紙の本
最高の任務
2022/06/17 14:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「生き方の問題」「最高の任務」の二編が収録されている。
「生き方の問題」は主人公と、ジュニアアイドルとして活動、結婚離婚を経て親戚から排斥されている従姉の物語。微妙な性愛が描かれていて、面白かった。
「最高の任務」は「阿佐美サーガ」の一つ。小さい頃から身近にあったものが、亡くなった叔母によってかけがえの無いものへと変わっていく。
紙の本
やさしい純文学
2020/04/22 14:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作と「生き方の問題」を併録した中篇。「生き方の問題」は手紙を、「最高の任務」は日記を通して、人→人への思いの伝え方を描いた作品だったんだけど、前者の主人公がなかなかのヤバい奴だったから、そういう作家さんかと思いきや、後者は普通に温かみのある良い作品だった。
「最高の任務」では亡くなった叔母から貰った日記帳を読み返すことで昔を回想する「私」が、大学卒業を機に家族に連れられて、ある「任務」を果たす。途中挟み込まれる家族の何気ないやりとりも面白いし、ストーリーも蛇行しながら叔母の仕掛けに辿り着いてすとんと腑に落ちる読後感。やさしい純文学。
紙の本
よい任務です
2020/02/07 11:52
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作は、ミステリー小説のように、どこへ話を持っていくかわからないことが、読むものを妙にひきつけ、結末で、驚くことになる。主人公に向かう家族の視線は、温かいことに気づかされる。よい物語でした。
投稿元:
レビューを見る
群像12月号なので「生き方の問題」は未読。
大好き。
読み終わって、最初に戻ってまた読み始める。
何もかも知った上で読むのがこれまた良くて。
個人的に良く知った土地が出てきたり、
日記などを書くという行為も身近に感じでいるので更に好意的に読んだのだろう。
あたしの中のはっきりと言葉にできない小さな小さな美しく生きたいみたいな気持ちが表れていて脳が痺れた。
作者さんの意図じゃなくても勘違いでも嬉しいからいいの。
投稿元:
レビューを見る
それぞれ手紙と日記の形をとった、「書くこと」を見つめる2作品。どうも馴染めず、読むのに苦労してしまった。たぶん自分の興味のありどころの問題なのだと思う。物語、というよりは、思考を読んでいる感じだった。
投稿元:
レビューを見る
やたら描写が長くわりと飛ばし読みした、あまり好きじゃない文章だったけど、最高の任務は叔母の愛がよかったな。
投稿元:
レビューを見る
芥川賞候補作となった表題作と「生き方の問題」の二篇が収録されている。2つとも既存の小説の構造から抜け出そうとしているように思えた。
「生き方の問題」
手紙形式の二人称で新鮮な読書体験だった。官能小説の様相を呈しつつも時折挟まれるメタ展開がオモシロかった。途中でやっぱり書くのやめたとか、推敲にどれだけ時間かかったとか。とにかく文章に粘り気がありナルシズムがたくさん詰まっている。菊地成孔の粋な夜電波の小芝居が好きだった身としては、そのあたりもレミニスした。
「最高の任務」
日記を軸に生者と死者をつながる小説でめっちゃ好きだった。前半の日記の何気ない描写から後半にかけての伏線回収が見事でお話としてオモシロいしショッキングな場面もあったりでグイグイ読んだ(痴漢の撃退法のセンセーショナルさよ…)話の展開の凄さもさることながら、逆に物語内で「お話ばか」と呼び、相対化しつつ風景の機微を延々と書いているのが痛快だった。ミクロな世界が実は豊かなのだと。
家族の物語でもあるのだけれど肉親との距離感が近すぎないところが好きだった。その代わりに独身の叔母がメンターとして機能している。叔母が本好きで彼女から色んな本を教えてもらう、その関係が羨ましい。特にフレッシュだなと思ったのは本棚に関する考え方。彼女の本棚の写真を撮りつつ敢えて汚いままし叔母の生きた証とする。本棚に並ぶ本の種類だけではなく並べ方こそが彼女の思考を表しているという主張は興味深かった。(ジェントリフィケーションへの反抗でもあるのかな)家族と叔母の描写は家族団欒と孤独の対比としても読める。団欒の方がいいよねという安易な結論に流れない、「け」の人間を救う物語だった。
投稿元:
レビューを見る
「生き方の問題」と「最高の任務」の2つの中編が収録されています。いずれも、血縁関係が大きな影響を与えているように感じました。血のつながり故に、一方は、がんじがらめにされているようで、もう一方は、見えないけど温かくつながっているような。
同じテーマで、こうも変わるかと思ってしまった、不思議な小説でした。
投稿元:
レビューを見る
『生き方の問題』
注目すべきは視点、時制、メタ要素。
過去の出来事が手紙形式で書かれている。主観とはまた違う視点から見ているように書かれている。
過去の自分、手紙を書いている自分、それを読んでいる貴方と、人物の配置というか状況を複雑にしていて、それが記憶とか空間とか感情の複雑性を演出するような効果を生んでいるのでは。
また性的な描写が新鮮に感じた。やはりこのような形で女性が登場する作品には性的な描写の必然性があるような気がした。それを経由することでより物語に没入できるような感覚があるからだ。
『最高の任務』
同著者の『一七八より』の続編的な物語。
やはり叔母さんのキャラクターが魅力的。叔母さんと主人公である阿佐美景子の関係性が面白い。
引用が多くてしっかりと世界観が組み上げられいく。それぞれの場所、物、記憶に叔母さんとの思い出が生き続けている。
投稿元:
レビューを見る
群像12月号で『最高の任務』のみ読んだ。風景描写にかなり行数を割いているんだけど、テンポ感が絶妙で引っかからずに読み進められた。文体だけをとってもかなり好きな小説だった。女性独白体には好きなものが多いように感じる。
子供が成人しても仲の良い阿佐美家の家族像に羨望のようなものを感じながら読んでいたところで相沢忠洋が登場してちょっと考え込んでしまった。孤独の中に生きながらも、「それだけで生きていけるような希望」を見つけた相沢の生き方、共感はできなかったけどこういうことも有るのかと妙に納得してしまった。
投稿元:
レビューを見る
芥川賞の候補作品になったということで、手に取った。
タイトルは仰々しいけど、タイトルよりもっと優しい話だけど、私は結構好きです。
「生き方の問題」「最高の任務」の二つの作品からなる。
内容は全く異なるけど、それぞれに、少しひねた若者の考え方と、優しさ。周りを取り巻く人の優しさが感じられて、読んで爽やか? うーんなんか良いなと思えた。
投稿元:
レビューを見る
第162回芥川賞候補作の表題作と、中篇「生き方の問題」を収録。「手紙」と「日記」を通して「書く」という行為の意味を問題定義したのかな。過去を客観的に俯瞰してとらえるということなのかな。候補作の方は、日記で、それは叔母との記憶に関するものだった。日記を書くという習慣には、自分とは誰を追求する作業にも似たものがあるのかな。「生き方の問題」の方がおもしろく、少しエロくて変態的な「手紙」。これはラブレターだ。過去の記憶を「手紙」にすることで、自分の本当の意思と向き合うという秀作だった。すごく斬新でいい。
投稿元:
レビューを見る
芥川賞候補作。受賞作すら必読ではないな、と思う今日この頃、敢えて本作を手に取ったのは、本の雑誌とか日経書評とか、色んなところで立て続けに勧められているのを目にしたから。表題作と他一編、中編2作から成る。表題作は叔母で、他方は従姉。微妙な距離感だけど、本書では父母兄弟以上に親しい間柄として描かれる。その絶妙な関係性を、冴え渡る筆致で表現されるから、当然のごとく、読み心地は抜群。本作が受賞で良かったのでは、と思ってしまいました。
投稿元:
レビューを見る
「生き方の問題」と表題作「最高の任務」を収めた本。
「生き方の問題」は、従姉の貴子に送った手紙の体裁で話が進む。長い長い手紙である。貴子と再開してから一年後に書かれた手紙のようだ。貴子との官能的な触れ合いが、なぜそのようなことになったのか、坦々と赤裸々に語られる。男なら、主人公に没入できるかもしれない。でも、何か不思議な話だ。
「最高の任務」は家族を巻き込んだ、姉に内緒の任務が果たされる。叔母の死との関係性に疑問を持ちながらも、小学五年生以来の任務を遂行する。姉は何のことやら分からないのだが、最後に明かされる。こちらはラストの姉の情動を読み解けなくて、自分的には消化不良。
投稿元:
レビューを見る
第162回芥川賞候補作である「最高の任務」と中篇「生き方の問題」を収録した乗代雄介さんによる一冊。両作品とも「書くこと」の意味を問う作品で、「最高の任務」は手紙を通して年上の従妹に対して、「生き方の問題」は日記を通し大好きな祖母へ対しての回想が語られる。ふと日常で見逃してしまいそうなことが実は意味があり今に繋がってる。手紙・日記の文体なので読み辛いかなと思ったが、思いのほかスラスラ一気読み出来た。