0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:FUMI - この投稿者のレビュー一覧を見る
淡々と進んでいく物語・・・
どこにでもありがちかもしれない面が描かれている。
子供は時に残酷でもあり、子供には子供の世界がある。
電子書籍
ノンフィクションとは思えないリアリティ
2015/07/01 13:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:bellbellmare - この投稿者のレビュー一覧を見る
小説だから、真実ではないのですが、どんなイジメのルポよりも、この物語はリアリティを持っている感じがしました。
ただ読み終えたあとの後味は非常に悪いです。
紙の本
沈黙だけがすべてではないぞ。甘ったれるな子どもたち!
2013/04/08 21:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
イジメが過激化すればたとえ少年とはいえ、もうこれは犯罪として処置することになってしまう。警察の出番!と、かつては隠蔽体質と指弾された学校だって、今はそうなりつつある。だから、暴行・傷害罪、傷害致死罪、脅迫・恐喝・強要罪、自殺教唆罪などなどで日常茶飯事のごとく新聞の社会面をにぎわしている。宮部みゆきの『ソロモンの偽証』では生徒たちの勇気ある行動を称えたが、現実には考えられないユートピアを描いたものだった。川上未映子の『ヘヴン』は社会性を捨象して、被害者の宗教的覚醒というか、内面的救済にスポットライトをあてたような雰囲気のラストで、現実を思えばすっきりした読後感は得られなかった。
スーパーマン先生はでてこないからカッコいい見せ場はないし、子どもたちが自ら解決するなんて夢みたいな展開もない。だからエンタテインメントのサスペンスにはなっていません。ただ、それぞれに屈託のある大人たちがギリギリの良識を持ち続け、冷静にリアルに現場を見つめているところ。今までのイジメ小説にはない視線がとても新鮮であった。
事件の環境がかなり似かよっているので、最近読んだ宮部みゆき『ソロモンの偽証』とどうしても比較することになる。そこには大人社会の歪みが戯画的に強調されて、基本的には子ども社会へ悪影響を及ぼすというお決まりのパターンがある。ところが奥田は必ずしもそうではあるまいと捉える。学校、警察、検察、新聞記者、関係中学生の親たち。なんやかんやと大人たちは精一杯真面目に務めているのです。
大人同士の喧騒については常識的にリアルに抑えて、直截的に「中学生」を解剖、分析して見せた。奥田は子どもにおもねることはない。子ども世界の過酷な現実を冷静に抽出していく。学者・評論家の論述にはあるかもしれないが小説としては新しい感覚なのだ。
奥田の描く中学生社会では不良はいても邪悪な存在はいない。このあたりも宮部とは異なる視点がある。逆にとびぬけて賢い、勇敢な子どももいないのだ。
ただ中学生社会もやはり弱肉強食である。生き残るために彼らは鳥のように群れるのだ。付和雷同。みんなが飛ぶ方に自然と体が反応し、考えもなくついていく………としている。自分たちが不利な状況に追い込まれそうになれば、「これはお互い黙っていようね」ということになる。奥田は「群れの中で沈黙を続ける」ことを最高の価値観としている中学生社会に注目したのだ。タイトルは『沈黙の町で』だが、こういういじめは地方都市に特有の現象ではあるまい。むしろ「沈黙の子ども達は」がふさわしい。
警察と学校は沈黙の掟を徐々に解凍していく。明らかになることで人間関係のもつれが解きほぐされて真相へ近づくのであるが、一方でタブーを破ることでは新たなもつれが生まれる。奥田はこの不条理をリアルに丁寧に描く。そしていじめがおこる雰囲気がいかにして醸成されるかが解き明かされる。
明るい展望を示しているわけではない。
ただ子どもたちに向けて沈黙だけがすべてではないよとの強いメッセージがある。
「子どもの残虐性が中学生ではまだ残っている。長じるにつれ、徐々に消える。高校生になると手加減するし、同情心も湧く。中学生のいじめは防ぎようがないのではないか。中学生の三年間は人生で一番のサバイバル期だな。」
この教師の言葉は印象的だった。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
中学2年生が飛び降り自殺。いじめが明らかになり、同級生2人が補導される。わが子のことしか考えていない親たち。誰もがモンスターペアレンツだと、奥田氏は言いたいのか。にしても、今一つ、主張が伝わってこない。親子の絆を描いているようにも思えないし、そこまで深読みする必要もなさそうだ。様々な人物の視点で描く手法は珍しくないが、それでも最後まで引っ張っていくテクニックは、さすがというべきか。
紙の本
淡々と読めます。
2013/06/23 23:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BACO - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みやすく物語も掴みやすい。飽きることはない。
現実的に感じられるところが良かった。
紙の本
沈黙の町で
2013/04/29 21:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Asyl - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分としては微妙。
投稿元:
レビューを見る
いじめられてた男子中学生の死は、自殺なのか事故なのか殺人なのか・・・。男子の方がスクールカーストってきついのかも。中2ぐらいじゃまだほんと子供みたいな子と、早熟で要領のいい子がいるしね。死んだ子が嫌な性格で、これじゃいじめられてもしょうがないと思ってしまうところが悲しい。
投稿元:
レビューを見る
8月-4。4.0点。
田舎の小さい町での、中学校のいじめ問題。
いじめられていた生徒が、転落し。自殺か、事故か、殺人か。
小さい町ならでのしがらみや、中学生の習性とか、描写が上手い。
暗い題材だが、あっという間に読めた。
この作家は、引き出しが多いな。
投稿元:
レビューを見る
中学校で男子生徒が頭から血を流して死んでいた。その生徒はいじめを受けていたのだが、自殺、事故、もしくは…から展開。中学生はまだ未完であり中学校生活はサバイバル。いろんな子供がいて、複雑な気持ちをもち、少しずつ少しずつ歯止めがきかなくなっていく。それぞれの立場で親は子を守りたがる。リアルだと思う。このようなラストで終わりさらに考えさせられた。
投稿元:
レビューを見る
タイミング的に、
大津市における中2男子生徒のいじめ自殺事件とダブるが、
本作品の連載の開始は、同事件の発生(自殺)の前であり、
事件が、ニュースでヒステリックに取り上げられた頃には、
連載は終了しており…、改めて、作者である奥田さんの、
現代の日本社会が抱える課題に対する問題意識の高さが、
際立った作品だと思ぅ。(事件の後追いでない点が、スゴイ)
しかし、学校や教育委員会による隠蔽、警察の怠慢など、
本作品では、お話の展開的に、好意的な設定をしていた部分が、
実際の大津市におけるいじめ自殺事件では、
大きな問題となっており、「事実は小説より奇なり」である…。
また、奥田さんは、警察小説や法廷小説の作家さんではなく、
主に、家族小説の作家さんだけに、
登場人物それぞれの行動や心理が、時系列的に丁寧に描かれており、
類似の警察小説や法廷小説に比べて、納得感はあったが、
一方で、各組織間や組織内のドロっとした駆け引きは少なく、
小説としての高揚感は、低かったかも…。
見方によっては、とても恐ろしいお話ではありましたね。
投稿元:
レビューを見る
小説としての感想のみを記す。
本作を読んでいると人間の本質的な負の部分が次々と僕自身に突き刺さってくる。
著者の一歩引いた視点が印象的だ。おそらくそうでなければ描けなかった。著者は常に死んだ少年に寄り添っていたかったんだろうと察する。
投稿元:
レビューを見る
読了後の第一印象は「これで終わり?」だった。
取り敢えず読者には真相は提示されているが、物語の中のでは真相は明かされていない書き方。
非常に不自然。真相を明らかにしなければ読者が納得しないから強引に真相のシーンを入れた感じがある。
幕切れが不満。結構興味深く読んでいた分、とてもがっかり。
投稿元:
レビューを見る
奥田さんのいじめを取り扱った小説。
いつもの軽いノリではなく、重めの話でした。
ラストが少しあっさりしてて物足りない感じがしたけど、☆は5つにしました。
投稿元:
レビューを見る
中学二年の男子が校内で転落死する、その真相をめぐるサスペンス。亡くなった少年の周囲のエゴ剥き出しの行動に辟易するが…それがリアルで生々しい。そして、いじめられる側にも問題があると思わせる展開に戸惑う。何とも呆気なくやりきれないラストが不穏な余韻を残す。
投稿元:
レビューを見る
最後の一行を読み終わったとき、手が震えていた。
それまで小説世界を追いかけていた気持ちが行き場を失ってうろうろした。
「え?これで終わり?」
そう思った。急いでネットで感想を検索すると、新聞連載終了時のものがいくつかヒットした。
みな「これは打ち切りじゃないのか」と書いている。
連載終了とほぼ同時期に、大津のいじめ自殺事件が起きたのだが、その現実と小説のあまりの符合ぶりと、唐突とも思えるような小説の終わり方から、そういう疑問が出たようだった。
私は連載を読んでいないので、単行本がどれくらい加筆修正されているのかわからない。それでもあのラストは意表を突かれた。
ただ、読み終わってしばらく反芻していると、じわじわと「やはりあのラストしかなかったのだ」という思いが浮かび上がってきた。
この作品は、作者の意図はどうであれ、「物語」として存在することを否定していると思う。
「物語」であれば、作者の思想信条や、価値観などが根底にあって、ひとつの完成した世界を作る。
その中では、登場人物の気持ちや行動の動機が読者に納得しやすいような形で提示されるものだ。
「行って帰る」が物語の基本形なので、どんな展開であろうとも最終的にはすべてを回収し納得の地点へ着地させるのが物語なのである。
それは、現実が決してそういう形をとらないがために、あえて「物語」という結構の中ではきちんと解決させようという人間の願望なのだと思う。
「1人の中学生の死によって周囲に波紋が広がる」という話ですぐに思い出すのは、宮部みゆきさんの「ソロモンの偽証」全3巻である。
あれも、1人の生徒の死をめぐって、さまざまな思惑が交差する話なのだが、決定的に違うのは「ソロモンの偽証」はそれなりに決着がついている、ということなのだ。こちらの物語世界はきれいに完結している。出てくる中学生がやけに大人びているじゃないか、とか、こんなこと(中学生が裁判を行なう)現実にはできるわけがない、というような感想は出てくるけれども、「いや、そういう物語なんです」と言い切れるものがある。
ところが、こちらの「沈黙の町で」では、そんなスーパー中学生は一切現れない。出てくるのはほぼ等身大の中学生と、いやになるくらいリアルな大人たちばかり。
奥田さんはこういう「閉塞感あふれる田舎町」を描写させたら天下一品なのだが、そういう町で暮らすとはどういうことか、を、ちょっとしたエピソードや展開でくっきりと描き出している。
いじめの首謀者とされている中学生たちの親の様子は、吐き気がするほど現実的だった。他人の話ならいくらでも正義感を発揮できても、いざ本当に自分の子どもがこういう事態に陥ったらきっとあんなふうになる。
そして、男子中学生の無口さ、不器用さもまたリアルだと思った。彼らは無口なんじゃなくて、「自分の気持ちを言葉で表現すること」自体に不慣れなのだ。いちいち全部言葉で表現するなんてめんどくさいと思っている。あるいはカッコ悪いとすら思っている。(だって、「言い訳するんじゃない!」って怒られたりすることすらあるんだから)
また、中学生の時期には、自分で自分���気持ちがわからなくなることが多くなる。いろんな思いが頭のなかをうずまいて、どう説明したらいいのか見当もつかない。それなのに大人はひどく単純な言葉で問い詰めてくる。「どうしてそんなことをしたの」「なぜそんなことをするの」こんな質問に理路整然と説明できるような中学生がどれだけいるだろう。そしてたいてい大人は最初から答えを決めつけているのだ。
作中で、大人が中学生に質問する場面がいくつかあるが、読んでいるこちらは中学生の様子を描いた場面を読んでいるからなんとなく想像がつく。しかし、実際にそれを説明するとなったら、そりゃあ無理だと絶望的な気持ちになる。
この作品には答えがない。結末もない。決着はつかない。「物語」のカタルシスを求めて本作を読むと非常に欲求不満がたまるだろう。
しかし、これほど現実的な小説はないと思う。現実はこの小説以上に曖昧模糊として何も解決せず、ウヤムヤのままに流れていくのだ。
最後に描かれる「事件の真相」らしき場面も、もしこれが現実の事件だったとしたら絶対知られることのない事実だ。小説だからこそこの場面が書けるのである。
こうやって、ぽんと材料だけが提示されて、「さてこれをどう受け取りますか」と作者に問われているような気がする。受け取り方は千差万別だろうし、考えることはいくらでも出てきそうだ。そういう問題意識の継続のためのひとつの材料としてこの小説があるのではないかと思った。
作者の見識を打ち出してある小説を読むのも、小説を読む楽しみの一つだが、本作は断片だけを提示されてあとは自分で考えろという作品であるため、読んだあとも深く深く考えてしまう。
ラストの「終わってない感」は、「SP」という映画を思い出させる。あれも、「革命篇」で完結と言われているのに、見終わった人の何割かは「絶対続きがあるはず」と思っている。「だって謎が全部解明されてないじゃん」というわけだ。
私はあの映画のラストはあれしかないと思ったし、十分完結していると思ったが、「物語」として見れば確かに全部謎解きされているわけではないし、行ったきりの話になってしまっているから、終わってないと思う人がいるのも無理は無いと思う。
同様に、この「沈黙の町で」も、たぶん連載当時に「こんな中途半端で終わるはずがない」と思った人がたくさんいるのだろう。そういう人が単行本化された本作を読んでどう感じるのかちょっと興味がある。