
愛って、紙一重で寂しいんだと思った。
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「トーマの心臓」の元ネタのお話。トーマがまた違った感じで、可愛らしいけれども可哀想で仕方がない。可哀想だなんて、滅多に使いたくない言葉だけれど純粋になぐさめを思うのです。きっと、生きている人間すべてママが大好きなのです。本当は。
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◆11月のギムナジウム
◆秋の旅
◆塔のある家
◆もうひとつの恋
◆かわいそうなママ
◆白き森白き少年の笛
◆セーラ・ヒルの聖夜
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私が小さな頃親が購入し、気付いたら私のものになっていたこの本。
何十回と読んでるけど、その度に違う感動を覚える。
どの作品も秀逸なものばかりで、全部が全部表題作になってもおかしくないんじゃないかって思う。
いつまでも大切にしたい宝物みたいなお話。
私的オススメは
秋の旅
塔のある家
白き森白き少年の笛
てゆーか全部
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トーマを掴みたいと思ったけど、やっぱり掴めないままだった。ストーリーが性急すぎる感は否めない、が、ここからあの名作が生まれたことを思うと、キャラクター造形と、それをテーマに合わせて嵌めこんでいくさまの見事さに打たれる。
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少女と少年の境界は実に曖昧だ。現実に美しい少年もいれば雄々しい少女もいる。女の子2人でおままごとをするにも、男の子2人でたたかいごっこをするにも、状況によって彼らの人間関係に男役・女役が、登場人物としてではなく性分として分かたれながらバランスを取っていたりする。打つ者打たれる者、許す者許される者、裁く者裁かれる者というような具合にだ。そして彼らは似ているものと似て非なるものとを峻別し、心身の生育にしたがって第二次性徴を迎える。幼年期の終わり、それは自らの性にめざめ、自らに内在する異なる性に恥じらいを覚えることでもある。少女マンガは一種の防波堤のように発達をせき止め、過去の曖昧へとこぎ返す波のように、われわれが通り過ぎた神秘の時代へといざなう。
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短編集。トーマの心臓を底本にしたという映画・1999年の夏休みには、実はこちらが底本ではないかと思わせる台詞が多々ある。
収録されているセーラ・ヒルの聖夜も、涙なしには読めない名作。
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トーマの心臓のプロト版と聞いて読みました
短編のせいか心理描写は少なくストーリー重視という感じ
他の短編も良かったです
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これも久々に読みました。発表時期の関係で「トーマの心臓」の原型とも言われていますが、実は、ほとんど同時進行で描かれていた作品らしいです。トーマ、ユーリ、オスカーのいるギムナジウムにエーリクが転校生としてやってくる、という設定は「トーマの心臓」とほぼ同じ。エーリクが無垢で奔放なル・べべであることも同じだけど、違うのはまず、トーマが生きてエーリクに会ったこと、そしてトーマはエーリクを見た瞬間、何もかも分かってしまったこと。「トーマの心臓」における、ユーリの辛い心象がないし、なぜトーマとエーリクがそっくりだったのかがこの物語の一番のヤマだったことで、とても分かりやすく物語りに入り込めます。ユーリが、トーマのことを砂糖菓子と位置づけ、好ましく思っているのも嬉しいし。短編集なので、他には、「かわいそうなママ」が好きです。初めて読んだ時には、なんということ!と本当に驚かされましたが同時に、深い感動がありました。ママの手は冷たいけど、それは死んだからで、かわいそうだから、じゃないんだ、という僕の言葉が悲しくてね。何度読んだかわからないお話ですが、読むたびに一コマ一コマが沁みてきます。