- カテゴリ:一般
- 販売開始日: 2012/07/05
- 販売終了日:2015/08/20
- 出版社: KADOKAWA/角川書店
- レーベル: 角川文庫
- ISBN:978-4-04-386004-3
読割 50
電子書籍
オリンピックの身代金 上
著者 奥田英朗
昭和39年夏、東京はアジア初のオリンピック開催を目前に控えて熱狂に包まれていた。そんな中、警察幹部宅と警察学校を狙った連続爆破事件が発生。前後して、五輪開催を妨害するとの...
オリンピックの身代金 上
オリンピックの身代金 上 (角川文庫)
商品説明
昭和39年夏、東京はアジア初のオリンピック開催を目前に控えて熱狂に包まれていた。そんな中、警察幹部宅と警察学校を狙った連続爆破事件が発生。前後して、五輪開催を妨害するとの脅迫状が届く。敗戦国から一等国に駆け上がろうとする国家の名誉と警察の威信をかけた大捜査が極秘のうちに進められ、わずかな手掛かりから捜査線上に一人の容疑者が浮かぶ。圧倒的スケールと緻密なディテールで描く犯罪サスペンス大作!
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紙の本
さすがの筆致!面白い!
2011/12/08 11:22
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
時は昭和39年、日本は敗戦から二十年近くが経ち、翌年に控えた東京オリンピックに人も街も湧きかえっていた。そんな折に起こった、警察要人宅の爆破事件。犯人は過去に連続爆発事件を起こしまだ捕まっていない「草加次郎」を名乗る声明文を警察に送りつけた。その後も爆破事件は続き、その犯行声明文は、東京オリンピックでも爆破事件を起こしてほしくなければ、8千万円を用意しろという物。もしオリンピックで爆破事件など起これば、警察の信用どころか日本の国際社会における立場は地の底に失墜する。果たして犯人は本当に草加次郎なのか、警察の威信をかけた犯人捜査が始まる。
ただの「爆破事件捜査」がテーマではないのが、本作品の面白い所。警察の捜査が描かれる節と、一人の東大大学院生「島崎国男」の日常生活が描かれる節とが、交互に進んで物語を紡いでいく。国男は兄をオリンピックの工事中になくし、代わりに自ら「プロレタリアート」を経験するという意味も含めて、非常に過酷な飯場仕事に従事する。その辛い日々の中で、民主主義に対する疑念、憤りを募らせていく。国のあり方、未来の日本のあり方、にさえ疑問を抱くようになっていくのだ。だが国男の人となりや行動を見ても、反国家的思想を抱いて、恐ろしい犯罪を起こすような人間には思えない。非常に知的で優しく、誰からも好かれるような優男。果たして、国男が爆破犯なのか・・・。段々と募っていく疑念、交錯する人間模様と思惑。国家を揺るがす脅迫事件の幕開けと共に、本当の国あり方を考えさせられる。
以前より卓越した筆致を持っていると感じていた奥田氏をして、「これが現時点の最高到達点」とまで言わしめた本作品。文章のうまさ、構成のうまさはさすがとしか言いようがない。一体この後どう展開していくのか、下巻も非常に楽しみである。