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- カテゴリ:一般
- 発売日:2021/06/01
- 出版社: 草思社
- サイズ:19cm/330p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-7942-2517-7
読割 50
紙の本
帰還兵の戦争が終わるとき 歩き続けたアメリカ大陸2700マイル
著者 トム・ヴォス (著),レベッカ・アン・グエン (著),木村 千里 (訳)
イラク戦争で経験した上官の死により、退役後も精神を苛まれるトム。アメリカ大陸を自らの脚で横断し、自分と向き合うことを決断する。戦争のトラウマから立ち直り、心の平穏を取り戻...
帰還兵の戦争が終わるとき 歩き続けたアメリカ大陸2700マイル
帰還兵の戦争が終わるとき: 歩き続けたアメリカ大陸2700マイル
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商品説明
イラク戦争で経験した上官の死により、退役後も精神を苛まれるトム。アメリカ大陸を自らの脚で横断し、自分と向き合うことを決断する。戦争のトラウマから立ち直り、心の平穏を取り戻すまでの「精神の旅」の記録。【「TRC MARC」の商品解説】
戦場から戻った人間が“本当の意味で”戦争を終わらせるまでを
克明にとらえ描いた「心の旅」の記録。
イラク戦争時に狙撃小隊の偵察部として配属されたトムは、
部隊の瞬間的な判断ミスで上官2名を失う。
退役後も自責の念に苛まれ、精神的に追い込まれた彼はある日、
この状況を打破するために、アメリカを“徒歩で”横断することを思い立ち、
なんとかこの傷を癒そうと画策するが…
戦争というこの世の地獄を見た人間が日常を取り戻すまでの、驚愕の実話。
<目次より>
第一部 滞
1 出かける時間
2 起きたこと
3 頭を垂れて、ズボンを上げて
4 愛を交わさず、戦を交わす
5 交戦規定
6 幸せの場所
7 家族の時間
8 煙草
9 急降下
10 私はそこにいなかった
11 生命線
12 独り言
13 それで十分
第二部 動
14 リュックサック
15 遭遇
16 訓練日
17 「英雄」の送別
18 快適さ
19 荷卸し
20 臨戦態勢
21 チーズ・カントリー
22 不屈の心
23 狼と歩く
24 親愛なるケンへ
25 車を使う
26 希望
27 すべては蜃気楼
28 揺れる町(ロサンゼルス)
29 再会
30 波
第三部 静
31 名前の付けられなかったもの
32 閃光
33 告白
34 許し
35 傷を越えて
36 白い服の男
37 ナッツ投げ
38 恍惚
39 昼休み【商品解説】
目次
- 第一部 滞
- 1 出かける時間
- 2 起きたこと
- 3 頭を垂れて、ズボンを上げて
- 4 愛を交わさず、戦を交わす
- 5 交戦規定
- 6 幸せの場所
- 7 家族の時間
- 8 煙草
- 9 急降下
著者紹介
トム・ヴォス
- 略歴
- 〈トム・ヴォス〉2003〜06年、アメリカ陸軍に勤務。第21歩兵連隊第3大隊に所属。前哨狙撃兵小隊の偵察歩兵を務めた。
〈レベッカ・アン・グエン〉トム・ヴォスの姉。作家。
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紙の本
モラルインジャリー
2021/09/20 08:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
魂に刻まれた傷をモラルインジャリー(道徳的負傷)というそうだ。
戦地に赴いた兵士は、肉体的にだけでなく精神的に大きな傷を負うことは知られている。アフガンやイラクに派遣された米兵のトラウマやPTSDは、映画などでも取り上げられるテーマだ。
しかし、モラルインジャリーとは…。
暴力への加担と目撃に加え、帰還した兵士が市民生活に戻ろうとしたときに襲われる困惑や無力感、背徳感が、その原因であると、本書は述べている。
そしてそれは、時間が解決するものではないらしい。記憶が強化されて、むしろ傷痕が治りにくくなることもあるんだとか。
本書はイラクからの帰還兵のトムと、姉で作家のレベッカの共著。
退役後も忘れられない、戦地での過酷な体験。
仲間や現地の市民の無数の死など戦場での記憶を前に、帰国しても居場所が感じられない孤独がひたすらつづられている。
そんなトムは、アメリカを歩いて横断する旅に出る。自らの体験を周囲に話しながら、自分で自分の行動や考えを言語化していく。モラルインジャリーに気付き、認識し、それがほんの少し、彼の痛みを和らげることになったのだろう。
しかし終盤、旅を終えたトムはややスピリチュアルな世界へ入っていく。
本人は旅を終え、こうして本も著して、幾分か救われているのだろうが、傷は本当に癒えているのだろうか…とやや心配になった。帰還兵の戦争は、もしかして、彼らの魂の中で(本人が認めないにせよ)生涯終わることはないのではないかと。
印象的だったのは、本書のこんな言葉。
モラルインジャリーを認め受け入れ、癒やす責任を負っているには、モラルインジャリーに苦しむ本人だけではない。国民の代表として若者を戦地に送ったならば、私たちは彼らの行為の共犯者だ。共犯によって生じた苦痛は、私たちにも負担する責任がある。
復員軍人が英雄視されがちなのを知っていますか?実際に英雄だといわれることがあります(略)でもその実態は知られていません。
反戦平和を求める余り、戦争や軍隊そのものを直視することを避けてしまいがちだが、「反戦平和」を単なるお題目にしないためにも、もっと戦争や兵士の実態を知る必要があるのではないか、そう思わせる一冊である。