紙の本
「一瞬の光」、「不自由な心」につづく白石文学の傑作長編!
2016/08/27 11:03
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、白石文学の中でも傑作中の傑作だと思われます。次期首相の本命と目される大物代議士を父にもつ柴田龍彦は、4年目に起こした不祥事で精神に失調をきたし、父の秘書を務めながら、不遇な境遇に置かれていました。しかし、父が総裁選出馬に向けて動き出す中で、彼は政界の深部に徐々に呑み込まれ、それが景気で、だんだんと本来の自分を取り戻していくことになります。だが、そこに待ち受けたのは、彼の人生最大の選択でした。一体、その選択とはどんなものなのか?彼は果たして再生できるのか?
紙の本
主人公像は、相変わらず。
2005/11/21 22:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ロングボーダー - この投稿者のレビュー一覧を見る
東京の夜景が眩い、ジャケットです。
主人公像は、相変わらず。
政治の裏側と
優秀だけど客観的に見たらダメ男の
挫折と再生の物語。
最初に主人公の現状が描かれ、
徐々に過去の出来事が明らかになり、
最後に、再生が描かれている。
最後のシーンには、ほろっときた。
この作品では、
著者の政治や政治家に
対しての考え方が、わかると思う。
政治にはあまり興味が無いので、
政治についての記述が続くページは
読み進むのが若干辛かった。
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読んでいくにつれて「その生活でまだ何か物足りないのか!貴様世の中舐めてんじゃねえよ」と思った。
っていうかこの人の作品に出てくる主人公、特徴ありすぎw
そこが面白かったりするんだけどね・・・
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政治の話があたしには難しい。でも、徐々に明らかにされていく主人公の過去とか、そういう書き方はよかったかな。結末にはちょっと納得がいかないけど。長いわりには飽きずに読めた。(05/11/24)
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大人になるにつれて「うまくやる」ことを覚えて、器用になって、でも、純粋さに代表されるようななにかを少しずつ失って。そうある自分やまわりにうまくなじめなくて。でも、結局は純粋になっていく。そんな主人公。政治の話は難しいのかもしれないけれど、それはこの人がストーリーの中に「難しい世界の中に生きるからこそ」シンプルでピュアなものの大切さをすりこませたものだと思う。
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読んだことのないタイプの本だった。
終始、政界のいろんな話が出てきて、政治に興味のない私は、途中で読むのをやめようかという気にもなった。
けれど、物語の本質はそんなところにあるんじゃなかった。
結局は人間の物語。
総理大臣を目指す龍三の次男として産まれた主人公の龍彦は、甘い考えで大切なものを失ってしまう。
自らも精神的なショックから手首を切り、自殺を図るが、一命をとりとめる。
いろんな人が龍彦のことを支えてくれる。
みんな大人で気付かないのは龍彦だけ。
まるで自分の人生をみているような錯覚に陥る。
最後の最後に、失ってはいけなかったものに気づく。
何がハッピーエンドなのかは解釈の違いはあるけれど、裏切ってでも守らねばならないものもある。
この本を何も感じずに読める人もいるのだろうか。
私は深く落ち込んだ・・・
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読んでみての感想ですが、うん、面白かったです。ただ、難しかった。まだ一度しか読んでないですが、世界観(政治的側面)や構造(時間軸が交錯する)が少々僕のオツムには高尚過ぎた感はあります。もう一度読まなければ…。
で、その上でレビュー。てんで頓珍漢なこと述べてしまうかもしれませんが、そこはまあご愛嬌というところで。
著者が早稲田の政経卒ということもあってでしょうか、政治に対しての洞察は深いものがあったと思います。国内、国外の政治に関する詳細なデータが所狭しと書き綴られ、また歴史的な事項に関する記述も相当にありました。政治や歴史などに関しては完全に門外漢である僕(いや、単純な勉強不足です。はい)は、いきおい、読み飛ばさざるを得ない箇所も多々…汗顔のいたりです。
世界は全て主人公の主観を通して展開されています。
ある事件を通してカミーユばりに精神崩壊してしまった主人公が、政治の世界を通して徐々に再生していく様が描かれているんですね。なので、作品の中では徹底して「政治の傍で生きる人」と「それ以外の人」という二項対立が描かれています。
前者は極めて理知的、というか世俗的、端的に言えばおそらく僕たちが政治家に対して抱いているであろうイメージそのまんまで描写されています。
一言で言うと「なーんか、嫌な奴らだなぁ…コイツラ…」みたいな感じですか。確かに嫌な感じの奴らなのですが、それでも彼らの悲しみや苦しみ、そして政治というものが原初的に内在している業というものを分かりやすく描いていた。
『金はそんなに汚いか。(中略)織田信長のように鉄砲買ってそこらじゅうでぶっ放すやり方と、太閤さんのように大判小判バラまいて笑って宥めすかすのと、どっちが日本人は好きなんだ』
今の政治のあり方、確かに良くない部分も多々あるんでしょうが、それでも長い時間をかけて構築されてものです。
『暴力につぐ暴力による制圧、それがもたらす退廃的な世界』
とか、
『くだくだしく対話して、悠久とも言える時間をかけておいて結局事態は一歩も進まないという無力感』
を政治家は誰よりも感じているんでしょうか。
金を全ての尺度として計ること…世俗にまみれたやり方でありながら、しかし最も合理的で生産的なやり方−−と、妄信的に思うことはできませんが、しかしそういう側面はあるんでしょう。
それはともかくとして、後者、つまり政治の世界から遠い人たちも登場します。
主人公は最初はこちらの側から段々と政治の世界へとスライドしていくことになります。おそらく単純な政治小説ならばどちらかの視点のみに重点が置かれたのかもしれないんですけど、主人公が最初「とてつもなく弱い人間」として描かれていたので、政治・非政治の間で揺れ動く様はそれなりの説得力がありました。悪い言い方をすれば『どっちつかず』とも取れますけど。
中盤あたりから政治色が一気に強くなるので、作品に流れる空気としては非政治な人たちに対する言外の侮蔑感ってのはあったと思うんですよ。その中で主人公も徐々に政治の側���生きようと決意していく。
それはおそらく、政治の世界に生きる人間の強さ、たくましさ、もしかしたらしたたかさ、に魅力を感じたからなのでしょう。明確な記述はありませんでしたが主人公がそういう憧れを抱いたであろうことは推察できます。彼は己が精神崩壊したことにかなり自責の念を感じていました。強くなりたい、自分が強くさえあればああはならなかったはずだ…というような感じで。
その彼にとって、政治家のタフさは輝いて見えたはずです。ある意味で情緒や感情などを一切捨てて、政治という戦争の世界に身を置く彼らが誰よりも強く見えた。反射的に、感情論や建前論ばかりに終始する非政治な人たちの中に身を置くことが苦痛になる。政治の世界に行かなければ自分はまた弱くなるかもしれない、と葛藤する。その中で彼は政治の世界へ身を投じていく。
しかし彼を再生してくれたのは、他ならぬ政治の傍にいなかった人たちなんですよね。つまり主人公が蔑み始めた人たち(非政治的な人)が「前提」となり、彼は政治の世界に身を投じるという「結果」が得られる。確かに非政治的な毎日の中で主人公は自己崩壊をきたしたのですが、それを救済したのは政治ではないんですよね。この辺りが物語のコアでした。単純な「政治家マンセー!」的な作品じゃなかったというか。まあ、ありがちとも言えますけど…。
概ねこんな感じでしょうか。ラストは、ああ、まあ、そうくるかー、ってなもんですか。賛否両論あるみたいですね。僕的にはもう少しボリュームが欲しかったかもしれません。
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えーと、京都〜福岡間で読んだ本。一度自分を見失った人の再生のお話。けど、最後にたどり着くところは、とても良かった。その感触だけでもいい本だと思った。欲を言えば、気付くのが遅すぎたってことですかね。
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ずいぶん前に読んだのでうろ覚えだが、序盤のほぼ廃人のような生活から中盤の政治家として手腕を発揮するまでにかけての移り変わりが、主人公の目を通して描かれているところが面白かった。
そして感動のラスト。ネタバレになってしまうため詳しくかけないのが残念だが、このラストを読むためだけにこの本を買ってもいいくらい。
白石一文の著作の中で一番いい。
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なんておもしろい政治の世界。。。
ありていに言えばその一言です。
主人公は与党第二派閥の領袖の息子。
権力闘争おもしろいっすわww
白石さんの作品にしては珍しい話ですが。
でも白石さんの作品はどれもおもしろいんですがね。
ちなみに他の作品は政治の話じゃないっす。
くれぐれも政治一辺倒の紋切り型の作家だと勘違いなさらぬように。
特に男の子におすすめです☆
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『すぐそばの彼方』(白石一文、2005年、角川文庫)
政治と女をめぐるフィクション。
次期首相最有力候補を父に持ち、父親の私設秘書をつとめる龍彦。
龍彦が過去に犯した過ちから徐々に立ち直っていくが、同時に父親から再度信頼を得、政界(政局)の権力争いへと巻き込まれていく。その過程にはある真実があったのだが…
政治の権力闘争の影にある闇の部分が随所にあり、政治に身を投じ権力を手にした者の裏の姿を描き出している点がおもしろい。
この小説では女性関係が物語と平行して明らかになっていく。政治に身を投じつつも、愛する女性を追い求める「政治家」の姿があった。
(2009年10月25日)
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【あらすじ】
次期首相の本命と目される大物代議士を父にもつ柴田龍彦。彼は、四年前に起こした不祥事の結果、精神に失調をきたし、父の秘書を務めながらも、日々の生活費にさえ事欠く不遇な状況にあった。父の総裁選出馬を契機に、政界の深部に呑み込まれていく彼は、徐々に自分を取り戻し始めるが、再生の過程で人生最大の選択を迫られる…。一度きりの人生で彼が本当に求めていたものとは果して何だったのか。『一瞬の光』『不自由な心』に続く、気鋭の傑作長編。
【感想】
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近いはずで遠い政治の世界が動いていくさまのドキドキ感、絶妙なミステリ仕立てで描かれる主人公のある過去が、ページをめくらせる。主人公の気持ちなどとノイズだといわんばかりの現実。それが、恋心の切なさを浮き彫りにさせる。でも結局は、主軸はその現実を享受する人間なのだ。
白石一文の小説を「不倫モノ」と片付けてしまう読者が多いけれど、おそらく既婚者である著者が人の心を揺り動かしてしまう恋愛について書くには、じつに誠実な書き方なのではないだろうかと思っている。「女性への幻想に耐えられない」という女性読者は、彼の書く異性への幻想や男性のセックス依存みたいなものを自分だって持っている(女だって所詮ビッチ!)のを時代や外聞やプライドやその他いろいろなもので隠さざるを得ない/誤魔化しているからじゃないだろうか。
自分が引き起こしたトラブルをどうにかしてかき消そうとする政治の世界。自分が引き起こしたトラブルに対面して自責せざるを得ない恋愛の世界。社会と個人の事情は、ここまでも大きく違う。でも、切実なのはどっちなんだ?
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もっとも苦手かもしれない政治分野の話な上、
主人公が・・・好かん。
何か始終イライラした。
タイトルはすごくステキなのに、
私には合わんかったな。。。
☆☆ ホシ2つ
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白石作品ということで心躍らせて購入したわけだが、読んでみて
「うーん・・」と言った印象。
元出版社勤務と言うことで、文章力、調査力は申し分なく、今回の政治を扱った難しいテーマも簡単に書きあげている。
ただ、いかんせん政治トークが多すぎる。
全体の50%ほどが新聞に書いてあるような政治のお話。
途中から段々と読むのが億劫になってくるように。
主人公の葛藤、苦悩は伝わってきたが、その合間に綴られる政治という全く噛み合わないものが作品の質を低下させている。
と言うより、なぜ政治を取り上げたかったのか、最後まで良く分からなかった。
あまりおすすめ出来ないですな。