電子書籍
幕末新選組 新装版
著者 池波正太郎 (著)
なあに、明治維新なんてえものはね、つまり薩長たち雄藩と徳川との争いさ。いまのような文明開化の世が来たのも、そいつは時勢というやつでね。つまりは日本国民がえらいのだよ──い...
幕末新選組 新装版
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幕末新選組 新装版 (文春文庫)
商品説明
なあに、明治維新なんてえものはね、つまり薩長たち雄藩と徳川との争いさ。いまのような文明開化の世が来たのも、そいつは時勢というやつでね。つまりは日本国民がえらいのだよ──いたずら好きの腕白小僧が、父の意に反しひたすら剣術の稽古にあけ暮れて十年。折しも幕末の動乱期、永倉新八は剣道の快感に没入した青春の血汐をそのまま新選組に投じた。女には弱いが、剣をとっては近藤勇以上と噂された新八の、維新後におよぶ生涯を、さわやかに描ききった長篇。
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新選組のはじめから終りまで
2020/05/09 07:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
時代小説あるいは歴史小説を書く作家にとって、新選組という題材は興味の尽きないものかもしれない。
それは巨匠池波正太郎でも同じであって、何故新選組の物語を書くのかというその答えを本作品によって示したと「あとがき」にある。
これこれが答えですといった書き方はもちろんしていない。
よって、読者がそれを読み解くことになるのだが、やはりなんといっても、新選組という集団の面白さが作家の執筆意欲を高めているにちがいない。
近藤勇をはじめとしたさまざまな型の人間が新選組という集団になることで、まるで巨大な人間を創り出しているかのような、人間興味がうかがえる。
池波はその集団にあって、永倉新八を主人公に選んだ。
永倉新八は新選組創設にも関わった主だった一人だが、幕末の動乱期を生き延び、大正4年77歳で天寿を全うしている。
晩年には新選組の功績を語り継いで、「新選組の語り部」とまで言われた人物である。
つまり、永倉を描くことで、新選組誕生から有名な芹沢鴨暗殺事件、池田屋事件、伊東甲子太郎暗殺事件、近藤勇捕縛と斬首といった新選組最後までを網羅できることになった。
この物語を読めば、新選組がどんな集団であったか、幕末の中で彼らがどういう位置づけであったかがよくわかる。
そして、何よりも物語の展開がとても小気味いい。
だからこそ、殺伐とした中にも人間の温かささえ感じるのだろう。
紙の本
これは読みやすい
2018/11/10 16:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ガンダム - この投稿者のレビュー一覧を見る
新選組ものは数あれど、これは大変読みやすく、ストーリーの展開もよく
、一気に読めます。それぞれのキャラも際立って、また読みたくなります。
紙の本
自分の生きる道をまっすぐに生きる。
2004/05/19 17:07
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
新選組では、永倉新八がいい。
近藤勇は主役過ぎるし、土方歳三は策士すぎるし、沖田総司は美しすぎる。
地味だけれど、人間臭い永倉新八がいい。
そんな幕末動乱の時代を駆け抜けた彼の話。
これを読むと、ますます永倉新八の人柄に惹かれる。
作者の池波氏も、彼が一番好きな男といっている。
大河ドラマ以来、新選組関連の本を読んでいるが、ドラマをみていても、本を読んでいても、幕末という時代は、ものすごい混乱の時代であり、実は、何が正しいか、なにが正しくないかなど、だれもわかっていなかったのではないかと思われる。
結果として、「明治維新」ということになって、歴史上ではそのような流れが本筋みたいになっているように思うけれど、実は、単なる政権争いで、各々が政権をとるための権力闘争だったんだよなぁ、と思う。
薩長と幕府の争いのなかで、日本国中が、どちら側についていたほうが得かと、戦況や顔色を伺いながら、先を読もうとばかりしていた時代。
そんなふうに見えてくる。
そういう意味では、新選組という集団は、なんとも純粋だったのではないか。
自分たちが慕う人のために、自分たちの信念のために。
その熱い思いのみで結成した集団だった。
そして、最後までその忠義心を全うしようとした。
それでも近藤勇などは、後半、権力にうつつをぬかしていたところがあるが…。
だからこそ、この永倉新八の純粋さが際立つのかもしれない。
彼は、純粋に剣術一筋に生きた。
政権争い、権力闘争におかまいなしで、自分の生きる道をまっすぐに。
こういう生き方もあるんだ。
「日本人を見損なっちゃいけねえな」新八が云う。
日本人であることの誇り。
私たちは、見失ってはいないだろうか。
紙の本
永倉新八が長寿をたもったのは彼の“人徳”に他ならないことは読者の胸に焼き付けられたはずである…
2004/02/28 14:56
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作の主人公である永倉新八は、“剣を持ったら近藤勇以上”と言われた新選組二番隊隊長であるが、いわゆるビッグ3(近藤勇・土方歳三・沖田総司)に比べたらずっと存在感が薄い。
大きな理由として二つあげられる。
まず、生き残り隊士であるためにその人生に“悲壮感”がただよってない為にインパクトが弱い点。
次に、近藤勇や土方歳三のように“野心”がない点、言い換えれば“人情味があふれすぎてる”点。
特に後者は永倉新八の長所でもあり短所でもある気がする。
確かに新選組の隊士としたら“優しすぎる”かなと言う点は否めない。
読後感も物足りないのかもしれない。爽やかすぎるのである。
『燃えよ剣』のような強烈な男の生き様を描いたものではないのは事実だから…
本書においては池波さんの視点は後半近藤や土方に冷たいような気がする。
今度は同じ著者の『近藤勇白書』を是非読んで比較してみたいですね。
彼らの変わり果ててしまった人間性を非難してるように感じられるのは私だけだろうか?
池波さんの作風から言えばやはり“歴史小説”というより“時代小説”の方が合ってるのかも知れませんね。
少し軽妙すぎるかな?
新選組ファンの方は少し受け入れにくいかもしれません。
でも、永倉や原田(本書ではかなり親しくしております)がいたから近藤や土方が浮かび上がったという点は忘れてはならない。
この作品を読んだ読者は彼の長所を吸収できたはずである。
そう、ひたむきに生きることの素晴らしさを学び取ったはずだ。
特に印象に残ったエピソードとしては芹沢鴨に慕われ近藤が嫉妬するシーン、全編を貫いている市川宇八郎や藤堂平助との友情、晩年に実子お磯との再会シーンなど…
永倉新八が長寿をたもったのは彼の“人徳”に他ならないことは読者の胸に焼き付けられたはずである。
トラキチのブックレビュー