紙の本
長さも面白さのうち
2023/01/28 11:52
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投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドナ・タートは約十年に一度しか作品を発表しない寡作で知られる作家である。それだけに準備万端用意周到な物語を紡ぐ。長さにおののくかもしれないが、その長さが快楽ともなる。
紙の本
大河小説?の幕開け
2016/08/03 12:50
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投稿者:igashy - この投稿者のレビュー一覧を見る
全4巻とのこと。1巻は導入部。今はアムステルダムにいるらしい主人公テオが母を失った事件、それからの周囲との関わりを描写しています。
スティーヴン・キング絶賛本「なのに」面白いです(笑)
紙の本
冗長か?
2023/02/05 08:55
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投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
翻訳はキビキビとした短いセンテンスの日本語でうまくまとめられていると思う。しかし、原文の大変に丁寧で細かい事物の描写や心象の描写が、実に時代がかっている。19世紀以前のいわゆる文豪の時代の作品であれば、このような冗長な描き方が普通であったのだろうが、21世紀に入ってかなり経つ現代において、このような表現をしている作家がいることに驚いた。
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全4巻で、2巻と3巻は2016年7月25日、4巻は8月29日発売予定。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207087/
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207094/
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207100/
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2014 年ピューリッツァー賞フィクション部門受賞作品。
全 4 巻もある大作の 1 巻を読んだだけでどうこう言うのはフェアじゃないと思うが、
冒頭の派手なストーリーラインとウェルティがテオに話したことはミステリーのようだが、
全体を通しての会話とか心象で丁寧に肉付けされたストーリーはタダモノではない作品を予感させる。物語を読むという楽しみを十分に味わえる。続きを読もう。
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洋書ずっと買って積んでたんだけどついに翻訳出て第一巻読んだら大変面白いです。二巻以降は洋書で!いけるかな。
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[気高く,つながれて]美術館における爆弾テロで母親を亡くした少年のテオは,事件の現場から一枚の絵をひっそりと持ち出してしまう。心の傷を抱えながら必死に毎日を生きる彼は,ある日,導かれるがごとく一件の骨董品屋に足を運ぶのであるが......。原文で約770頁にも及ぶ長編小説にして,全世界の書評家の絶賛が相次いだマスターピース。著者は,本作でピューリッツァー賞を獲得したドナ・タート。訳者は,同著者の『ひそやかな復讐』の翻訳も手がけた岡真知子。原題は,『The Goldfinch』。
ここまで長大かつ繊細な作品ともなれば,読む人それぞれが読後に異なる感想や印象を受けると思うのですが,私としては決して読んで損なしと胸を張ってオススメできる一冊。自分ではどうにもならない大きな運命にときに敗れながらも,それでもそこにとどまることしかできない人間の悲哀と儚さ,そして何より強さを痛感させられる物語でした。読み終えてしばらくしてから,登場人物たちが自分の中に根を張っているように感じられるこの感覚はいったい何なんだろう......。
〜「この話は,”神の摂理”というより”仮借なき皮肉”という考えに合うんじゃないか」「そうだな--けど,なぜそれに名前なんかつけるんだ?その二つは同じことじゃないのか?」〜
ただただ圧巻☆5つ
※本レビューは1〜4巻を通してのものです。
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魅力的な登場人物、先の読めない展開、そして優れたリーダビリティ。小説の王道ですね。
意外にも、怪しいボリス君が気に入ってしまった。
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*出版社様の太っ腹なご恵贈で全巻読みました。
全4巻に渡る長大な物語。
舞台はアムステルダム、ニューヨーク、ラスベガスにまたがる。
物語の主役は少年テオと、1枚の名画「ごしきひわ」(=ゴールドフィンチ)である。
冒頭はアムステルダム。若者テオはのっぴきならない状況の中、アムステルダムのホテルにいる。なぜこうなったのか。テオは回想し始める。
13歳のテオは、ニューヨークで、チャーミングな母と2人に住んでいた。ある日、2人は美術館の特別展に出かける。たまたま訪れたそこで、不運にも爆破テロに遭遇する。瀕死の見知らぬ老人から「ごしきひわ」を持ち出すように告げられたテオは、混乱の中、絵を外し、美術館から逃れ出る。
母はどうしたのか。持ち去ってしまった名画をどうしたらよいのか。
孤独な少年テオの遍歴はここから始まる。
「ごしきひわ」(1654年、33.5 cm × 22.8 cm、マウリッツハイス美術館蔵)とは、17世紀前半オランダの画家、カレル・ファブリティウスの作品である。ファブリティウスはレンブラントの弟子で、一説にはフェルメールの師であったともいわれる。残っている作品はさほど多くない。「ごしきひわ」が描かれたのと同じ1654年、デルフトで、都市の1/4を破壊する大規模な爆薬倉庫事故が起こった。巻き添えを食らい、ファブリティウスの作品の多くは失われ、画家自身も32歳の若さで命を落としたのだ。
画題である「ごしきひわ」はキリスト教にとっては「キリスト受難」に結びつけられる鳥である。受難の象徴とされるアザミの種子を好んで食べることに由来する。多くの聖母子像にも描かれている。
ファブリティウスの描いた「ごしきひわ」はおそらく愛玩用として飼われていたもので、脚にはチェーンが付いている。一説にはこの絵は、「だまし絵」として描かれていたともいい、壁に掛けた際に本物のように見せるためのものとも考えられている。
いずれにしろ、値が付かないほど非常に有名な絵である。
最初はほとぼりが冷めた頃そっと返せばよいと思っていたテオだが、事態は悪化していく。
母は爆破で亡くなり、子供であるテオは施設に入るか、不仲な祖父母の元に送られそうになる。絵をどうすればよいのか、それと同時に、自分自身がどうなるのか。
何とか友人の家に身を寄せるが、永遠にそこにいるわけにはいかない。
思春期の不安も相まって、寄る辺ない少年は苦悩する。
やがて、思いがけず現れた人物により、テオはニューヨークからラスベガスへと飛ぶことになる。そこで、破天荒な生涯の友に出会うことになる。
愛、友情、裏切り、流血、陰謀、詐欺、麻薬、絵画、文学、音楽。
物語が持つべきさまざまな要素がここにはある。
数多くの忘れがたいエピソードを散りばめながら、物語は大きく、終盤へと流れていく。
人生は残酷で無慈悲で、いずれにしろ破滅へと向かっていく。それでも私たちはそこから逃げ出すことなく、日々を紡いでいくのだ。街角でふとささやきかけられる、そんな出会いに支えられながら。
何ならそれを「奇跡」と呼んでもよい。
私たちが適確に言い表し��ないもの。目を凝らせば逃げ水のように消えてしまうもの。さりげない気配を残し、はにかみながら去って行ってしまうもの。
有限の中に潜む永遠。汚辱の中にきらめく真珠。
微かだけれどまぎれもなくそこにあるもの。
私たちは自分で人生を選び取っているようで、その実、「偶然」の積み重ねに動かされているに過ぎないのかもしれない。
長い長い物語である。陰鬱な胸を塞ぐ描写もある。主人公の選択にたびたびもどかしい思いもするだろう。
けれどもなお、物語の幕切れには、密やかに射しこむ光がある。
その謎めいた光の美しさはどこか、「ごしきひわ」という絵の魅力に似ている。
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好きな俳優さん関連の作品を履修中。
ゴールドフィンチは、映画化にアナイリン・バーナードくんが出るそうなので。
4巻通しで完結することを知らなくて、読み終えたときにテオの少年期だけで終わった。辛い…と思ってしまったけど、4巻通さないといけないことを知って安心。
母を亡くしたテオが置かれた状況は決して恵まれてはいないけど、関わる人々が一人一人個性的でこれからどう関係してくるのかなと楽しみ。忘れないうちに次々読んでいきたい。
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2014年度のピューリッツァー賞を受賞した傑作小説。ディケンズを読んでいるかのようにドラマティックかつスリリングなストーリーテリング。日本語版は全4冊という重厚長大な作品であるが、いざページを繰ればあっという間に読み終えてしまった、というのが実感。
物語はレンブラントの弟子であったカレル・ファブリティウスの傑作絵画「The Goldfinch(ごしきひわ)」から始まる。一匹の鳥が静かに佇む絵画を巡り、主人公の少年テオは母と共に訪れた美術館で爆発テロに遭遇し、命は助かるものの、最愛の母を亡くす。奇跡的に生還したテオは爆発によって息絶えようとしている謎の老人の指示に従って絵画を盗み出したところから、歯車は急速に回り出し・・・。
主人公であるテオの成長に従って、極めて魅力的な周辺人物が現れ、物語の舞台もニューヨーク、ラスベガス、アムステルダムと緊張感を増しながら様々に移り変わっていき、一時も読者を飽きさせない。作品のメッセージが何か、という形而上学的な問題はさておき、脳に直結するようなフィジカルなストーリーテリングの面白さが味わえる文学作品はそうそうない。
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映画を先に観て、小説を読み始めた。
先を知っているから余りのめり込まないかな
と思ったが、すっかりこの少年の行くさき
に想いを馳せる様に読んでしまった。
映画とは違う小説ならではの緻密差があり
これからの展開がどう小説には深く書かれて
いるのか楽しみだ。
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ピュリッツァー賞受賞作。父には捨てられ、特別な強い絆で結ばれていた母には死に別れた孤独な少年テオの成長物語、とまとめることもできなくはないしそういうお話でもあるのだけれど、それだけではとても収まらない大作。テオは意地の悪い友達のせいでやってもいない喫煙の罰で停学となり、母とともに学校に呼び出される。そこへ向かう途中立ち寄ったメトロポリタン美術館で爆破事件に遭遇、一時的に母と離れ老人と一緒に居た美しい少女に気をとられていたテオ、意識が戻ると少女は見当たらず瀕死の老人に指輪を託され、ひとつの絵画(タイトルにもテーマにもなっているオランダの画家カレル・ファブリティウスによる「ごしきひわ」)を持ち出すように言われてその言葉に従ってしまい意図せず窃盗犯になってしまう。なんとか自宅に戻るが母は爆発で死亡しており、祖父母は彼を引き取りたがらず、学友アンディ(裕福だけれどいじめられっこ)のバーバー家に一時的に身を寄せることに。老人から渡された指輪を持って謎めいた遺言を思い出し訪ねた骨董店で人生の師であり親友であり父親代わりとなる家具職人のホービーに出会い、美術館の少女ピッパとも再会し、心安らぐ時間を持てるようになったテオ(この辺りが読んでいて一番心地よかった部分)、ホービーのもとに通いながらバーバー家にもなじんだ頃に突然父親が愛人を伴ってテオを引き取りに現れ、テオはラスベガスへ。そこで父は酷い男で母親とは死別しているという似た境遇の少年ボリスと出会い、親友を得て悲しみはやや癒されたものの飲酒とドラッグにはまってしまう。ボリスはめちゃくちゃながらもなんとも魅力的な人物。ギャンブルで作った借金で首が回らなくなりテオの信託財産を巻き上げることにも失敗し自暴自棄になった父親と離れ、ニューヨークに戻ったテオは、再びホービーの元へ。ここで時間が飛ぶと、テオは成人してホービーのパートナーとして骨董店を切り盛りしている。表面上は仕事を持ったきちんとした青年のように見えるテオだが、ルシアス・リーヴという謎の人物の出現により、子供の頃から抱えている問題はまるで解決していないことが明かされ、時間が経過しているだけ問題はこじれて複雑になっており、到底解決できそうもなく読んでいてしんどかった。そもそもの冒頭ではテオはアムステルダムに居て、新聞で名前は出ていないが自分のことが殺人事件として載っている、という書き出しから始まっていてずっとここに繋がる物語を子供時代に遡って読んできているので底辺には不安がずっとつきまとい、袋小路に迷い込んだような気持ちで読み進むのですが、4冊目に入るとこれまで丁寧に緻密な作業で綴られてきたあれこれの細かいことを回収する集大成パートに入り、しんどいこともつらい内容もあるものの、回収っぷりが見事で、爽快感さえありました。意外な展開にやや茫然としたまま最後まで読み終えてから、映画関連のサイトや出版社のサイトやその他の解説や感想を読んでから、もう一度最後の集大成の部分をゆっくり時間をかけて再読し、堪能しました。つらい内容が多いのですぐに全体を読み直す気持ちにはなりませんが、いつかまた通しで読みなおしたい気持ちになり���した。人は「こうありたい。こうなりたい」と願うことは出来るけれど、願うことしかできないのでした。