紙の本
トップとミドルの相互作用で組織は変わる、というところへのナラティヴの溝か、適応課題の件か、対話の不足、か、キャズム、か。
2020/08/17 20:29
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投稿者:オオハシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
実はオライリー教授らの『両利きの経営』は、まだ読めていないのですが(間違えて柏の住所へ発送してしまった)先に実践本としてのこちらの本を読んでみた。 実に新しい本というところで今まで学んできたことがいろいろと多数表現されているなぁ、という印象だった。
その中でAGC(旧旭硝子)の変革の事例を解説し両利きの経営の具体的な内容に踏み込めており、いろいろと参考になることが多数あるなという印象。 例のアドバイスに従って二回連続で読んでみましたが、一回目よりも二回目に読んだほうがよりかみ砕けた印象かな。(一回目は少し穿って読んでしまったか)
個人的なレビュとするとよく言われているキーワードがちりばめられているので、まぁそんなところか。
「変革は経営者によるトップダウンとミドル・若手からのボトムアップがミートするところで起こる」という立場を強く提唱したいのなら、野中郁次郎先生らが20年以上前に提唱された「ミドル・アップダウン・マネジメント」との関連性や差異に関してもう少し踏み込んだ洞察が欲しかったなという意見があります。
(途中で参照元を読んでしまいキヤノンの三自の精神:自覚・自発・自治のスピリットに感銘を受けてしまった)
→ トップとミドルの相互作用で組織は変わる、というところへのナラティヴの溝か、適応課題の件か、対話の不足、か、キャズム、か。
流れで以下抜粋
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P154 「バイラルチェンジ(感染的変化)」のアプローチだ。バイラル・チェンジとは、流行は他人の行動をマネする(コピーする)ことから生まれる、というシンプルな原則に基づいている。ある変革人材は部門を越えて他の変革人材を知っていることが多い。トップの意識表示を起点に、変革人材同士をつなぎ、お互いの活動が感染するようなコア集団を形成するのだ。
このアプローチにおいて組織開発コンサルタントは、メンバーに対するグループ・コーチング等のプロセス・コンサルティングを通じて伴走していく。外部支援者としての役割は、トップの目線と現場を知っているコア集団の目線をマッチさせ、本質的な組織課題(適応課題)を浮き彫りにすることにある。
(中略)
P155 私のこれまでの経験では、キャズム越えができる組織の特徴は、トップが立てた変革の旗(目的)に応じて、コア集団の中で変革のストーリー(ナラティブ)が語られ始めることだ。数値や課題だけではなく、当事者の内面(感情)が語られるようになる。俳句にたとえて言えば、トップが上の句を読み、下の句をメンバーが読むイメージだ。
「〇〇を目指そう」「そのために悔しいけど〇〇であることを認めて、〇〇を始めたいね」、「本来うちは〇〇な会社だ」「だから残念だけれど〇〇は諦めて、〇〇を極めよう」というように会社のビジョンや存在目的を核とした新たなストーリーが紡がれていく。
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大企業の経営者、働き方改革推進室的な役割を担う方、新規事業を担う方の全ての人に読んでもらいたい一冊。
自分がいいなと思ったポイントは以下にまとめてみています。
https://note.com/yuyanyan_0510/n/n0a88dc2231ae
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実際の日本企業の事例を交えて、「両利きの経営理論」を具体的かつ詳細に説明している一冊。大企業の経営層が読むと良い本かと思います。組織開発コンサルタントである著者の視点から見た、組織改変がリアルに描かれています
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企業が長期的な生き残りのために獲得するべき組織能力について、AGCを例に取りながら解説した本。「両利き」とは、「既存事業を深堀する能力」と「新規事業を探索する能力」。この異なる能力が進化するためには必要だと説く。
・両利きの経営では、既存事業と新規事業がそれぞれの事業に適したアライメントを形成し、それらが同じ屋根の下で併存できるようにする必要がある。新規事業は既存事業の組織カルチャーに駆逐されないように保護をする必要があるが、孤立させてはいけない。同じ組織の中で、異なる組織カルチャーを併存するバランス感覚が「両利き」の核心。
・組織が変わることに共通のイメージを持つこと。「私たちの問題」と認識すること。そのために経営者には、未来に対して明確な意思表示をし、二律背反するテーマにも迷い無き価値判断を行うリーダーシップが必要。
・P.172「組織改革はトップダウンで始まり、ボトムアップとミートすることで実を結ぶ。」
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金言がたくさん。まさに実践知が詰まっている。
今大変な時期ですが、将来に向けてどう組織を創るのか?
まさに今考えたい内容でした。
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『両利きの経営』のオライリーの共著となっている。かつてオライリー氏に師事し、現在は日本で組織人事コンサル会社を経営する加藤氏が主著者となり、メインとなるAGC(旧旭硝子)のケースはオライリー氏と共著者のシェーデ氏が企業取材をしてMBAコースのビジネスケースとして作成したものがベースとなっている。AGCについては、加藤氏が組織コンサルとして関わり、オライリー氏に紹介をした形になっており、そのため全面的にAGCの協力を得て作成された。
本書の内容のまとめということでは、次のnoteのページですっかりほぼ過不足なくまとめられているので、そちらをご覧いただく方がよいかもしれない。図表も本の中のものがそのまま載っている。
https://note.com/yuyanyan_0510/n/n0a88dc2231ae
そもそも「両利きの経営」とは何かということでは、『両利きの経営』のレビューを見ていただきたい。
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4492534083
まず著者が強調するのは、既存事業の深化と新規事業の探索を同時に行う両利きの経営とは、戦略論よりもむしろ組織論であるということだ。そして、両利きの経営の実現のためにカギとなるのは、「組織カルチャー」のマネジメントだとしている。
この「組織カルチャー」を事業理念や社風といったふわっとした概念と捉えがちだが、具体的な仕事のやり方 ― つまり組織特有の行動パターンやそれを規定する組織規範 ― として捉えることが重要だと指摘する。そしてこの組織カルチャーを始めとして、「組織が変わる」ということについてトップからミドルまでイメージを具体的に共有することが必要となる。何を、何のために、どう変えるのか。仕組みの議論の前にそこに腹落ち感がないと失敗するのだ。
「変革は経営者によるトップダウンとミドル・若手からのボトムアップがミートするところで起こる(”Change happens when top down meets bottom up”)」という言葉が著者が考える理想的な変革の形をよく表現している。一方的なトップダウンではなく、また現場の努力だけに頼る経営でもなく、双方向のベクトルが互いに合わさることが必要ということだ。何よりそのために議論による説得ではなく、対話による納得を大切にすることが重要なのである。
もうひとつ重要なことは、「異なるアラインメントを必要とする事業は分離する」という組織デザインを行うことである。ここで分離は必ずしも分社化を意味しない。むしろ、完全な分社化は『イノベーションのジレンマ』で当初そのことを主張していたクリステンセンも考え方を変えているらしい。
AGCの例では、CEO-CFO-CTOのトライアングルと、4つのカンパニープレジデントという組織体制が明確に社員に認識されていることが。このリーダーシップの明確化によって、異なるアラインメントを必要とする組織の併存が成立しているように思われる。
チャンドラーの「組織は戦略に従う」の言葉を思い出した。
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『両利きの経営』(チャールズ・オライリー、マイケル・タッシュマン)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4492534083
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実はオライリー教授らの『両利きの経営』は、まだ読めていないのですが(間違えて柏の住所へ発送してしまった)先に実践本としてのこちらの本を読んでみた。 実に新しい本というところで今まで学んできたことがいろいろと多数表現されているなぁ、という印象だった。
その中でAGC(旧旭硝子)の変革の事例を解説し両利きの経営の具体的な内容に踏み込めており、いろいろと参考になることが多数あるなという印象。 例のアドバイスに従って二回連続で読んでみましたが、一回目よりも二回目に読んだほうがよりかみ砕けた印象かな。(一回目は少し穿って読んでしまったか)
個人的なレビュとするとよく言われているキーワードがちりばめられているので、まぁそんなところか。
「変革は経営者によるトップダウンとミドル・若手からのボトムアップがミートするところで起こる」という立場を強く提唱したいのなら、野中郁次郎先生らが20年以上前に提唱された「ミドル・アップダウン・マネジメント」との関連性や差異に関してもう少し踏み込んだ洞察が欲しかったなという意見があります。
(途中で参照元を読んでしまいキヤノンの三自の精神:自覚・自発・自治のスピリットに感銘を受けてしまった)
→ トップとミドルの相互作用で組織は変わる、というところへのナラティヴの溝か、適応課題の件か、対話の不足、か、キャズム、か。
流れで以下抜粋
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P154 「バイラルチェンジ(感染的変化)」のアプローチだ。バイラル・チェンジとは、流行は他人の行動をマネする(コピーする)ことから生まれる、というシンプルな原則に基づいている。ある変革人材は部門を越えて他の変革人材を知っていることが多い。トップの意識表示を起点に、変革人材同士をつなぎ、お互いの活動が感染するようなコア集団を形成するのだ。
このアプローチにおいて組織開発コンサルタントは、メンバーに対するグループ・コーチング等のプロセス・コンサルティングを通じて伴走していく。外部支援者としての役割は、トップの目線と現場を知っているコア集団の目線をマッチさせ、本質的な組織課題(適応課題)を浮き彫りにすることにある。
(中略)
P155 私のこれまでの経験では、キャズム越えができる組織の特徴は、トップが立てた変革の旗(目的)に応じて、コア集団の中で変革のストーリー(ナラティブ)が語られ始めることだ。数値や課題だけではなく、当事者の内面(感情)が語られるようになる。俳句にたとえて言えば、トップが上の句を読み、下の句をメンバーが読むイメージだ。
「〇〇を目指そう」「そのために悔しいけど〇〇であることを認めて、〇〇を始めたいね」、「本来うちは〇〇な会社だ」「だから残念だけれど〇〇は諦めて、〇〇を極めよう」というように会社のビジョンや存在目的を核とした新たなストーリーが紡がれていく。
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過去の成功体験から高度に効率化された組織やシステムを変更できない、いわゆる大企業病に陥り、将来的な不安を抱える大企業に対し、その原因と対応策をリアリティのある内容で解説した本。
現状認識や原因考察において、正確かつ鋭い指摘が多く、共感できました。一方、その解決策については、具体性が乏しく、結局どうしたらいいの?というのが正直な感想です。AGCのケースにおいて、実行済みの施策に対する具体的な結果をもっと踏み込んだ形で記述されていると良いと思いました。
一番心に残ったのは、トップダウンとボトムダウンのミートするところで、初めて変革が進むという箇所でした。
文章のスタイルとして、括弧書きが多用されており、個人により好みの分かれる気がしました。
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ポイント
・大企業ほどに高度に効率化されていることから、失敗が許されない組織になっている
→早く安く仕上がる方へ集中する仕事の回し方(PDCA)
→始める人や、勝手に始めてる人が圧倒的に少なくなってしまう。なので、指示待ちや、上にビジョンが無いと言われる
・組織カルチャーを否定する
→カルチャーは風土ではなく仕事の具体的な進めかた。会議一つとっても、企業、部門ごとに大きく違って、話す内容、議題の進め方、意見の出方、次のアクションに至るまでその組織の暗黙の声を包含する仕組み
・組織開発の最大の課題は、組織が変わるということのイメージを共有できていないこと。そして、組織への興味がないことか、戦略への関心が低いことに起因する
→古く流行仕掛けた組織開発とは、人材開発や対話であった。その当時の日本では、高度経済成長も相まって、多くが必要とされない状態だった(自然と効率化すれば利益になる、右肩上がりのハイモチベーション)また、日本は終身が基本の雇用だからこそ、組織や人材に課題を想うことは、大企業であるほどに低いもの。
⭐️キーワードは、この組織と人材で継続して、私たちは、今と未来のライバルに勝ち、顧客満足を作り上げられるか?を問うことかな。
・仕事のやり方は、最も他社には真似ができない自社最適の唯一解として、競争力の源泉になり得る
→Hondaのワイガヤ文化も仕事のあり方であり、理念に則った会社、従業員、仕組みだからこそ実現できて来たこと
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変革は、トップダウンとボトムアップがミートするところにある。組織カルチャーは仕事の行動、やり方であり従来の惰性になっていることが、多い。新規探索さ、これまでと異なるやり方、組織間の結合を作り出す必要がある。
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両利とは、既存と新規のことであり、その両方をまさに両立させることの大切さを説き、実践例を示している。
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組織変革、組織カルチャーの考え方がクリアになった。また具体的な1社に絞って事例が見れたのは良かった。
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両利きの経営とは、「既存事業を深掘りする」と「新しい事業機会の探索する」こと、そしてこれらの相矛盾するものを成立させるという3つの「組織能力」の獲得を目指すこと。
ということで、組織に関して書かれている本。
そして、この組織に関して、経営者によるトップダウンとミドル・若手からのボトムアップがミートするところで組織カルチャーを変えていくことが大切とのこと。
つまり経営層だけでなく、現場の人間も組織の問題意識を持つ(経営層に持たせる)必要があるので、経営者だけでなく、現場の人も一読の価値あるかと。
下記のメモにあるアラインメントの意識を持つことが本書で学んだ1番のこと。
以下メモ:
「アラインメント(結合)」という言葉。
事業を進めるにも、組織形成をするにも、アラインメントが必要であるということ。
こんな当たり前のことが、大企業でも(だからこそ?)できていないということ
量産化に必要な3C(Customer,Capacity,Capability)
1.顧客 顧客へのアクセス
2.既存の経営資源 生産技術、生産設備、物流、サービス
3.新しい組織能力 人材、スキル、ノウハウ、カルチャー
経営が意思表示(存在目的:WHY)を明確に示し(示すことでフォローワーができる)、そのWHYに従った戦略(何をするのか:WHAT)と組織(どうするのか:HOW)を決める。そして適切なタイミングで価値判断を行うことで組織変革は定着する。
脱皮できない蛇は滅びる、意見を脱皮してゆくことを妨げられた精神も同じことである。 byニーチェ
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仕事柄、会社内のトップからボトムまでの人の話を聞くことが多く、経営者と労働者の思いのすれ違いに歯痒い思いをすることが多かった。
結局は対話が必要だと思っていたけれど、この本を読んでその意識がさらに強くなった。
結局全員で対話することはできないけれど、トップが思いを伝えて、それに呼応するミドル層や若手が反応して組織カルチャーを作り替えていく流れが、一つの道筋になるようだ。
組織を変えようと意気込んでいた僕にとって、下の言葉は心に響いた。
『組織開発は組織を「変える」のではなく、組織が「変わる」を支援する取り組み』
また、組織開発の話は、経営者の防衛反応を引き起こすとも書かれてあり、経営者と話する時も自分の思いを前面に出しすぎないことを肝に銘じた。
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興味深く読むことができた。自分がビジネスの専門的知識が乏しいため、内容が難しいく頭に入って来にくい部分もあった。