電子書籍
陰陽師 龍笛(りゅうてき)ノ巻
著者 夢枕 獏
大人気、陰陽師シリーズ第6弾は、粒ぞろい5篇。橘実之の娘、露子姫はことのほか虫が好き。男の童が見つけてきた、真っ黒で赤い斑点がある珍しい虫を可愛がっていたところ、この虫が...
陰陽師 龍笛(りゅうてき)ノ巻
陰陽師 龍笛ノ巻 (文春文庫 「陰陽師」シリーズ)
商品説明
大人気、陰陽師シリーズ第6弾は、粒ぞろい5篇。橘実之の娘、露子姫はことのほか虫が好き。男の童が見つけてきた、真っ黒で赤い斑点がある珍しい虫を可愛がっていたところ、この虫が異様な成長を遂げて……「むしめづる姫」。安倍晴明の師匠、賀茂忠行の息子・保憲が厄介な頼みごとにやってきた……「首」。できものの中から蛇が……「怪蛇」。妙なる琵琶の音色に、姿の見えないものが寄ってきて……「呼ぶ声の」。宮中につぎつぎと妖(あやし)が……「飛仙」。
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紙の本
やっぱりシリーズものっていうのは、安心して読める半面、驚きがないんです。村上豊さんの素敵な挿絵もないし・・・。シリーズもそろそろ曲がり角?
2006/03/15 20:29
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《お馴染みの安倍晴明と源博雅の冒険。芦屋道満と賀茂保憲という晴明の好敵手たちが絡んだ六つの怪異。姫に起きる妖しに恐れおののく親が求める救い》
シリーズもの、嫌いではないんですが、話の型が出来てしまうと、新鮮味が失せることは確かです。昔、推理小説の論争で、佐野洋が同じ人間の周辺に殺人事件が起きる不自然さを避けるためにも、安易なシリーズ化は避けると言っていたことを思い出します。それとは意味は違うのでしょうが、夢枕漠のこのシリーズ、色々な作家が安倍晴明を取り上げてしまい、同工異曲の感が強くなってきました。そろそろ曲がり時ではないでしょうか。
今回の話はどれも、シリーズでお馴染みの光景、縁側でのんびり杯を酌み交わす安倍晴明と源博雅との会話から始まる、芦屋道満と賀茂保憲という晴明の好敵手たちが絡んだ六つの怪異談です。姫に起きる妖しに恐れおののく親が求める救い。屋敷に仕える小女の足に出来た腫れ物。次第に大きくなるそのものの正体は「怪蛇」。一人の女を争う二人の公家。その争いに首が絡んで「首」。他にも虫、声が人々を脅かします。
相変わらずのゆったりしたテンポの語りが見せる変化(へんげ)の世界。今回は虫がポイントなので、人によって好き嫌いがあるかもしれません。ちなみにわが家は、夫も娘も無視が全くだめ。装画、装幀は村上豊です。『瘤取り晴明』で、見事な共同作業を見せてくれた村上ですが、文庫ということもあって今回はカバー画を担当しただけ。オリジナルはオール読物に掲載されたもので、単行本のときも挿絵はありませんでした。
初出時は挿絵があったはずなのに、単行本に挿絵を入れるのは児童書という思い込みが出版社にあるんじゃあないでしょうか。雑誌に連載したような小説には、掲載時の挿絵を再録するくらいのことは考えてもいいのに、いつまでそういう読者無視の姿勢を続けることやら。挿絵の効用も含め、曲がり角のシリーズと言う気がします。
電子書籍
それぞれに味わい
2018/12/06 07:00
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:美佳子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
6巻の『龍笛ノ巻』は1~4巻同様の短編集となっています。
収録されているのは「怪蛇」、「首」、「むしめづる姫」、「呼ぶ声の」、「飛仙」の5編。
「怪蛇」はミステリー風で、晴明・博雅コンビの他、ライバル陰陽師・堂満も活躍し、晴明と堂満でお宝を分けて事態が収束します。なんやかやと意外と仲がいいのかな?と思われる二人ですね。「拝まれれば、どのようなものにも魂が宿る。蛇じゃ蛟じゃと言われて、百年も経を聞かされれば、石も動こうというものさ」に集約される不思議譚。
「首」はどちらかというと怪談ですね。人が何人も取り殺されてしまって、正直怖い話。
「むしめづる姫」はおよそ平安のお姫様らしくない変わった、学術的とも言えるお姫様のエピソード。
「呼ぶ声の」は琵琶の良い音が人ならぬものとも縁を結ぶというお話。平和的に解決するエピソード。
「飛仙」は仙人になり損なった妖(?)が丸薬の入った袋を落としてしまうことで始まるお騒がせエピソード。
どれもそれぞれに味わいがありますが、最初の蛇のお話が一番面白いと思いました。
紙の本
むしめづる。
2017/08/26 18:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今昔物語集からひいたエピソードが多いこのシリーズでは珍しく、宇治拾遺物語のから取った短編「むしめづる姫」がいい。
「鬼も女も見えぬぞよき」という言葉の夢枕獏氏的解釈がなされている。
ひとの想像力こそが、恐怖も幽玄をも生み出す根源となる。