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貧乏物語
第一次世界大戦下の日本で,社会問題化しはじめた.「貧乏」の問題を直視した河上肇(一八七九―一九四六)は,なぜ多数の人が貧乏しているのか,そしていかにして貧乏を根治しうるか...
貧乏物語
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貧乏物語 改版 (岩波文庫)
商品説明
第一次世界大戦下の日本で,社会問題化しはじめた.「貧乏」の問題を直視した河上肇(一八七九―一九四六)は,なぜ多数の人が貧乏しているのか,そしていかにして貧乏を根治しうるかを古今東西の典籍を駆使しながら説き明かす,富者の奢侈廃止こそ貧乏退治の第一策であると.大正五年『大阪朝日新聞』に連載,大きな衝撃を与えた書.
目次
- 目 次
- いかに多数の人が貧乏しているか(上編)
- 何ゆえに多数の人が貧乏しているか(中編)
- いかにして貧乏を根治しうべきか(下編)
- 付録(ロイド・ジョージ)
- 解 題……………大内兵衛
- 追 記……………大内兵衛
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紙の本
ピケティの「21世紀の資本」に先立つこと百年前の書
2016/05/28 01:00
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:親譲りの無鉄砲 - この投稿者のレビュー一覧を見る
河上肇は、所得・資産格差の問題に真面目に取り組んだ我が国の大先達経済学者ですが、なかなか楽しめました。名著です。今話題のピケティの視点が決して目新しいものでないことがわかります。ピケティの場合は、近年、大量の各種統計や各国国税等のデータにアクセスできるようになり、かのアプローチが可能になったわけで、時の利を得ているわけです。それにしても、当時の社会構造からして既に、貧富格差を拡大しつつあることを、データを駆使して実証的に証明しているところは、その先駆性に脱帽です。
河上は、その問題となっている貧富格差解消のためには、富者は贅沢を慎め、と結論づけています。それは、富者向けの贅沢品生産が圧迫して、貧者のための生活必需品の生産力がそがれてしまい、これが貧富の格差を拡大してしまうから、というものです。これは江戸時代の贅沢禁止令のセンスに近く、現代の経済学の常識からすると受け入れがたいものです。当時のような、モノのない時代なら、格差問題の解消のために富裕層は贅沢を慎め、という主張にも何らかのリアリティを伴った説得力があったのかもしれません。まあ、その部分は、現代においては、明らかにそぐわないとした上で、それでもこの瑕疵が、この本の高い価値を貶めるものでは決してありません。巻末の大内兵衛による解題を読むだけでも楽しいです。
なお、宇沢弘文氏は本書に大いに影響を受けた、とのことです。
紙の本
警告本
2016/09/11 10:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
資本主義社会の問題点は日本にこの思想が展開し始めたこの頃、この本が書かれた事実は重い。これはいまだに解決されないこの現象の解決のために手助けになる必読書である。