紙の本
親子の情の物語り
2021/08/27 17:30
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投稿者:かずさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「好色一代男」「日本永代蔵」で知れた井原西鶴。その娘との物語り。主題は井原西鶴なのだろうけど、私には盲目の家事全般ができる娘と父親の情の物語りに読めた。
井原西鶴は最初は俳諧師。それから草紙作者と多彩な執筆能力を奮ったエンタメ作家。その創作過程を盲目の娘を通して作者は語る。最初は父親が嫌いだったが、周辺の人達から話を聞くうちに本当の親子の情が沸く。最終章の二人して布団を頭からかぶり年末の借金とりをやり過ごす姿。そして読み終わった後に思わず涙した。全章に作者お得意の季節感の風、植物、料理、庶民の生活があじわえる。
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投稿者:あり3 - この投稿者のレビュー一覧を見る
西鶴、おあい、辰爾、人の思いが心に響く。
紙の本
江戸の文化が楽しめる
2017/02/11 13:23
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投稿者:ミッキー - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めたらとまらない、浅井まかてさんのストーリーにぐいぐい引き込まれます。
自分も江戸の文化の中にいて楽しめるような小説です。社会の勉強時間で、この本一冊読んだら、もっと歴史に興味を持って、勉強できるのではないかしら…
紙の本
小説家の起源
2017/02/02 00:46
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
才気あふれる男を父に持つ悲哀。
ただし、娘を愛さない父はやっぱりいないものなのかな。
紙の本
阿蘭陀西鶴
2017/01/17 20:15
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投稿者:kyon - この投稿者のレビュー一覧を見る
西鶴の日常生活が目の見えない娘の視点で描かれている。目は見えなくても父親の西鶴をずっと反発しながら見つめている。やがてその娘が心を開き父の思いに添っていく・・・その様が何だか微笑ましくなる。愛しい娘や養子に出した息子、意外に貧乏生活だった西鶴・・・
イメージとはだいぶ違ったが、親子の情の通い合いが愛しく感じられた。
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あまり惹かれなかった題材だったのだけど、レビューが高かったので購入。
とても良かった!!
盲目のおあいの、父・井原西鶴に対する頑なな気持ちが少しずつ溶けていき、寄り添う姿がとても良かった。
読んでいて心地よかった。
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エンタメ小説の祖・井原西鶴を、盲目の娘の視点で描く
井原西鶴の娘おあいは、盲目の身ながら料理も裁縫もこなす。一方、西鶴は、手前勝手でええ格好しぃで自慢たれ。だが、『好色一代男』の朗読を聴いて、おあいの中で父への想いが変わり始める。織田作之助賞受賞作
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乳飲み子の弟を残して病死した母。父・井原西鶴は2人の弟を養子に出し、まだ九つのおあいとの二人暮らしを始める。お調子者でエネルギッシュでいつも騒々しく外出の多い西鶴、盲目ながら母に仕込まれた料理や家事の能力で家を維持する真面目でやや陰気なその娘おあいです。
おあいの視点で描かれます。何かと言えば知人の前に引き出しおあいを褒める父と、そこに反発する根暗なおあいです。
しかし、やがて父の心情が判るようになるにつれ。。。
絶品とまでは行きませんが、しっかりした歴史小説です。
当時の世相も良く出てますし、人物像もしっかりしています。
朝井さん、安定してますね。
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井原西鶴については、名前と好色一代男くらいしか知らず、その一代記ってことで、時代背景とかも楽しめました。松尾芭蕉、菱川師宣、近松門左衛門っていう、お馴染みどころも多く登場して、”なるほど、こういう繋がりがあったのか”っていう発見もちらほら。西鶴って、俳諧にその基礎が置かれていて、あまりパッとしなかったから草子へって流れがあったんですね。今我々が小説文化を享受出来ている大本がここにあると思うと、よくぞやってくれました!って快哉を叫びたい感じです。娘さんとの交流も、不器用ながら温かくて、父子ものとしても良く出来た作品でした。自身、初まかて体験でしたが、とても好印象でした。
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文庫で再読しました。前回をふんわりとしか覚えてなかったので、熱量を持って読めました。とても面白かったです。盲目の娘・おあいの語りで描かれる井原西鶴の生涯が生き生きと伝わってきました。2人を取り巻く登場人物たちも生き生きとしていて、読んでいて楽しかったです。初めは俳諧、次に草紙と、西鶴の紡ぐ言葉が気になりました。読んだこと無いけど読んでみようかな…と多分前回も書いた気がします。おあいがだんだん西鶴の思いを知っていくのも良かったです。お玉のラスト辺りの台詞も良かったな。こんな生き方もあっていいのですよね。
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大衆小説の祖という井原西鶴の一代記
盲目の娘の視点から、西鶴の常識はずれの生活と並外れた行動が描かれる。そして、そこに流れる激しい承認欲求と、妻と娘への愛情がくっきりと浮かぶ。
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西鶴自身の話じゃなくて盲目の娘が主人公だったのか。家族を顧みない奔放で勝手な父だと思い込んでいたのが、実は愛情深い所があったと娘が気づいたのはよかった。弟たちは父と解りあえたのかが不明なので気にはなる。辰彌がこの世で自分の居場所を見出せず絶望のうちに死を選んでしまったのが残念でならない。フィクションなら西鶴の娘と出会うことで生きる意味を見いだせればよかったのにと思う。
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井原西鶴は文学史で覚えるべき一人、というだけの存在だったけれど、この本でちょっと視点が変わった。
人間味が溢れる人柄と作品に一気に興味が持てて、来年は西鶴作品を読んでみようと思った。
実際はどんな人だったのか、もちろんわからないけれど、現実でもこの作品のように、おあいは西鶴の娘に生まれて、幸せであったことを願います。
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内容(「BOOK」データベースより)
江戸前期を代表する作家・井原西鶴。彼の娘おあいは、盲目の身ながら、亡き母に代わり料理も裁縫もこなす。一方、西鶴は、手前勝手でええ格好しぃで自慢たれ。傍迷惑な父親と思っていたおあいだったが、『好色一代男』の朗読を聴いて、父への想いが変わり始める。小説を読む歓びに満ちた、織田作之助賞受賞作。
平成28年12月23日~27日
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おあいが父、西鶴の本音というか気持ちに、少しずつ気づいていく様子がとても良かった。
おあいの目線なので、読んでいる方も最初は西鶴のことをうとましく思い、理解不能だと感じるように引っ張られている。
それが、辰彌、それから荒砥屋、そしてお玉らの言葉によって、父の内面、知ろうとしなかった気持ちに気づかされる。
見えていれば、もしかしたら、言葉と表情が違うことがもっと早く分かったかもしれない。でも、おあいには口に出された言葉が全てだった。でもでも逆に言えば、言葉がしっかりしていればなんだって伝わるってことなのかも。
西鶴の造形もなかなか興味深かった。けしていい父親ではなかったけれど、人として一本筋が通っているというか。ぶれなければいつか、どこかにたどり着けるという泥くさい道を地で行った人生だったんだろうか。
おあいのふとした言葉に「そうか、曲節や」とヒントを得るところ。
商人の物語を出そうとしたら本屋に難色を示され、「何が安心や。好色ものを出す時、お前はんら、何て言うた」と啖呵をきるところ、とかが良かったな。
「お前はんらは、己の足で道を見つけたいとも思うてないんやろう。ほなら黙ってわしについて来んかいっ」
そして、西鶴が貧乏人の身過ぎ世過ぎを書いた新作を聞いて、「これぞお父はんの真骨頂や」と思うおあい・・・じーんとしたなぁ・・・。