うれしくなります
2024/12/29 19:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
貧困から抜け出せないつらさ、それでいて一匹狼なところが、さらに人生を困難にさせています。本人は本当に苦しいんだよね、そのあたりのひりつく感じが伝わってきます。
若き日の体験を脚色した私小説
2024/02/03 04:27
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
とにかく汚くみっともないことが書きたい、は西村さんの遺言になってしまいましたね。「貫多」シリーズの中でも洋食バイト編は特に愛着があります。
貫多はいつから貫多だったのか
2020/01/30 15:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:てこな - この投稿者のレビュー一覧を見る
私小説。北町貫多シリーズで最年少の17歳の頃を描いた作品。17歳の貫多はどうだったのだろうか。ページをめくってみると、1ページ目からすでに北町貫多は北町貫多だった。クズっぷり、底辺っぷりに笑いながら少し寂しい気持ちにもなって、最終的に爽快感が来た。
投稿元:
レビューを見る
こんな青春も、存在する―。17歳。中卒。日雇い。人品、性格に難あり。しかし北町貫多は今日も生きる―。無気力、無目的に流浪の日々を送っていた貫多は、下町の洋食屋に住み込みで働き始めた。案外の居心地の良さに、このまま料理人の道を目指す思いも芽生えるが、やがて持ち前の無軌道な性格から、自らその希望を潰す行為に奔りだす―。善だの悪だのを超越した、負の青春の肖像。渾身の長篇私小説!
痛い、痛すぎる。でも読んでしまう。
投稿元:
レビューを見る
ざっくりと言えば、17歳の貫太が洋食屋でアルバイトを始め、住み込みになり希望を抱くが、辞める、というだけの話。
終盤に至って気づくが、そういえば彼はまだ文学に開眼していないのだ。
探偵小説などを読んではいるが、田中英光の名前が出てこないあたり、そうらしい。
著者には「小説にすがりつきたい夜もある」という芯を食ったエッセイ集があるが、
少年貫太は「すがりつきたい気持ち」だけがあって「何にすがりつけばいいのか」がわかっていないのだ。まだ。
すがりつきたいものがわかっているだけ幸せともいえる。
それにしても書いているものは同じ。
とはいえ長いぶん、溜まりに溜まった鬱憤を晴らそうとする終盤の畳みかけるような罵詈雑言は、しびれるくらい面白い。
投稿元:
レビューを見る
『苦役列車』以来、西村作品二作目。『苦役〜』より前の17歳の貫多が主人公。この頃からもう既に貫多でしたw どうしようもないこの感じがとても良いです。アキコさん?だったか、噂の彼女が出てくる作品が読みたいですね(^^ まあ、この調子だとあまり変わらなそうですが…彼は。
投稿元:
レビューを見る
17歳の自分勝手な青年の話。気分を害す思考が多く、読んでいて不快に思う。クズな主人公を読みたい方はぜひ!
投稿元:
レビューを見る
自分がいい奴でも悪い奴でも
自分からは逃げられない。
日記が続かない理由は、破くから。
嫌な思い出は全部破って捨てる。
記憶に重石を置いて、忘れるまで置いておく。
腐った記憶がドロドロになってやっと燃やせる。
投稿元:
レビューを見る
びっくりするぐらい非モテダメ男の青春奮闘記
「彼は見た目は野良犬ながらも 、その根は余りにも貴族気質にでき過ぎてしまっていた 。そしてまた 、見た目は若きお菰風ながらも 、その根は余りにも坊っちゃん気質にでき過ぎてしまっていた 。」という文から伺えるように、主人公はとにかくプライドが高くて、被害者意識の塊。バイト先の人間とか割とふらっとに見ているはずなのに、自分は馬鹿にされてる、疎まれてると思い込み暴虐な限りを尽くす。もう少し自己肯定感が高くて、他者に歩みよれば普通の関係性を築けるのにと思いながら読み進めていた。
でも、こういう北町貫多的な卑屈性は自分の中にも心辺りあるなと思い、深淵を覗いてると思ったら、自分の深淵の部分を見つめ直していた。
「確かに自分は 〈青春の落伍者 〉にはなりつつあるが 、しかしながら 、まだ 〈人生の落伍者 〉には至っていないのだ 。」という文がまた心に染みる。
投稿元:
レビューを見る
私のブログ
http://blog.livedoor.jp/funky_intelligence/archives/1994808.html
から転載しています。
西村賢太作品の時系列はこちらをご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/funky_intelligence/archives/1998219.html
本作品は、貫多が横浜の造園会社に勤務する前に東京で勤務した洋食店「自芳軒」での話。先輩や上司への毒付きあり、岡惚れあり、犯罪すれすれの行為ありと、安定の貫多が楽しめる。
かつての私(私も飲食店でのアルバイト経験が複数あり、似たようなことをしたり、思ったりした)と被ることもあり、その共感が西村賢太作品の面白さなのだろう。
二度目の感想
http://blog.livedoor.jp/funky_intelligence/archives/2007344.html
寛多が洋食屋で住込バイトする話。これも非常に中毒性のある作品。20代まで飲食店でアルバイトしていた経験のある私には特に堪らない。特にオーナーとの微妙な関係が絶妙。そしてオーナーの妻も。こういう奴たくさんいたなぁ、何て懐かしさを思い興させてくれる作品である。もっと多くの人に読まれるべき作品だと思う。
投稿元:
レビューを見る
『苦役列車』『小銭を数える』に続いて。北町貫太セブンティーン、洋食屋での奮闘の日々。今回は長編ということもあり序盤はいささかかったるくもあった。読者としてはやはり貫太が暴虐の限りを尽くすのがオモロイわけで。洋食屋の仕事に慣れるにつれ、彼の本性が顕になり小狡いちょろまかしや淫行を重ねていくのはなんとも生々しい嫌らしさがある。バイトの小娘のスカートの匂いをこっそり嗅いで悪態を吐きまくる場面は大いに笑わせてもらった。
投稿元:
レビューを見る
作者の私小説を読むのは数冊目
私小説だから、事実を元にしたフィクションだそうであるが
どこまでほんまかいなと、いつも感じてしまう
と、言うことは作者の術中にハマっているのだろうと思う
物語は毎度ひどい内容で、言い回しも下劣な感じ
なのに、リズム感があって読んでいるのは楽しくて、毎度一気読みしている
You Tube の作者の動画があるので興味があれば見てほしいなと思う ← 誰に向けとるん???自分
内容はいっぱい他者が書かれているので、書かないけど
人生を簡単に諦める若者に読ませたい、どんな事があっても自分は自分で生きていくことが、来ていることが大事なんだと言われている、そこを感じてほしい。
乱読ジジイでした
投稿元:
レビューを見る
自分にとって2作目の北町貫多モノ。以前読んだ"苦役列車"は救い様の無い物悲しさが漂っていた記憶だが、自分が貫多に慣れたためか、こちらは随所でクスッと笑ってしまう愛嬌ある作品。飲食店の見習いに潜り込んでも、変わらず"どうしようもない"貫多の姿には、人間のカルマを感じてしまう。
投稿元:
レビューを見る
西村賢太の作品は文庫本にして5〜6冊は読みましたが、この作品が1番勢いがあり、もはや疾走感とも言えるテンポで、悪行と自堕落の果てに破滅に向かって行くいつものストーリー。
内容はいつも通りの破滅型青春文学ですが
個人的には最高傑作だと思います。
投稿元:
レビューを見る
まず冒頭申し上げたいのは、西村賢太作品を相部屋の病室で読んではいけないということです。
思わず吹き出して、同室の患者に眉を顰められること必定。
笑いを堪えようとして咽たり咳込んだりし、事態が悪化することもしばしばです。
今回、大腸ポリープの摘出手術を受けるため1週間入院していますが、西村作品を持ち込んだことを軽く後悔しております。
それはさておき、本作は言わずと知れた「北町貫多」シリーズ。
貫多17歳、洋食屋でアルバイトをする青春の日々を描いています。
「青春」と書きましたが、貫多の青春は、一般にイメージされているものとは真逆のものです。
貫多は、小学5年のころに父が性犯罪で捕まり、母と姉と共に都内の別の土地へと逃げました。
その後、中卒で社会に出ると、港湾人足など重労働で糊口をしのぐ生活を送るのです。
しかし、まだまだ17歳。
自身初となる洋食屋でのアルバイトも順調です。
貫多はこう思います。
「確かに自分は〈青春の落伍者〉になりつつあるが、しかしながら、まだ〈人生の落伍者〉には至っていないのだ」
見上げた心意気ではないでしょうか。
不遇をかこつのではなく、むしろそれをバネにして自ら人生を切り開く――。
なんてことは、貫多に限っては一切ありません。
バイトで得た給金は酒と買淫に費消し、家賃は踏み倒し、金に困れば実家に戻って母から金をむしり取る。
自ら人生を切り開くどころか、職場その他で出会った年配の人たちを「人生の落伍者」と決めつけ、優越感を得て恬淡とする始末です。
それだけではありません、自分を棚に上げて、気に食わない人をとにかく悪し様に罵るのです。
何と下劣な品性の持ち主でしょう。
しかし、この下劣さこそが貫多の魅力として、私を含む多くの読者の心を捉えているのだから不思議です。
しかも、貫多の言い立てる悪態の痛快さといったら、もう中毒になります。
これだけ多くのファンがいるということは、恐らく私を含め、貫多のように自分にもっと正直に生きたい人が多いのだと思います。
蛇足ですが、西村賢太には珍しいエンタメ作品「悪夢――或いは『閉鎖されたレストランの話』」の着想は、この洋食屋で得たものなのだと本作を読んで知りました。
ちょっと感動した。