紙の本
ゆびをぱちんとならすのもやさしくない
2021/10/17 07:01
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
詩を読むって難しい?
物語のように長くないから難しくないかな。
でも、どんな詩だって聞かれても、物語のようにうまく話せないから、読めているっていうのかな。
それに、例えばこの本のように「詩集」なんて言葉がタイトルになっているけど、どうみてもこれは「詩集」じゃない。
でも、この長いタイトル、どこで切れるのかわからないけど、ちょっとかっこいいと思わないかい。
この本の奥付き、ほら本のおしまいにある発行の日や発行した出版社の名前とか出ているページがあるだろ、に英語表記のタイトルが出てて、そこには「Good Kid,Good Poems」とある。
その方がわかりやすいけど、日本語の長いタイトルの方がやっぱり好きかな。
この本は小学生の男の子が亡くなったお父さんの友だちだったおじさんを訪ねて、詩とかの話をすることで、詩の世界がわかるようにできている。
詩の世界っていっても、ひとつの詩をどんなふうに読むかは自由だし、そもそも正しい読み方はないかもしれない。
この本でも、これが正しい詩の読み方なんて書いてない。
でも、こんな文章があったりする。
「ひとは、ことばをつくって、こころを、あらわそうとした。それでも、あらわせないものが、詩になった」
だったら、詩って存在するの?
もし、子どもたちがこの本を読んで、詩が書けたらいいけれど、書けなくても、詩って何だろうとちょっと考えてみるだけで、この世界の見え方は少し違ってくるかもしれない。
紙の本
20篇の詩とそれにまつわるお話
2023/05/07 16:20
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
詩集とあるが、詩集ではなく20篇の名詩とともに、その詩について魅力を伝えてくれる文章がつづられた一冊です。
有名な日本の現代詩について、理解を深めたい人にもお勧め。
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ふいにきみはやってきて、ぼくに疑問をなげかけてくる。
本棚から詩集をとりだし、ふたりが交わす言葉が、そのまま詩のようで、エモい(心の琴線に触れる)。
「てんきよほうが雨だったのに晴れちゃった日は、ほんとの晴れじゃない気がするよ」
「アイスには、おくびょうな、じんせいを生きてきた。」
「そういえば、みぞれ、というのもひゆ(比喩)じゃないか」
言葉って、詩って、こんなに自由で楽しいものだったのか…
これは、ぼく(おじさん)と男の子の物語の中で詩を紹介してゆくという、ちょっと変わった本なんだ。
ちゃぶ台を囲んで、淹れたての麦茶をすすりながら差し出される詩の中に、一生忘れられないような、特別な
一遍があるかもしれない。
私にとっては、
松井啓子さんの「うしろで何か」
と、
辻征夫さんの「まつおかさんの家」
かな。
斉藤倫さんの詩にも、たくさんの人が出会ってくれますように。。
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やっと読む。やはりとてもよかった。男の子との対話篇でもあり詩のオムニバスでもある。うちにも遊びにきてほしい。
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羨ましい。
この本を読むことができる子が。
「詩って、なんだろう?」という問いに
こうなふうに提示してくれる本があることが。
なんたる恵み。
私も幼少期にこんな本に出会いたかった。
親の立場からしても、
読書感想文の書き方をレクチャーすることはできても、
詩の定義を子どもに教えるのはハードルが高いように思う。
そういった場合からしても、大変ありがたい存在だ。
なにより「詩は難しい」「詩はよくわからない」と感じている子どもが、詩の世界への扉を開くことができるのは本当に素晴らしい。
ストーリーを読み進めていく過程で、言葉を連ねて思いのままに表現し、のびのびと自由に楽しめる世界へ自然に入り込める仕組みがとても良い。(しかもストーリーが垣間見える隙間具合が絶妙で秀逸)
言葉にならない気持ちが、詩になって、
でも、その言葉にならない気持ちの詩は、言葉でできていて、
言葉にならないのに、言葉でできてるの?って思うけどそれは正しくは、
言葉にしようとした、あと、なんだ。
人は言葉を使って心を現そうとした、
それでも表しきれないもの…それが詩になった。
想いをカタチとして残そうと文字を作った。
その文字に、確かに触れられるように、本が生まれたんだ。
想い、言葉、表現、本、気づき、世界、こころ。。
胸にくる想いが、たくさん詰まっています。
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詩をはさんで交わされる、ぼくときみの会話。
詩という、少ないことばの中に込められた、無限の世界を、やさしく解きほぐしてくれる。
この本は、やさしい。
読書に多くを委ねてくれる。
この本は、読み飛ばせない。
一語一語、読者に投げかけてくる。
何度も読み返したくなる。
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わたしやっぱり、斉藤倫さんの言葉、ひびく。余白に泣きたくなるんだよなあ。寂しさが大きいから優しいんだ、と大声を上げて泣き出したくなる。
p48の「ひとは、ことばをつくって、こころを、あらわそうとした。それでも、あらわせないものが、詩になった」って言葉が今のわたしにすとんと落ちた。
ぱちんって、ゆびをならして。
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一人暮らしの「ぼく」の部屋へ、小学生の「きみ」は学校帰りにふらりとやってくる。「ぼく」は「きみ」の亡くなったお父さんの親友で、「きみ」の家と小学校の真ん中辺に住んでいる。「きみ」は、入ってくるなりその日の気持ちを一言言ったりする。「ぼく」は、日常の茶飯事をしながらそれに受け答えする。そして、自分の持つ膨大(たぶん)な詩の本の中からひとつ取り出し「きみ」に読ませる。子ども向きの詩ではないけれど「きみ」はそれを読んで今の自分の気持ちと比べて感想を言ったりする。そうやって二人の「今」が続いていく。
10話からなる「きみ」と「ぼく」と「詩」のおはなし。初めは二人の関係がわからないのだが、徐々に「きみ」のお父さんを通しての関係がわかってくる。「きみ」が何年生なのかわからないけれど、2~4年生くらいかな?「ぼく」が何をしている人なのかもわからないけれど、きっとフリーのライターとか、もしかしたら詩人??
1話の中で1~2の詩が「きみ」に示される。そのチョイスも良いし「きみ」の感想が素晴らしい!
期待以上に良かったけれど、これは児童書として出版されているが、何歳くらいの子どもがどういうシチュエーションで手に取るのだろうか。大人で好きになる人は多いと思うのだけれど…。
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この本は「きみ」と、詩人だった「きみ」のお父さんと親友だった「ぼく」との、ことばについての会話です。
1ことばのじゆう より
ぼく「そんなもの、(国語じてんや教科書)見なくたって、話せるし、ずっと話してきただろ。そしたらじしょのなかにただしいことばなんかに、どんないみがある?」
きみ「じゃあ、ただしいことばなんて、ひつようないっていうの」
ぼく「まあ、ひつようだね」
「か」 藤富保男
かくかく
しかじか的に
天使は述べられた
隕石が象の尻のように
一個ふって来た
残念であることばかりが
とてもつづいて
あなたの頬をかじってもいい?
パンのようだから
仕方がなく淋しい夏だ
ね
きみ「詩って、こんなでたらめ書いていいんだ」
ぼく「なんででたらめだと思った?」
きみ「だっていみがわかんないから」
(中略)
ぼく「ゲームのほうが、ぜんぜん、おもしろい、と、いって、せんせいに、なってない、といわれた。でもそれは、いい、でたらめなんだよ
きみ「ほんと」
ぼく「文法としては、でたらめかもしれない。けど、それは、ただしい、ことばなんだ」
(中略)
ぼく「先生と、きみの、ことばの、あいだに、否定の気もちは、ちゃんと、あった。そんな、すきまにしかないものが、じしょに、のってるはずあるかい?」
きみ「詩も、ことばとことばのあいだにあるのかな?読んでたら、すきまに、おっこちちゃう感じがした」
ぼく「ふふ。なかなか、いいこというな」
このようにして、ぼくと、きみの会話が、あいだに詩をはさみながら続いていきます。
そして、詩とはどういうものかが、だんだんわかってきます。
表紙の画は高野文子さんです。
おまけ
2いみなくない より
ぼく「作者だってわかってないんだから」
ぼく「書いたひとも、わかってない、って。なにがいいたいかなんて、作家だけじゃないんだよ。だいたい、じぶんが、なにを話してるかなんて、わかってないのさ」
小中学生だけでなく、大人も楽しめる、アンソロジーだと思います。
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おっ斉藤倫さんの新刊だ、と手に取りました。
今回は詩ですか!
なにか食べようとしているときに小学生の甥が訪ねてくる、そしてなんとなくなんとも言えない感覚について話をし、おじさんは詩を紹介する。
こんな感じのやり取りが続くのですが、なんだか楽しい。じっくり読みたくなる。
まったく詳しくない私でも、ははーん詩とはそういう風に楽しむものでしたか…!とわかるような気になった。
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これカテゴリ迷います
http://deepsnow.sblo.jp/article/186385521.html
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子どもと、親ではない近所のおじさん的関係の人(どういう関係かはお話で明 あかされる)の会話の中で、たくさんの詩が紹介される。こんな大人の人が近くにいたら子どもにとっていいだろうなあと思った。言葉の自由さや逆に限界を知ることで世界の感じ方がまた変わってくるだろうなあ。
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タイトルに一目惚れ。
なんて素敵な本なんでしょう…
夏に読めたらなお良し。
たくさんの子どもに出会ってほしい1冊。
詩や言葉について、豊かに教えてくれる、美しい本。
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2019.10月。
おじさんと少年と詩。おじさんが少年に詩を教える。少年は詩を通しての世界を知っていく。詩を通したふたりの関わりが優しい。親以外のいい大人が周りにいるかどうかって大事だと思う。
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小学校3年生くらいの男の子「きみ」と
詩が好きなおじさん「ぼく」の詩をめぐる日常。
男の子は通学路の途中にあるおじさんの家に立ち寄り
いつも他愛もない話をする。
おじさんはいつもご飯を食べようとしている時だったりするので、何か食べながら話を聞いたりして
二人はとても気負わない関係だとわかる。
男の子が先生に言葉がなってないと言われたというと
おじさんは正しい言葉って何だろう。と投げかけて
藤富保男の詩を差し出す。
国語のテストで作者の気持ちがわからないと減点された日には
おじさんは作者さえ自分の気持ちがわからない、と言って
石原吉郎の詩を差し出す。
こんな日々が10章。
1章につき詩は2つ紹介される。
男の子とおじさんの夏の日々。
詩を介して、言葉や心の不思議についてあれこれ考え
お互いにハッとしたりホッとしたり。
そうして何気なく時間は過ぎていくけど
何かが確実に育っていく。そんな感覚がした。
詩を誰かと読んで味わいながら
解釈していく。
小説の中に詩が組み込まれていて、珍しく、面白い一冊。
詩の本に馴染みのない人も
楽しみ方がわかったり、詩が近くなるのではないかなと思った。
ひとは、ことばをつくって、こころを、あらわそうとした。それでも、あらわせないものが、詩になった。
ばしょが、二ヶ所あったら、それは、ひとつにならない。ぜったいに。
かこと、現在とか、みらいでも、ふたつのべつのじかんが、あったら、それは、いっしょにはならない。ぜったいに。
でも、ことばは、それを、ひとつにすることが、できる。
今まで、言葉や詩が好きだなと思っていたことが、
この二つのセリフでストンと落ちた気がした。
作者は詩人で、物語内の言葉もひらがなが多くて、
ニュアンスや表現を大切にしているのが伝わってきた。
温かくて優しくて、ちょっぴり寂しい本。
物語の終盤はおじさんと男の子の関係や
知らなかった事実が明かされていく。
キラキラした子供時代の尊さが感じられて
胸がいっぱいになった。
子育て中の母として、一人の人間として
いつか旅立つ子どもたちに何がしてあげられるだろう、
私が子供の頃持っていたキラキラはまだあるだろうか、
今を目一杯行きたい…
色々な思いがこみ上げる一冊だった。
また読みたい。
大切な世界がぎゅーっと詰まっている。
季節は夏にぴったり。
高野文子さんの余白あるイラストもお話にぴったり。
小学校中学年から大人まで。