紙の本
こんなに素敵な物語
2022/05/30 15:57
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投稿者:かみめくり - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなに素敵な物語がこの世界にあることを知れて、
なんて幸せなんだろう。
そう思わせてくれる物語です。
紙の本
オリオくんの旅
2021/09/01 20:29
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この世のあらゆるものを保管する博物館『奇妙な惑星』博物館〈保管室〉で働く少年オリオくんが、仕事に必要なインクを探しに旅に出ます。
全ての出来事があるべき方向へ進む運命にあるような不思議な展開です。
たんたんと綴られているので静かな印象。だけど、なかなかに波乱含み。
登場するキャラも曲者ぞろい。
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『月とコーヒー』で好きだったインクの話だったので購入。
作者の世界観が本の中で余すことなく表現されている。
話の内容は、あくまでも序奏。
どう進んでいくのか、今後に期待。
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吉田篤弘氏の描くそれぞれのキャラクターのイラストがいい。
ジャン叔父さんのセリフやベルダさんのセリフも印象的なもので読んでいて楽しい。
続きが出るのが楽しみだ。
それまでの間、「月とコーヒー」でも読み返そう。
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私の時間が流れる中で、世界はいつも回ってる。
誰かの時間が止まっても。
欠けた時間に掻き乱されて、
時に立ち止まってしまっても、世界は回り続けていく。
音楽を聴いても本を読んでも、
全く同じくり返しにはならない。
耳を澄まして、心に寄り添い、言葉を拾い、想いを掬い、形を当てはめ、温度を滲ませ、歩み進める。
時間の魔法をかけるみたいに、
いつだって世界が回ってくれるから。
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+++
「奇妙な惑星」博物館の保管室に勤務する十四歳のオリオ。
師匠のベルダさんと二人、世の中のあらゆるものを記録し保管すべく作業に勤しんでいた。
そんなある日、ベルダさんが死んだ。
自殺か、病気か、事件か。
原因がわからぬまま、オリオは保管室の責任者を引き継ぐことになる。
ところが――。
ベルダさんが記録に使用していた万年筆のインク、〈六番目のブルー〉の在庫がない。
あれなくして記録作業はできない。
幻のインクを求めるオリオの旅が始まった。
+++
舞台も設定も、登場人物たちひとりひとりも、「一般的」とは言いかねる個性を持っている。だからこそ芽生え育った世界なのだろう。時間も距離も、常識にはとらわれず、それでもなお、人間の思考性は保たれている印象で、そこにそこはかとない安定感も見いだせる気がする。全体的な揺らぎをつなぎとめているもの、とでも言えばいいのか。著者の物語には、さまざまな意味での旅を感じることが多いが、本書の登場人物たちの旅は、まだまだ始まったばかりという感じである。これからどこへ連れて行ってくれるのか愉しみな一冊である。
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ぜひ大事に少しずつ読んでもらいたい。
一気に読んでしまったのでちょっと後悔、、。
それくらい素晴らしい本。
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『月とコーヒー』を読んで、また万年筆を使いたくなった。印象的なインクのお話。あとがきで筆者が「次は万年筆とインクをめぐる物語で一冊、書きたいと思います」記していた。そうして出来上がったのが本書だろう。
とはいえ、「あれ?こんな話だっけ?」「こんな登場人物いた?」と「?」を付けながら読み始めたけど、どうやら純粋な続編ではない? あるいは、どうやら本書も1冊で完結ではないので(よく見たら「1」と書いてあるか)、この後で、『月とコーヒー』の中のエピソードとの関連が分かるのかな、まあ、いいや、のんびりゆっくり読み進めよう。
と、まあ、そんな、ゆるゆると読める、いかにもな吉田作品。というか、『月とコーヒー』の、ちょこっとSF、ちょこっとファンタジーなテイストを十分踏襲している。という意味で続編、スピンオフと言った趣の作品。
オリオという14歳の主人公が、ギター弾きの叔父さんと小さな旅に出る。恩師のベルダさんが大切にしていた青いインクを求めて。
(ほぼ)各章ごとに新しい登場人物が現れる。ギター弾きのの叔父さんはもとより、カフェのマリオ、電球交換師のトビラさん、オリオと心の中で会話するココノツという少女、叔父さんとよく似たサルという男、その父親で物書きのウルフ・・・。
次々と、不思議な人たちと出会い、めざす青いインクを製造する工場へと向かう。
14歳という年齢からして、きっと自分探しの旅なのかな。
でも、十分老成しているオリオは、もっとその先、自分という存在の先にたどり着きそうな気もする。こんな恩師ベルダさんの言葉を思い出す。
「世界を観察しようとするとき、唯一、自分が邪魔になるのです」
さて、まだ「1」。このあとどんな物語が繰り広げられるか楽しみにしていよう。
「いいかい。」という亡きベルダさんの言葉が蘇ったら要注意だ。なぜなら、“ベルダさんは大事なことを話すときに必ず最初に「いいかい」と云っていた” からだ。
この世を生きていくために大事な何かを、オリオは見つけることができるのか。続きが楽しみだ。
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「月とコーヒー」などに登場した青いインクを巡る長編小説の1巻。
博物館で働く14歳の天才少年オリオは、在庫切れになってしまった青いインクを求めて旅に出ることに……。
少年が主人公という、今までにない目線が新鮮で、これまで大人の童話と思っていた吉田さんの世界観が、冒険小説のように感じられました。
ファンタジー色が強めなのですが、いつものようにインク、コーヒー、音楽が上手に物語に溶け込んでいるところはやっぱり吉田さんの作品だな、と。
果たしてオリオは目指す青いインクにたどり着けるのか……。早く続きが読みたいです。
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『月とコーヒー』のショートストーリーから生まれた長編小説。
幻のインク〈六番目のブルー〉を求め彷徨う旅物語。
博物館の保管室で働く14歳のオリオ。
ある日、保管の記録に必要な万年筆のインク〈六番目のブルー〉がないことに気付く。
〈六番目のブルー〉
それはこの世でいちばん深い海の底の青色。
奥深くて華やかで悲しくて麗しくて涙が出てきそうで…一言では言い表せないほどの美しい色。
そして人生における師匠の魂が宿る色。
一体どんな”青”なのだろう。
読めば読むほど謎めいてくる。
そんな大切なインクを失くしてしまったオリオのインク探しの旅は、人との出逢いの旅でもあった。
次から次へと登場する個性的な人たちの導きによって〈六番目のブルー〉に無事辿り着けるのか、とても楽しみだ。
〈インク三部作〉の第一部。
この先、どんな出逢いが待っているのか、乞うご期待ということで。
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吉田篤弘さんの本、いつも感じることだけど今回もまた。
会ったことのある人達なのに新鮮。いえ、会ったことないかも。でも知ってる人だしなぁ。誰だったかしら、私の気のせいかしら、昔からの友達みたいだけれど初めましての挨拶もしなきゃ。そんなこんな、モヤモヤではないうっとりに近い感想。
読み終わりたくないけれど読み終わっても離れる感じがしない、そんな人達に今回もお知り合いになれました。
『1』なので続きはあるのだと思います。
またココロの琴線に触れていただきたい。
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本を手にとった時に、1って書いてあるけど、吉田さんだし、続編は無いんじゃないかと思っていました(笑)読み始めて、本当に続くことが最後にわかった時にドキドキ。登場人物が絵本の中のような人ばかりで、続きが出るのが楽しみです。
2021/8/28読了
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好きだった「月とコーヒー」から連なるインクシリーズの第一弾。
幻のインク〈六番目のブルー〉を探し求める旅。
なんて素敵な旅だろうか。
旅の寄り道、出会う人々、出てくる食べ物。どれもとても素敵すぎる。
この世界に入り込み、一緒に旅したい。
まだ旅は途中。続編が楽しみ。
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博物館に務める少年オリオの師匠、ベルガさんが突然亡くなった。ベルガさんの跡を継ごうとするが、ベルガさんが愛用していた「六番目のブルー」というインクが廃番となっており、街では売っていないことが判明する。
「魂は肉体から離れたあとしばらくは物に宿る」というベルガさんの言葉から、オリオはベルガさんの魂が宿る「六番目のブルー」を探すために「エクストラ」というインクの産地の小さな国へと旅に出る。
連作長編となっており、一編毎に新しい人物が出てくるが、作者直筆のイラストがあるため、人物のイメージはしやすい。前々から味があって好きなのだが、吉田篤弘さんのイラストの腕が上がっている気がする。
目的はインクを探す旅なのだが、インクで書かれた小説を読むために図書館に行ったり、この本のタイトルと同じ名前の「それでも世界は回っている」という歌のメロディーを探したりと、どんどんやることが増えていく。しかし寄り道も、いろんな人に会うのも旅のうちなのだろう。続きが楽しみな本。
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旅の終わりから見て、いちばん遠い場所は旅の始まりなの
【感想】
手にしっくりくるような小ぶりな本で、読んでて心地よい。
【一行目】
万物は流転する。そして、万物はすべて笑っている。
【内容】
「六番目のブルー」という名のインクを製造していた会社が廃業しもう入手できないと知ったオリオはその会社があったエクストラという国に向かってギター弾きのジャン叔父さんともう一人(仮)とともに旅を始めた。
▼簡単なメモ
【アクビさん】事務用品店「オスカー商會」の女主人。本当の名は「アケミ」だがいつも眠たそうにアクビをしている。また、バクハツしたような髪をしている。
【アブドラ・ハブドラ・サブドラサ】言葉を持たない者たちの声を聞くための呪文。
【美しい】サルいわく「その言葉があまりにも便利だからだ。親父は便利なものを嫌っていた。それは、はたして『美しい』の一言で片づくものなのかとね」p.151
【ウルフ】サルの父。サルがついだダイナーをつくった料理人だが趣味で小説を書いていた。死ぬ前にすべて燃やした。「趣味だから好きなだけ書けるし、いつ、やめたっていい。その自由さが、俺に物語を書かせる」p.152。「インクが書いているのだ」p.163
【エクストラ】六番目のブルーの生産地だった街。その小さな国にはこの街しかないのでおそらく国名もエクストラ。朝っぱらから軽快な音楽を流しててんでばらばらな体操をしている素晴らしい国。
【エブリ】時計屋。
【オーネスト】博物館長。
【オリオ】主人公の「僕」。十四歳。「奇妙な惑星」の保管室で約四年間働いている。ちょっとだけ未来予知ができる。
【奇妙な惑星】博物館の名称。
【ココノツ】アクビさんと似たバクハツしたような髪をしている少女。オスカー商會の跡継ぎ予定。「六番目のブルー」をひと瓶だけ持っている。他者の心が読める。言葉の最後に「きっとね」とつけてしまうのがクセ。
【最後のひとつノート】オスカー商會のバックヤードには売れ残ったり生産中止になったものが保管されており、最後のひとつになったらこのノートに記入され詳細に調査される。ココノツの趣味かな。
【さみしさ】マリオいわく「この世界は、さみしいって気持ちをどうにかしたくて回っている」p.98
【サル】ダイナーの主人。ジャン叔父さんそっくり。
【時間】ジャン叔父さんいわく「時間はお前なんだ」p.124
【事典】「僕」の夢は「まだ誰も書いていない事典を書くことです」p.22。
【ジャン叔父さん】売れないギター弾き。でも腕はいい。「ザクザク」とギターを弾く。ただし歌うのは上手くない。約束するのが何より苦手。
【ソシオ】ブリホーデンのミュージック・ホールの経営者。
【それでも世界は回っている】ベルダさんの口ぐせであり、歌の名前でもあった。歌詞は二十一番まで残っているが旋律は失われウルフが探していた。そして書いていた小説の題名でもあった。
【旅】オーネスト館長いわく「旅というのは長いことに価値がある」p.89。ココノツいわく「旅の終わりから見て、いちばん遠い場所は旅の始まりなの」p.148。おー、ココノツさん、天才やなあ。ジャン叔父さんいわく「はっきり云って、寄り道をするために旅があるようなもんだ」p.158。ついでに個人的には、迷うために旅をするようなもんやなあ。
【トカイ刑事】五十三歳(推定)。《果物ナイフ以上に涙と無縁なオブジェクトであるのかもしれない。》p.26
【ドクター・エジンバラ】医師。
【トビラさん】電球交換士。数ヵ月で寿命か来る繊細な電球に交換してくれる。「本当に素晴らしいものには、いつか終わりがくる」。自称不死身。
【ハチミツをかけたバター・トースト】ベルダさんが最後の晩餐に選ぶと言っていた。でも彼の最後の食事はベーグルとスモークサーモンとクリームチーズだったらしい。
【パティ】ジャン叔父さんといっしょに巡業している歌手。
【ハルマ】ジャン叔父さんの友人。叔父さんの車を直せるのはハルマしかいない。外国からも修理の依頼があるほどの腕前でジャン叔父さんの車をいつも手に持っているドライバー一本で直した。
【ブリホーデン】ホットドッグがうまい。ミランダがいる。図書館は大きすぎて見つけられない。ノア川が流れている。
【ベルダさん】無口な人。「奇妙な惑星」の保管室で働いていた。故人。「世界を観察しようとするとき、いつでも、自分が邪魔になるのです」p.18。
【マリオ】「マリオ・コーヒー」の店長。いつも、そしてずっと右腕を吊っている。
【ミランダ】サルの父の妹、要するに叔母。ブリホーデンの図書館で働いている。顔からはみ出るくらい大きな眼鏡をかけていて頭に林檎を乗せている。十六世紀の「聖女ミランダ」とそっくり。
【夢】エブリいわく「純粋な心を持った少年少女には、目の前にあらわれた人物が自分の夢とひとつになってしまうのです」p.130
【六番目のブルー】インクの名前。オリオはその色に惹かれた。ベルダさんの魂はこのインクに宿ったらしい。インクをつくっていた会社は廃業している。