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投稿者:ツクヨミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は恋愛小説が苦手です。乱読派で大概のものは楽しんで読むのですが、恋愛小説はほぼダメです。たぶん情緒的な部分の根本に問題がるのでしょう。エロも苦手です。古典だから読んでおかないといけないと思い『O嬢』に何度もトライして、ステファン卿の館に着く前に幾度となく挫折してしまいます。友人に薦められた恋愛小説も我慢してラストまで読んでも、何の感想も浮かばない。どうやら生まれる前にそのあたりの感性を子宮に取り落として生まれてしまったんでしょう。
でもこれはラストまで読みました。作中にも「ジュネ」の名前が出てきますが…ジュネは恋愛小説ではないですから、凄く揺さぶられました…これはそこまでじゃないです。そこまで影響をうけなかった。自分が歳をとったというのもあるでしょうが。
でもこの小説が何度も絶版になりながらも不死鳥のように再販されるのには、他に代えがたい魅力がこの作品あるからだと思います。編集側に、この哀しい恋人たちの物語を語りつなげたいという思いがあるんでしょうね。
おかげでこの作品を読み、誰一人幸福になれない、なのに苦しいほどに切ない物語を味わいました。
小説の世界には、こういう作品が常にあって欲しいと思いました。読むと苦しくなるような、でもどこか清々しい気もしないでもない小説…。
河出書房新社、偉いです。
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投稿者:イシカミハサミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者があとがきで言っているように
「気が狂うような美しい小説」
個人的な話をすれば、
こうやって情動に突き動かされるタイプでは全くないので、
完全な他人事。
だからこそそこに羨ましさがあるし、
ぐいぐい読んでいける。
愛。愛情。愛憎。愛慕。愛欲。
愛を性で満たすのか。
性で愛は満ちるのか。
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これほどまでにいやらしさのないレズビアン小説はないと思います。クーチと塁の情念を感じる恋愛小説
ラストシーンが人それぞれの、解釈をしてしまうミステリーな終わり方だと思います。この作品を読んで深く考えて下さい。悩んで下さい。
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読み終えた時に感じたのは、自分の半身とも思えるくらい身を焦すほど愛する人に出会えた喜びよりも寂しさだった。
彼女を失った悲しみだけが、強く私の心に残っている。
中山可穂さんの作品は初めて読んだけれど、情景描写があまりにもリアルで肌にべっとりとぬるい空気が張りつくような感覚があった。
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綺麗とか美しいとか
そんな簡単な言葉では表せないような
濃度の濃い恋愛小説。
滅多にない平凡ではない人生かもしれないけど
誰しもにある心の内面を掻き立てられ
想像を巡らせてしまう
読む人によって
最後の結末が変わるのではないだろうか。
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許されるとか許されないとか、満たされるとか満たされないとか、幸せとか不幸せとか。そういうことを考える間もなく堕ちるのが恋なのだろう。しかもそれが初めての同性との恋だったとしたら、それはもう運命としか言いようがない。
一瞬でお互いにお互いを求めあっていることがわかる出会いって、それがお互いに命を削るような日々になったとしても絶対に悔やむことはないのだろうな、とそう思う。この小説を読んで、そう思った。
一生に一度、もし出会えるか出会えないかの恋。うらやましい。命と引き換えになったとても、自分の身体の、心の半分である誰かと出会えるなんて。
新人作家の塁、学生時代からの恋人とくっついたり離れたりを繰り返すクーチ。二人の出会いと別れが魂の叫びと共に描かれる。愛おしいのに傷つけあう2人の血を吐くようにむさぼり合う身体と身体。その描写の美しさにしびれた。
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感想としては、こんな綺麗な恋愛小説を読んだことを、心から嬉しかった! そう感じました。ありがちな感想で申し訳ないですが。中山さんの実体験?かと思ってしまうほどリアリティが溢れていました。近年ニュースで取り上げられている「LGBT」問題
この作品を通してそういった問題を考えるキッカケになったと思います。
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一日で読破しました。
1度読み始めると止まらない。
性描写が多いが綺麗に感じるほどでした。
とても良かった
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白い薔薇の淵まで
女性の愛を知ってしまったら
男性しか知らなかった頃には
もう戻れない
男性には男性のいいところがあって
女性には女性のよさがある
どっちも好きだけどどっちも嫌い。
結婚は形ある愛として
用意されたものだけど
わたしたちはいつだって形のない愛を
求めたり探したりしてしまうものなのかもしれない
喜八郎はクーチの気持ちに
気づいてながら相手を尊重する。
そして耐える。
男性ならではの忍耐力と包容力。
塁と喜八郎を比べてしまったり
クーチの葛藤や苦しみや
塁に伝わりきれない歯がゆさ。
愛を知ってしまってるがゆえに
愛し愛されないように
一線を引く塁。
愛は人を強くすることも
時として形を崩して壊れてしまうことも
知っている。
家族間も超えた愛は
近親相姦で片付けられる
言葉なのだろうか
一般的にタブーとされているからこそ
求め合ってしまうものなのだろうか
阿片で意識が朦朧とする中
あなたが迎えに来てくれた安心感と
愛の深さに塁もきっと
このまま死んでもいいと思ったんじゃないかな
塁がこれまでにない穏やかな笑顔を見せたのは
一つの壁が壊れたからだと思いたい
塁との生活を夢みて
猫が飼える家 塁の部屋も用意したクーチは
母親のような愛が溢れている
クーチの気持ちに共感した部分が
大きいと思っていたけど
わたしの今までしてきた行動や
塁の抱えてるもの、
全部含めてみるとどうなんだろう…
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図書館で借りた本。同性愛の物語。初めての領域でドキドキしました。ジェンダーレスな最近の風潮に合致してるのかなぁ、描写が切なくて、少し暴力的で、そういう魅力も文章にはあるんだ〜と驚きでした。前向きで綺麗ばかりじゃない世界。
物事の捉え方は多面的に、を意識しようと思います。
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読了2021.09.12
迸るように切実な愛の話でした。
「出会ってしまった」女二人、濃密な官能が美しくて苦しくて、胸を掻き毟りたくなります。
久々に寄った本屋の新刊台で、そういえば読みたかった本だ、と見つけられて良かった。
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もう20年も前に出版された本とは思えない内容でした。今こそ多くの人の心に響く本ではないでしょうか?私も20年前には読みたいと思わなかったかもしれません。今出会えて良かった。
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第14回山本周五郎賞受賞作。
平凡なOLと二作目が書けない新人女性作家。あっという間に恋に落ち、性愛に溺れた二人の行く末は。
著者もあとがきで言っているが、今から20年以上前、日本にはまだLGBTが"なかった"時の作品。
しかし、これは単なる同性愛作品ではなく、著者にとってもっとも"美しい小説"の形だったのだろう。気が狂うほどに"愛と死"にもっとも近づけるような。
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女性同士の性愛の激しさと美しさ、そして苦しさ
きっと体験した人にしかわからないだろう
読んでいて、胸が苦しくなった
好きな人に触れられる悦びを知ってしまった今は、それを失うのを恐れてる
愛のあるセックスは麻薬だ
この小説が20年前、まだLGBTという言葉が存在していたかった時代に作られたことに驚く
現代、少しずつ社会が理解をし始め、エンタメ業界もそういったテーマを取り上げるようになり、不適切な発言をした政治家には批判の声が浴びせられるようになった
私が生きているうちに、日本において彼女を法的に守り、守られる時代は来るだろうか
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平穏な生活を送れなくなるくらい、居ても立っても居られず行ったことのない国に何も考えずに会いに行ってしまうくらい、一緒にいたい相手。自分の人生には起きないだろうし、起こってほしくない究極の恋愛という感じだった。でも今までの経験からなんとなく分かる恋愛の自分ではどうにもできない、とてつもない苦しさに感情移入した。ずっと別れの気配が漂う切ない感じと、2人でずっと幸せに暮らしましたというようなハッピーエンドではないところが逆に好きだった。