紙の本
「10年」の使い方が面白い
2016/09/03 12:01
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
「10年」をテーマにした5人の作家さんによるアンソロジーです。新潮文庫発のアンソロジーは2冊目。カバーデザイン・挿画担当の方々は1冊目の「この部屋で君と」と同じです。
作家さんごとに「10年」の使い方が違う点が本作のポイントでしょうか。王道のタイムスリップ物語もあれば、複雑な思いを抱えて10年を生きてきた女性の恋愛物語もあります。物語の雰囲気が作家さんごとに全然違うので、お気に入りの作品がきっと見つかると思います。私は「地球に磔にされた男」が好きでした。
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
若い頃の十年と、年を取ってからの十年って、全然違うものだからなあ。
そもそも年寄は10年後に生きてるかどうかわからないしね。
子供に、10年後の自分へ作文を書きましょうなんて、やってるのかな?
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「10年」がテーマの豪華なアンソロジー♪
・中田永一「地球に磔にされた男」★★★★
時間を跳び超え、あらゆるパラレルワールドを行き来する・・・ラストは中田永一っぽいかもw
・白河三兎「白紙」★★★★
生徒のために、よかれと思って、背中を押した・・・言葉は、彼女に、勇気を与え・・・
またもや奈落の底に真っ逆さまに突き落とされたし。
・岡崎琢磨「ひとつ、ふたつ」★★★★
ターナー症候群の女性の、心の奥底の孤独と希望への一歩。
・原田ひ香「君が忘れたとしても」★★★★
姉が亡くなっても、その子供を義兄を助けながら、すっと面倒みたりはしないよなぁ・・・と思いつつ読む。
20歳になった甥っ子との再会のシーンはよかったけどw
・畠中恵「一つ足りない」★★★
中国の河童たちが海を渡って九州、そして関東へw
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中田永一さん目当てで手に取ったんですが、ちょっと期待はずれかも、、話があまり入ってこなかった。響かず残念。
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十というキーワードだけで
作家たちがそれぞれに紡ぎ出す物語。
珠玉揃いのオムニバス。
主人公に同期してしまい
本気で胸を締め付けられるものも
歯がゆさと悔しさで
身悶えしてしまうものも
心にほんのりと灯りがともるものも。
このキーワードから こんなにも
たくさんの物語が生まれるのか。
作家ってやっぱりすごい。
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十年をテーマとした気になる作家さん達がそろったアンソロジー。どの作品もよかったし、他の作品も読んでみたくなる。
中田永一『地球に磔にされた男』十年前を起点にずれる無数の並行世界を旅する男。現在にしか行けないタイムマシンの理屈づけが面白いです。ちょっと変わった自分探しの旅でしたね。
白河三兎『白紙』生徒のために行動した先生。先生のおかげで勇気を出せた生徒。なのにどうして。ショックが大きい。先生は少し独善的にも感じたけど、普通はこんなものかもしれない。
岡崎琢磨『ひとつ、ふたつ』病気で子供を授かれない女性が恋人に突然プロポーズされ戸惑う。「ちょうどいい」という何気ない一言の重みが刺さる。主人公の微妙な心の揺れの描写がすごくよかった。
原田ひ香『君が忘れたとしても』姉が亡くなり義兄と小さな甥のために尽くしてきた結実子だが、義兄が再婚することになり甥に会えなくなることに。再婚相手の主張もわかり難しい。十年越しの感動もあるけれど、人生について考えさせられてしまうもやもやとした辛さがある。
畠中恵『一つ足りない』河童の時代ファンタジー。このアンソロジーの中では雰囲気が最も異なる作品。単純に楽しい読書ができた。
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どなたの作品も、文章がこなれていて読み易く、ぐいぐい読んでしまう。国産の小説って読み易いなあ。こなれてるなあ。読むのが楽しかった。
原田ひ香がハートウォーミング。
それにしても、新潮文庫nexは初めてで、古いニンゲンである私は、新潮文庫なのにスピンがない?!と何度も体裁を見てしまったことよ。
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10年先を渡り歩き、10年先に立って今を見つめ、10年間を大事にし、10年経った今の幸せ、そして10年を待てない楽しみ。
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10年間あるいは10年後をテーマにした短編アンソロジー。
中田永一の名前に惹かれ買ってみたのだけど、それも含めて今ひとつピンとくる話がなかったわ。
地球に磔にされた男…何だかうまく嵌り過ぎ?
白紙…今の先生って、きっとこんな感じなんだろうな
ひとつ、ふたつ…重たいテーマですけどね
君が忘れたとしても…切ない話ですけどね
一つ足りない…九州に九千部山ってあるけれど関係ないよね
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○パッと見パッとしないかもしれないが、中身の濃い一読の価値ある短編集
「10年」がテーマの5つのアンソロジー。
10年は、長いのだけど、その期間には多くの物語が作られるのだ。
一部のみ紹介。
・白河三兎「白紙」
教師・大塚のクラスの小登乃は、「十年後の自分」という作文を全く書いてこなかった。何か理由があるのではと気づいた大塚は、最近分かれた彼氏と話したり家庭訪問で弟と会うなどして、引越し(夜逃げ)することを知る。
弟の晋次郎の担任・小柳とも話し、勇気づけることに決めたのだったが・・・
衝撃のラスト。
・原田ひ香「君が忘れたとしても」
整骨院で働く結実子は、ある日残業せず帰社することに。
10年前に頻繁に世話していた、義兄・壮亮の息子壮真に会うためだった。
新しい彼女ができたときに離れざるを得なかったのだが、その後会うことができず音沙汰もなく、空虚になっていた結実子。ある日一通の手紙が来て・・・
展開は読めるものの盛り上げ方がうまくて、感動。
他に、中田永一「地球に磔にされた男」、岡崎琢磨「ひとつ、ふたつ」、畠中恵「一つ足りない」など、豪華執筆陣。
著者陣も表紙も、パッと見パッとしない(失礼)のだけど、話のクオリティは高い。
一読の価値あり!
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5人の作家によるアンソロジー。どの作家も読んだことがないし畠中恵以外は初耳だったので、読書の幅を広げる意味と、「その一瞬の選択が、あなたの10年後を変える」というキャッチコピーに興味を惹かれ買ってみた。実際に読んでみると、そうしたメッセージ性があるか否かは各短篇により大きく異なるので、あまりバイアスをかけて読むと当てが外れるかもしれない。
10年という月日は、別段重みを持っていないように感じる。18の頃、10年というのは途方もないくらい長い時間に思えたが、今になって振り返ってみれば短い一生のなかの更に短い一部分、に過ぎないように感じる。もちろん、濃密な10年を過ごした人にとっては10年対し思うことは多いのだろうし、それが良いことでもあるのだろう。
翻って未来に目を向けたときに、10年という年月をどう捉えるか。そう自分に問いかけた際に、前半3つの短篇(「地球に磔にされた男」「白紙」「ひとつ、ふたつ」)は示唆的といえるだろう。
味が濃く、ちょっとくどすぎるように感じる短篇もちらほらあるが、安心して読める一冊。
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『地球に~』の主人公がろくでなしなので、乙一寄りかな?と恐々読んでいたら、やはり中田永一テイストのラストで安心。世の中こういう事件はあるとはいえ『白紙』のオチは好きじゃない。担任の単純な想像力にもイライラ。『ひとつ、ふたつ』『君が忘れたとしても』は心に沁みてきた。
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10年をテーマにした5人の作家による短編集。正直、畠中恵のしゃばけシリーズの番外編があるので、手に取ったのだけど、印象に残ったのは「白紙」と「君が忘れたとしても」だった。10年が上手く噛み合って使われていた。
「白紙」はものすごくリアルで、この先生はともかく、現況の日本では起こり得る出来事。親のエゴでもあるけど、生きてナンボだけど子供を残しても地獄…うーん。彼女の行動はちょっと?先生や彼氏にここまで伝えるかとか。先生の思考はちょっとうるさいけど、こんなものなのかな〜。
「君が…」は出だしがいい、はい?何ですか?コレ?みたいなところから始まるところが。これは幸せだな。
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子どもの頃、十年後の世界というのは
輝かしい未来で、想像すらできないくらい遠い遠い世界だった。
それが今では、ついこの間・・・と思っていたことが
十年近く前のことだったりして呆然とすることもしばしば。
同じ十年でも、永遠だったり一瞬だったりするのが時の流れなのだろう。
この短編集に出て来る十年も、辛かったり切なかったり
一瞬だったり、やっと過ぎて行った十年だったり。。。
それぞれ骨太で愛おしい時間の流れがそこにあります。
主人公たちと過ごす色々な十年を是非経験してみて下さい。
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“十年”をテーマにしたアンソロジー。新潮社yomyomに入った短編を5つ集めている。
アンソロジーの魅力といえるか、キーワードは統一されていてもテイストがバラエティに富んでいてよい。特に、読後感というか後味がそれぞれで全く違ったのがよかった。作家もよいが、編者がよいと思う。
また、無難でいい話を集めがちなアンソロジーにしてはエッジの効いた結末もあり、当初の期待をいい方に裏切ってくれた。
気に入ったのは原田ひ香。多少インパクトに欠けるものの、上手くまとまっている。はじめて読んだが、他の作品にも手を出そうと思う。
4-