紙の本
最近、本の刊行多いと思ったら、そういう事情だったんすね。
2015/11/29 00:01
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投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ただでさえ年寄りは汚いものだから」という言葉から始まります。どんだけぇぇ!!ってびっくりしましたわ。
日本は「定年以後問題」にあまり真剣に取り組んでこなくて、「定年になったら、趣味をお持ちなさい」とかで済ませてきたんですが、モデルケースがないんですね。
とはいえ、モデルケースに縛られない生き方もできる。
日本人が豊かになってしまったから、歳を取るのを嫌になって、ハードランディングで急にある日、「働かなくていいよ」って言われる。
ちょっとずつ年を取るから、権限移譲もちょっとずつやって、若い奴に「お前もちょっとずつ年を取るんだから」と教え込む文化はありません。
「楽隠居という言葉があるのは、現場を退いたが楽ではない隠居がたくさんいたっていうこと。」「現代の病院は生死を考えるところじゃなくて、退院後を考えなきゃいけないところなんだな。死を考えるんだったら、病院に入る前の元気な間に考えなきゃいけないな。」
ってのは慧眼で、そうだよね、サザエさんの「裏のおじいちゃん」みたいな人って必ずしもマジョリティじゃないよね、って思いました。
「自分の老い」に対してアマチュアだというのは、老いを迎えた人の頭の中に「若い時の経験」しかなく、モノサシが使えません。
孤独死でみっともない状況で死んでるのは嫌だ、とか「ゆるゆると老いの一方向を下っていくだけで、それはつまり自然の成り行きにまかせるということ」に耐えきれないっていう「未来」を悲観する方におススメです。
「いかに自分の人生をたたむか」ってのはこれまでの人生を一直線の矢印で捉え、プロスペクティブに考える人には我慢ならない。人生が山道なら、頂上付近で足取りが重くなるし、しんどいところで「楽しいもクソもねぇよ」ってとこで、でも登んなきゃいけないためには、どうしたらいいんだろう?
橋本さんの壮絶なんだけど「なんとなく」生きてるっていう感覚の流れは、どこかであなたの背中を押してくれるかもしれません。
紙の本
タイトルに驚き
2015/10/25 22:50
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投稿者:7013 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まだまだ知らないことも多いことに気が付かされた。様々なことについてこれまで以上に知識がふえることだろう。シンプルに書かれている点もよかった。
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創作の原動力
2016/02/06 10:35
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投稿者:swing29 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近の橋本治の働きっぷりは凄いなと思っていたのだが、還暦を過ぎ、病気を患いつつ、いまだにバブル期の不動産がらみの借金に追われているとの話。
それは気の毒な、と思う反面、その借金返済という餅ベーションがなければ、我々が橋本治の著書を毎月のように読む事は出来なかったのではないかと思うと、禍福はあざなえる縄のごとしか。
無責任な読者としては、新刊を買って借金返済の一助として貰うぐらいしかないのだが。
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自覚して
2015/10/30 13:19
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投稿者:ヘコキン - この投稿者のレビュー一覧を見る
気持ちは若いころと変わっていないつもりだが体は確実に老いを感じています。諦められない自分をこの本で納得させたいです。
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誰しもが初心者である「老い」について「貧乏」と「病気」をセットにした自らの体験からの指南書、うっ、あっと思い当たる節に軽く落ち込みながらも、これも勉強と自分に言い聞かせて読了しました。歳を取ると年月時間が早くなるのは今まで生きてきた時間と相対的に時間を評価するので早く感じるが定説でしたが、ここで新説を勉強しました。歳を取ると若い頃なら退屈してしまってできない「ぼんやりする」ことが多くなり、その間に時間が過ぎてしまって時間が早く過ぎるように感じるそうです。うーん、ぼんやりしないように頑張りたいと思いますが、体力がついていかないのかも^^;;
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著者のファンでない人には、それほど面白い本ではない。
誰もが年をとることについてアマチュア。
著者はバブル崩壊で多額の借金を背負った。
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なんだかとりとめのない語りだなあと思って気乗りせずに読んでいたら、第六章「老いの貧苦」が驚きの内容。「余は如何にして貧となりしか」と題して億単位の借金を抱えることになった経緯が記されている。これだけでもすごいのだが、さらに、第七章「病気になる」では、免疫系の難病を発症し、それでもなお借金返済のために入退院を繰り返しながら働いていることが綴られていて、なんともまあ壮絶である。あるのだが、しかし、そこが橋本治であって、あっけらかんと、というか、飄々と、というか、形容に困るのだけれど独特の語り口なので、あらまあそうなの?という感じで読まされてしまう。
自分より十歳ほど年上の、いわゆる団塊の世代の方たちが、「高齢者」の仲間入りをしつつある。従来の「年寄り」という概念が崩れている今、どう年をとっていくか、参考にしたくて注目している方たちがいるのだが、著者もその一人だ。「老・病・貧・孤」という状況を抱えつつこの境地。とてもじゃないが自分には無理だけれど、どこか気持ちを楽にしてくれるのは確かだ。
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著者の橋本治さんといえば桃尻娘・・・。アラ50男子はみんな知っている・・・?
若さに軸を置いた社会の価値観と、否応なく訪れる老いとのギャップを、自身の老いの進行状態を見せ、世の中に見る老い方を観察し、『老い』あるいは、『老い方』を哲学されている。
私自身が、最近『老いる』や『残された時間』、『健康寿命』等、考える時間が増えてきているので、面白く考えさせらた。
『なるほど、この先はこんな風に考えていけば良いんだ・・・。でも俺って、まだ歳の割に若い方だから大丈夫。』ってセリフを笑い飛ばせ!
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人が老人と言われるのを嫌がるのと同じくらい中年と言われるのををいやがるのは、そうなると若さとは無関係の生き物になってしまうからではないにかと思って、それで私は、人というものは若さの後にいきなり若くないを持って来ずに、まだ若いという留保期間を置き、更にもうそんなに若くないがあって、やっともう付きの若くないを置くのではないかと思うのです。
人とはそのように往生際の悪いものであるというのではなくて、若い段階で人格形成が起こってしまうから、事の必然として自分=若いという考えが自分の中心に埋め込まれてしまうのだと思います。
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橋本さんは現代の啓蒙家で、
至ってまっとうなことを、
少し人が思いつかなかったところから
きちんと言葉で追っていくので
なかなか読みにくい、ところはあるかもしれない。
このヒトは浮ついたことを言ってるのではなく、
自分の経験にのっとって、身体で知って頭につなげているというのが
この本を読むとすっごくわかる。
こんな大変な経験、普通の人では乗りきれない。
貧乏(しかも飛び込んで行った)、
万人に一人の難病、膨大な仕事量、半端ない頭の良さ。
そういう人が、老いについて考え、発見の日々を新鮮に驚いている。
死は結局、生の側からしか考えられない。
橋本さんの新しい本が、まだ出ていることに感謝。
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全体として特に何を言っているわけでもなく、だらだらと話が続くんだけど、部分部分に注目するととても鋭い考察がある、という橋本節は健在。
好き嫌いが別れると思うけど、けっこう僕は好き。
それにしても橋本治、そんなことになっていたのか。結構壮絶だな。。。
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これは、若い女性に向かって言った言葉ではなく、老いに向かっていく自分に対しての言葉。
体は確実に老いていくのに、そして体は何度もその信号を送っているのに、脳がそれを認めない。
人間というのは幼いころから成長曲線が右肩上がりで、いざ下り始めると、新しい出来事を記憶しにくくなってしまう。
だから、若かったころの、できたときの自分の感覚で考えるから、齟齬を生じるらしい。
子どもの運動会に参加して転ぶのは、若いころにスポーツをしていたお父さんが多いのもそのせいだと聞いたことがある。
頭は若い時の感覚で指令を出すけれど、体は全然追いつかないのだそうだ。
“「自分」とは、アクのようなものだ。
アクが溜まって大人になる。大人になるということは、そのように「自分」が蓄積していくことで、「自分」が溜まってしまうと、そう簡単に身動きが出来なくなる。体が重くなるし、思考もまた重くなる。”
“年寄りは意図的にならなければならない。一々脳の指示を仰がなければヘマを仕出かしがちになる。だから動きがノタノタと遅くなる。”
若いころは反射神経でいけたことが、年を取ると脳の判断を仰ぎながらじゃないとできない。
あれ?それって、なんかちょっとかっこよくない?
だって、脳が働いているってことだよ。
記憶力が衰えるっていうのは、付箋紙の接着力が劣化するのと同じことだと橋本治は言う。
劣化していることを意識して、きちんと貼ればいいのだと。
それを、今までどおりにテキトーにペタッと貼っつけるから、付箋紙はひら~っとはがれてどこかに落ちてしまうのだと。
「栄耀(えよう)に餅の皮を剥く」という言葉をこの本で知りました。
金持ちは表面が固くなった餅の皮を剥いて、中の柔らかいところだけを食べる。
だけど古くからの金持ちなら、餅の皮なんか剥かずに「新しく餅を搗け」と命令すればいい。
急に豊かになって働く必要がなくなり、暇を持て余した結果、「することもないから餅の皮でも剥いとくか」となったのでは?と橋本治は考察します。
そして、「古くなったお肌の角質を剥いて若返らせる」美容整形のピーリングは、まさに「栄耀に餅の皮を剥く」行為だと、毒を吐く。
格好いいなあ。
潤沢な知識をもって毒を吐く年寄り。うっとり。
橋本治の語る老いについて、思い当るところは多々あって。
だけど老いへの道は片道切符。
泣いても笑っても、誰もが老いていくのだから、できればまあ、笑いながら老いていければいいなあと思います。
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読売新聞朝刊「現代版・金色夜叉」、楽しく毎朝読んでます。橋本治さん、ひとつ先輩です。「いつまでも若いと思うなよ」(2015.10)、はい、心します!客観的に自分を観察し、そして、時には主観的に浪漫も抱きたいと思ってます(爆)
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橋本治自身が体感した生老病(死)+貧をよりどころにしたエッセイ。傍で聞いていると何億もの借金やら難病やら壮絶なのだけれど、当の著者は「そんなものかな」と平熱で「なるほどなるほど」と加齢にともなうあれこれを是々非々で受け止めているのが、らしいといえばらしい。それぐらい達観していてもなおみずからの老いを素直にみとめるのは簡単じゃないようで、そのへんの自己観察がおもしろかった。古代〜平家物語の時代のご長寿の分析もおもしろかった。
言っても詮無いことだけれど、もっと生きて、世の有象無象を分析&説明しまくってほしかったなぁと思わずにはいられない。
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始めにいきなり「老いとはまず他人事である」との命題が提示されるが、結局これが老いとは何か?に答える究極の結論なんだと気付いた。
自分は昔から老けているので、実年齢が上がるとそれに応じて見た目の年齢と近づいて行くから歳を取るのは嬉しかったりする。それでも『老人』という響きにはやっぱり抵抗がある。それはどこまでも他人事なのだ。
しかしこういう老いと死に関するテーマを著者の死後に読むのは複雑だ。読みながらつい余計な事を考えてしまう。