紙の本
証言を掘り出し、真実を見つけ出す渾身の調査報告書
2018/11/07 12:22
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:magoichi - この投稿者のレビュー一覧を見る
フィクションの下山事件 暗殺者たちの夏とどちらを先に読むか迷ってこちらを先にしました。自分にとってはそれが正解でした。
知らぬ人のいない有名な事件ですが、TVの特集などでは他殺自殺の両論併記後に「戦後の闇は深い」的な終わり方しか見てこなかったので、今回改めて当時の警察の調査内容の詳細を知った上で、深く真相に近づいていく著者にまるで時代を遡りガイドされているかのように思えました。
それぞれの事情があり、虚実入り混じる当事者の証言や別の取材者の情報、それらを元に展開される推論には飛躍やこじつけが一切無いように感じました。そして最後に真実にたどりついた結論は。
著者の配慮もありフィクションに委ねざる得ない部分は理解できる。
丁寧に真摯に過去の大事件に向き合った良書です。
紙の本
この事件に関心のある人は必読の書だろう
2019/01/13 17:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
下山事件についての著作は松本清張初め様々なものがあるが、これは事件関係者であるかもしれない人の親族が書いたもので、信ぴょう性が高い。かなえり事件について調べているのがよく分かり、説得力もある。過去に発表された他者の著作も参照しており、比較もできるのでより理解しやすい。この事件に関心のある人は必読の書だろう。
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持ち主:的場
ノンフィクションの本
中略
戦後の動乱が明けやらぬ昭和二十四年7月4日。GHQ占領下にあった日本で、ひとつの事件が起きた。その朝、通常どおり大田区上池上の自宅を出た初代国鉄総裁下山定則は、なぜか丸の内の国鉄本庁へは向かわず大西政雄運転手に日本橋の三越本店に行くように命じた。その後、神田駅を回り、千代田銀行(三菱銀行)本店に立ち寄った後、再度三越本店へと向かう。そして午前九時三十七分頃、三越南口で車を降りて店内に入っていき、大西運転手を待たせたまま消息を絶った。
次に下山総裁が“発見”されたのは翌7月六日未明。場所は足立区五反野、国鉄常磐線の北千住駅と綾瀬駅の中間地点だった。午前0時24分に北千住を発車した最終下り電車の運転手が、東武線が交差するガード下の線路上に人間の死体らしき肉塊が散乱しているのを目撃。後にこれが、前日に失踪した下山総裁の轢死体であることが確認された。いわゆる「下山事件」である。
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戦後まもなく、国鉄総裁・下山定則が失踪、翌朝轢死体で発見されるという事件があった。法医学鑑定上の争いが続き、自殺・他殺といまも真相は明らかになっていない。その事件に敬愛する亡き祖父が関わっていたのでは……法事の最中にその話を聞き、下山事件を追い始めたのがルポライターの著者である。鍵となると思われる会社に複数の身内が勤めていたことから、その記憶を引き出すことができるという利点をもとに、多くの人々から聞き取りを重ねた労作、なのですが、関係者として登場する膨大な量の人名に読んでいて溺れそうに。しかも著者があとから得た知識で人名を整理したあとに面談した相手との会話について「当時はそのことは知らなかった」など、著者が知識を得る流れと時系列が一致していないため、若干混乱をきたしたところも(偽情報が氾濫するなかで「これは信用できる」という著者の判断も、納得しきれないところもあったり)。結局推定される一番あやしい人物も客観的傍証がないという理由で仮名に終わり、読み終えてみれば隔靴掻痒な印象がないでもない。ただ、歴史のひとつの事件としての印象しかなかった下山事件が、被害者の写真を見てしまったことで、(推論が本当だとすれば)なぜ彼がこんな酷い死を迎えねばならなかったのか、その恐怖はいかばかりかと思うと、辛かった。私は下山事件について他の本は読んでいないのでこの本がどれほどの価値があるのか評価できないけれど、とりあえず読み始めてからは浮気せずに読みきるくらいには面白く読みました。が、上記の理由で★1つ減。
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「キヲスク」にて購入。かなり際どいアプローチ。もう1冊欲しくて注文したものの、アマゾンでは入荷がかなり先になるとのことでした。
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GHQ占領下にあった時代に起きた下山事件については様々な方面から書かれた本が出ていますが、多分これが決定版といっていいと思います。戦争が終わっても占領が終わって独立しても事件は終わらない。数少ない生き証人をたどりながらひもとかれていく事件の真相には、平々凡々たる日常を生きている私には恐ろしくさえあります。これを書き上げた著者の情熱に頭が下ります。
読了 2007/8/4
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ドキュメンタリーは読み慣れてないし、
事件の詳細をあまり知らなかったので、
最初ちょっと読みづらい感じ。
でも、矢板玄のインタビューの辺りなどは
読み物としてとても面白い。
しかし、私の理解力が低いせいか、
結局黒幕が誰と言ってるのかよく分からん。
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以前読んだ「下山事件(シモヤマケース)」 森達也 著の兄弟本と言って良いかな。
(両方の本を読めば作者同士はこうは言われたく無いことは明白ですが)
今回の本の著者は森達也氏の本のなかで"彼"として登場している人物。
彼の祖父をはじめとする近い親類が戦後まもなくあった会社の"亜細亜産業"に関わっており、そこで下山事件に繋がって行く。
読み始めは「シモヤマケース」の焼き直しかとも思いましたが、途中からは独自の文章となり楽しめました。
まあ、このような本の特徴として自説に都合の悪い事実にはほとんど触れないし、多少強引な論理も見受けられる。
また、自分の親族に関しての記述が多いせいか、文章に多少は鼻につくところが散見される。
戦後すぐの歴史を眺めながら、著者の推理を楽しみました。
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日本に生まれて、日本で育って
歴史という観点から見たらつい最近の話。
何も知らなかった私。。
衝撃ありました。
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森達也の下山事件(シモヤマケース)で紹介された本人が、身内の話として様々な資料をあげながら、昭和のあの時代の雰囲気を、そして闇を描いている。実録の迫力は半端じゃない。
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2011/3月読了。固有名詞がとにかく多くて、メモしながら読めば良かった…と思った時は後の祭り。
そのため、何度もページを戻ったり、写真を見たりしながら読んで行ったので、なかなかスピードは上がりませんでしたが、「事件」のある意味での「大きさ」に、愕然としながら文字を追って行った感じでした。
「政治力って、何だろう。外交って何だろう。」とつくづく考えさせられました。
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前半の下山事件の詳細は、分かりやすく参考になりました。小説のように読めました。
これまでも多くのひとが検証しきて、様々な説を唱えており、年数もたっていいることから新説を導き出すのは難しかったのでしょう。だんだん話が広がってきて、最後の方ではユダヤ資本まで登場した時には、少しくらっときました。
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「謀殺下山事件」も「下山事件(シモヤマ・ケース)」も読んだけど、この本が一番刺激的。事件からどんどん時間が経って、それまで口をつぐんでいた人の証言もポツリポツリと得られるようになったという点で、先の2作よりも核心に近づけたということもあるだろうけれど。
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前半の説明がくどく、中断してしまったが、後半はページを捲らずにはいられない、息を飲むシーンが多かった。
このような事件が、WWⅡ後の日本で多発していた事実に驚くとともに、闇に葬られたままでいることに悲しみを覚えた。
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戦後最大の謎・下山事件の真相に迫った圧倒的なノンフィクション。
タイトルに「最後の証言」とあるが、情報の多さや論理の深度の点において、まさに棹尾を飾るにふさわしい読みごたえ。
GHQ・右翼・CIA・三菱など、様々な利権と膨大な数の関係者から成る複雑な背後関係について丁寧に記述され、初めてこの事件に触れる私のような読者にも理解しやすい。
ただ、明らかになった事実と推測が山ほど盛りこまれ、少し散漫な印象を受けた。
膨大な情報を著者が消化しきれていないのか、それとも意図的に情報を取捨選択して提示しているのか、論理が錯綜している部分もある。
そのため、著者が知り得た真相が真実かどうかは読者には判断できない。
ノンフィクションと言うよりは、迫真のミステリとしてのめりこむようにして楽しんだ。