紙の本
音楽小説の秀作
2015/08/09 23:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のぶ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベルリンの壁崩壊直前のドレスデンで音楽を学ぶ学生の話。これシリアスなノダメですね。当時の情勢は終盤に出てきますが、ひたすら音楽の話。室内楽や器楽曲はあまり聞かないけど、これだけ出てくると聴きたくなる。フランクのバイオリンソナタのCDを早速注文した。小説としての完成度もかなり高い作品。室内楽、ピアノの好きな人にはお勧めです。
紙の本
音楽家たちの覚悟と悲哀
2023/05/14 23:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
まだ冷戦下において、
ドイツが西と東に分かれていた時代。
壁の向こうでの生活を知りながら、
貧しい暮らしを余儀なくされ、
誰かの密告に怯える日々の中で
自分を保っていく大変さは想像もつかない。
音楽の癒しの力が切実に求められ、
それが機能していた環境での
音楽家たちの覚悟と悲哀が凄絶だった。
紙の本
何とも言えない読後感。
2020/07/18 15:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なまねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツ(DDR)が舞台。
日本からピアノを学ぶため留学した主人公と、彼と出会った人々の物語。
音楽・歴史・恋愛・ミステリ小説の要素が盛り込まれている。
当時の東ドイツの雰囲気は感じられるのだが、正直、シュタージの怖さなどはあまり感じられなかった。
登場人物たちの行動にも何故?という場面が多く、終わり方も唐突に感じてしまった。
他の人の評価は全体として高いのだが、残念ながら個人的には合わなかった。
投稿元:
レビューを見る
東西冷戦末期の東ドイツを舞台にした青春小説。
サスペンス要素のあるメロドラマ、という感じか。音楽も重要なテーマのひとつであるが、存在感という意味ではそう大きくはない。
ミステリ……というか謎解きっぽい仕掛けもあるにはあるのだが、こちらはもっと影が薄かったw
投稿元:
レビューを見る
今から25年ほど前、ベルリンの壁が崩壊する少し以前に東ドイツにピアノ留学した主人公が旧体制に巻き込まれるような形で音楽と向き合う物語。自分の音楽を築き上げるのに学び悩む“音楽の物語”よりも、旧体制下の政治的背景に否応なく翻弄される内様の方に重点が置かれてる感じでしたが、それでも十分読み応えがありました。同作者の『神の棘』もラストはミステリーだったのか!と驚かされましたが、こちらのラストに至る過程もなかなか。
投稿元:
レビューを見る
平成元年からベルリンの壁が壊されるまで。
その短い間に東ドイツの音楽大学に留学した日本人が主人公。
日本では天才と言われていても、レベルの高い留学生たちの才能と自分を比較して打ちのめされ、また歴史に翻弄され・・・
帰ることができない、追い詰められた状態の人は強い。
そして、何も得意なものを持たない私は、そんな学生たちがとてもうらやましい。
でも、逃げ場がないって苦しいだろうな~
投稿元:
レビューを見る
昭和が終わった日から、ベルリンの壁が崩れるまでのほぼ一年間の話。
DDR(東ドイツ)に音楽留学した一人の青年が経験した東側の国の現実はあまりにも過酷で。
ひたすら自分の音を探し求めるために留学したはずが、そこで出会う人々と音楽を通して向き合うなかですべてを見失ってしまう。なぜみな覚悟を問うのか。何が足りないのか。いつでも帰ることができる、逃げても誰も責めはしない。なのに、なぜそこまで音楽に固執するのか。
すべてを壊し、なにもかも失くして初めて新しい何かを生み出すことができるのか。
ほんの一年弱の物語なのに、この世界は限りない広がりを見せる。広く深い世界が心の中にしみこんでくる。静かで激しいラスト。
投稿元:
レビューを見る
自分の限界につまずき、バッハだけが自分を癒してくれていたため、日本から逃れるように、壁崩壊前のDDR(東ドイツ)に留学していた主人公。
留学生や、現地の音と人と触れあうことにより、何かをつかむことになる。
国を分断されてしまい、かの地では監視され統制されている人々。彼らの活動に巻き込まれていくうちに、事件や裏の事情を知ることとなるのだけれど、いわゆる平和ボケで戦争のことを何も学んでいない私たちには、難しいな。
投稿元:
レビューを見る
圧倒的で才能に嫉妬して、人間は一枚岩ではなくて、
共産主義の正義だってあるのだし、そして人生の幸せは人によって異なる
音楽にとらわれた人たちは音楽によって一生翻弄されるのだ
一生引きずるのだきっと ニェットも李も
イェンツも
密告が意味を持っている国はいまでもあって、沈黙しているんだろうなあ
しかし音楽を持って感情を暴露させて、立ち上がり続けることは過去においてたくさんあって、これからもあるだろう
われわれはどうする?
投稿元:
レビューを見る
ソフトカバーなのにこの重さか...と、ずっと積ん読してたのにいざ読み始めたら最後まで手が止められませんでした。李の恋路を応援したかった...。
投稿元:
レビューを見る
相変わらず重厚でした。とはいえ読みやすいのでもっと読まれていい作家さんだと思うんですけどね…。
時代と音楽に翻弄されながらも戦い続ける若者たちの美しいこと。
振り回されるばかりのシュウですが、彼の目線で語られるからこそ感情移入がとってもスムーズですごく読みやすかったです。
音楽も歴史もそんなに詳しくない…って人でも読めますよこれ。現に私もそうでした。
途中かなりのめり込んで読んでしまった分、最後は呆気なく終わってしまったなーという気もしたのですが、彼らの音も時代もずっと続いていくと思えば、いい最後なのかもしれません。
うーん欲を言えばもっと読んでいたかった!
これまた文庫化される時には大改稿かなーと先のことを期待したくなります。
投稿元:
レビューを見る
知らない時代の、知らない場所の、考え方の基本が異なる人たちの物語を、説明文によらず、登場人物たちの行動で鮮やかに説明できるのは本当に魔法のようである。
イノセントじゃない聖女を書くのがうまいなぁ……と。
投稿元:
レビューを見る
20151212 音楽のためにドイツに留学した主人公。西と東との違いや日本とドイツの違いを戸惑いながらも乗り越えていく。クラシックもドイツの歴史も知らないけど楽しめる。
2015年の1番面白かった本。友達に薦めたい‼︎
投稿元:
レビューを見る
音楽を追求する求道的なところ,1989年というドイツにとっての劇的な年の証言,恋愛あり家族愛あり,ミステリーありの骨太な小説.本屋大賞に選ばれてほしい1冊です.
投稿元:
レビューを見る
平成元年にクラシックの都東ドイツに音楽留学したマヤマシュウジ.各国からの留学生の才能に敬服あるいは翻弄されながら学園生活を送る.しかしこの国では避けて通れない東西問題があり後半はスパイの話とかこの国の息苦しさが中心となり西から来た人間であるシュウジも否応なく巻き込まれる.ベルリンの壁が崩れるところで物語も終わる.なかなかの秀作.