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一周回って三部作を繰り返し読みたくなる
2017/03/30 00:11
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投稿者:読後感想55555 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アンシラリー(属躰)・シリーズの完結編となる本作では、主人公の過去が少なからず明かされた。作中たびたび自らの「命」を賭してまで大切なモノを守ろうとする主人公の姿に心揺さぶられた。長い年月を経て人格が分裂してしまった皇帝のクローン達。皇帝の一部人格との対峙。その皇帝をも上回る攻撃性を持った異星種族の存在。艦船やステーションを司るAIと、そこに住む人たち…。これらの要素が絶妙に絡まってエピローグに流れ込んでいく。私は残ページが少なくなるのを惜しみながらも、読み進めるのが止められなかった。日本語訳も素晴らしい!読み終わると、また「叛逆航路」の1ページ目を開いてしまいました。
紙の本
SFにはやはり壮麗なビジュアルがほしい。
2016/12/05 20:37
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投稿者:わびすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
野心的なアイデアや丁寧で、かつ語りすぎを抑えた展開など、なかなか良いものを読んだという気はするのだが、あとがきにあるように、スペースオペラを期待した人間には少々物足りない感じ。話を一星系に限定しても構わないが、ラドチの有力者たちの豪奢な様子や、艦艇の勇猛な外観などの描写は欲しいところ。野阿梓と近親性を感じるが、そこが大きな違いだし、それこそがSFの醍醐味だと思う。
紙の本
星群艦隊
2016/12/01 21:46
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投稿者:yasu - この投稿者のレビュー一覧を見る
叛逆航路、亡霊星域の続編。属体・ブレクが艦長として、アソエク星系で守ろうと奮闘する。新たにプレスジャーの通訳士、属体、船が登場し、アナーンダが登場。ステーションや船のAIと協力し、人類を守る。誰が正義かわからない。
紙の本
やっと終わった
2016/11/18 06:33
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投稿者:yukiちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
難解な、そして長い物語がやっと終わった。
ジェンダーを感じる「彼女」という言葉に、この人は男?女?艦船?ステーション?と頭を悩ませ続けたが、なんとなく爽やかな読後感が残った。
これからアソエクの世界はどうなるんだろう。艦隊は増えるのだろうか?まさか、彷徨ったりはしないよな?
様々な「???」を残してこの物語は終わる。
SF読みのための、本当の「ハードな」物語である。間違っても、初心者は手を出してはいけない。
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宙の世界。人格のあるAI、AIのふりをする人。論理的な思考と会話の振りをしてもヒトはヒト。仲間と思えるなら信頼できる気がする。AIでも、モチロン。
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三部作の完結編。期待していたような結末ではないけれど、世界観のスケールの大きさを感じさせる結末でもある。
読み込めば、まだまだ面白そう。反逆航路からもう一度読み直そう。
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アメリカの作家アン・レッキー、2014年発表の小説。宇宙が舞台のSF3部作の3作目、完結編です。前2作に劣らず素晴らしい作品。完璧です。
多くの星々を従えるラドチ帝国での物語り。三千年に渡って多数のクローンとして存在していながらなおかつ一個の人格であった皇帝、その皇帝によって破壊された戦艦のAIの一断片が人間の姿をとっているのが主人公です。
皇帝のクローンたちが分裂、内戦に陥ったラドチで、一方の側の皇帝から艦隊司令官に任命され辺境の星系の守護任務に就いた主人公のブレク、本作では敵方の皇帝の艦隊と対峙することになります。しかし本心はどちらの皇帝にもつくつもりのないブレク、様々な政治的駆け引きを駆使して星系の人々を護ろうと苦闘します。
派手な艦隊戦やアクションシーンなどは全くない、ほとんどが心理的あるいは政治的な会話や内省的な思索でつづられる物語りなのですが、これが実に面白い。
おまけでついている短編小説も見事です。
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3部作完結?ハッキリとした終わりではない終わり方。1巻目を読んでいたときには、よく分からない思考を持った不思議な人々だったけれど、段々と人間らしくなったのか、こちらが読みとれるようになったのか。
次回作を楽しみにしよう。
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三部作の最終巻。完結編。社会学的なことに興味がありジェンダー関係について考える上で、面白い体験が出来る。そのせいで最初はひどく読みにくい。が、人間それにも慣れてくるから不思議。それならそうという景色を生きることが出来る。この時、特定のあるべき姿から逆算した皮肉めいた設定としていないところにこの作品の素晴らしさと力がある。今とは違う別の景色を体験する。順応する、という不思議な経験をすることになる。これもたしかにSFしてるんだけどこの別の景色を生きてみることは様々な差異を考える上でとても有意義な経験だと思う。話としても面白いしオススメ。
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人間と化したAIなのだから、他の艦船と同化して艦隊戦をやるとか、皇帝のリンクを妨害してただの人にするとか、そんなストーリーを期待してた。
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三部作完結編。派手な戦闘はないが、心理的な描写で、どきどきしながら読み進められる。一度読み始めると、心を掴んで離さない。
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AIがどのように考え、感じ取っているかの描写が繊細。派手なアクションは無かったものの、徐々に解き明かされる世界観が綿密に構築されていて楽しかったです。最後の短編も、なるほどねぇ〜。
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3部作なのは事前に知っていた(オビにも書いてある)ので、拡げた大風呂敷をどう回収するのかに興味があった。
結果としては、回収しない(;皇帝の争いにオチは付けない)という終わり方になっていた。
同様の世界観で新作が出ているのを知っているし3部作も後ろに行くほど面白くなっていったのだが、
それでも1巻がひどい出来だったという印象が強い(単独で買っていたらその後を買わないぐらい)ので、次回作を買うかは微妙なところ。
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叛逆航路」シリーズ完結編。
前作で明らかになった巨大な陰謀。それは最強国家プレスジャーとの間で結ばれた停戦合意が破棄されるほど危険な行為だった。
プレスジャーはとても強い。ということをなんとなく匂わせてくるが、どれくらい強いのか、どんな宇宙人なのか、は実はよくわからない。無敵の皇帝アマーンダを倒せる唯一の武器を造れるほどの科学力なので、皇帝もプレスジャーのことを最も恐れている。まともに戦えば100%負けるいうことは過去の戦いから明らかだったから、停戦条約を結んだのだけれど、プレスジャーがなんでその申し出に乗っかったのかは実はわからない。価値判断の基準がそもそも違うようだ。まあ宇宙人だから、地球人の読者には想像もできない理由なのだろう。
そのよくわからないプレスジャーから派遣された通訳が、これまた奇妙な人(借り物の体なのでプレスジャーの姿ではない)で、話が通じてるんだかないんだか、わからなくて面白い。一貫してシリアスな物語の中で、この通訳だけ異質でトリックスター的な活躍をする。筒井康隆の短編でもこんな感じの異星人同士で言語での意思の疎通が難しい、みたいな話があったな、と思い出した。この通訳を主人公にしてスピンオフ書いて欲しいってくらい面白い。
ラストは華々しくラドチ(皇帝アマーンダが支配する星間国家)とプレスジャーの宇宙全面戦争か!?と期待したが、そうはならず。
まあ、この結末もありだけど。プレスジャーのことが気になってしょうがない。
このシリーズとは別の作品も刊行が始まっているようだけど、同じ世界観なのかな?
また読んでみよう。
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あなたが、まだ前の2作を読んでいないのなら、そこから始めることをお勧めします。
きっと<叛逆航路>シリーズは、三部作というより超長編SF小説なのでしょう。
「素晴らしい想像力をお持ちの方」以外は、ぜひ順番に読んで。
さて、三部作最終話『星群艦隊』。
派手目なアクションシーンも加わり、ラドチ皇帝アナーンダとの対決はいよいよクライマックスの盛り上がりをみせる。
さらに前作で謎だったゲートの向こうに潜む影が、徐々に明らかに……。
特にこの編で、人の話の中だけではなく「通訳士」という実態で登場する「蛮族(エイリアン)プレスジャー」の存在が、ものすごく重要になる。
プレスジャーとの条約は「人類は意義ある非人類を殺さない⇔プレスジャーは人類を殺さない」というもの。
「通訳士」は、常に人類の文化や文明などを観察し、条約履行状況を報告しているようだ。
終盤で皇帝が通訳士に「AIや属躰は私(人類)が作った所有物であって、非人類ではない」と主張すると「すべての人類は人類自身から作られているのに、どう違うのか?」と反論される(この時代、人の誕生はすべて人工授精で皇帝自身はすべてクローン、でも哲学的には自然出産も含めてもいいかも)。そのとき、絶対であったはずの皇帝がプレスジャーを前にひれ伏すのか……。
異なる者の存在に対する「畏怖」と「嫌悪」から「排除しようとする感情」、これらを乗り越えないと<共存する社会>は生まれ得ない。
「書きたい事がなければ物書きではない、面白くなければ小説家ではない(と誰かが言っていた?)」……面白かった。